【カワサキ KLX230R 試乗】理想の操舵感!誰でもオフロードが楽しめる1台…青木タカオ

カワサキ KLX230R
カワサキ KLX230R全 34 枚

ヘッドライトやウインカーを標準装備しないモデルはあまり馴染みないかもしれないが、こうしてしっかり国内ラインナップに存在し、新型車も登場している。カワサキ『KLX230R』だ。

モトクロス競技専用車のKXシリーズとも目的が異なり、こちらはファンライドに主眼に置く。つまりレースで勝つためではなく、オフロードライディングを純粋に楽しむための入門機。ただしビギナーだけでなく、上級者になっても手放したくないアウトドアでのバイクライフに寄り添う1台となっている。

じつはナンバー付きの公道向けモデル『KLX230』と同時開発された。なので、公道を走れないと意味がないという人にはそちらをオススメする。

ただし、もしもKLX230のオーナーとなり、灯火器類を外してエンデューロに出てみたくなったりダート専用機にしてしまおうとなったときは、一卵性双生児であるKLX230Rが大いに気になるはずで、“R”へ変身することも容易いだろう。そう考えると、このモデルのポテンシャルがいかほどのものか、知りたくはなって来ないだろうか。ぜひ、もう少しだけお付き合い願いたい。

専用の足まわりで、走りは侮れない!

カワサキ KLX230Rカワサキ KLX230R
ダートを好き放題に走ってみるが、扱いやすく気負わず乗れる。フロント21、リヤ18インチのフルサイズだが、モトクロッサーよりこぢんまりとしていて、見るからにフレンドリー。

ただし見くびってはいけない。インナーチューブ径37mmの正立式フロントフォークは250mm、ボトムリンク式シングルショックのリヤサスペンションは251mmのストローク量を確保し、スイングアームはRではアルミ製にグレードアップされている。

KLX230のスイングアームはスチール製であるし、前後サスのストローク量もフロント220mm、リヤ223mmで、最低地上高も265→300mmと差があるのだ。テールエンドがつんと上を向いて、オフロードバイクならではのスタイリッシュさも忘れていないのがいい。

自然にカウンターステアが切れる理想的な操蛇感

カワサキ KLX230Rカワサキ KLX230R
車両重量も134kg→115kgと、19kgもの軽量化を果たしていて、走りはかなり軽快になる。KLX230もクセのないニュートラルなハンドリングで、8の字を書いてグルグル回っていると意識せずとも自然にカウンターステアが切れるような穏やかなステアリングフィールだが、ヘッドライトを持たないRはよりナチュラルに前輪が向きを変え、スライドする後輪もコントロールしやすい。

理想的と言っていいオフロードバイクの操蛇感があり、車体の挙動も掴みやすいから絶えず姿勢が予測でき、初心者でもダートライディングに対する不安は少ないだろう。

モトクロッサーのようにジャンプなど立体的な動きは程々にしておくべきだが、短い距離なら跳んだり跳ねたりして遊ぶのは朝飯前。少し無理をさせてもサスペンションはストロークの奥でしっかり踏ん張り、簡単には底付きしない。

上級者になっても長くつきあえるはず

カワサキ KLX230Rカワサキ KLX230R
時間を過ぎるのを忘れてしまうとはこのことを言うのだろう。いつまでもオフロードライディングを楽しみたくなる。つまり出力特性が穏やかで、思いのまま操れるから疲れにくい。

穏やかなのと乏しいのとは別で、欲しいところでトルクが引き出せないと乗り手のストレスとなって、結局は疲労度が増す。KLX230Rはパワーの欲しいところで豪快ではないもののモワッと力を絞り出せる全域フラットなエンジンを持ち、足まわりとのバランスが巧妙なのだ。

走り込むにつれて、エンデューロもハイスピードのレースでなければそこそこいけるのではないかと思えてくる。1台あればみんなが長く楽しめ、そしてオフロードがますます好きになれそうだ。これを国内にラインナップするカワサキを称えたい。

カワサキ KLX230Rカワサキ KLX230R

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
戦闘力:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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