【メルセデスベンツ Eクラス・ディーゼルPHV 新型試乗】洗練されたマナーと高いポテンシャル…島崎七生人

メルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツ
メルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツ全 15 枚

“EQ POWER”とは、メルセデスベンツが今後展開していくプラグインハイブリッド車の総称という。その第一弾として、今回『Eクラス』に設定されたのが、クリーンディーゼル版の「E350de」とガソリンエンジンの「E350e」の2モデルだ。

クリーンディーゼル+プラグインハイブリッドの乗用車は日本初

試乗したのは「E350de」の「アバンギャルド・スポーツ」。搭載エンジンは194ps/400N・m(40.8kgf・m)の性能の2リットル(ガソリンのE350eもエンジン排気量は2リットルだ)の4気筒ターボチャージャー付きディーゼル(OM654型)で、これに122ps/440N・mを発揮する電気モーターの組み合わせ。

システムトータルはWLTPの欧州参考値で306ps/700N・mといい、同じ欧州参考値でのモーターのみでの走行可能距離は50kmという。バッテリーはダイムラー社の子会社のDeutsche ACCUMOTIVEが生産するリチウムイオンバッテリーで、その容量は13.5kWh。ちなみにクリーンディーゼルとプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた乗用車としては日本初となる。メルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツメルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツ

どのモードであっても「Eクラス」らしい上質さ

実車にはEQ POWERモデル専用の機能として、スマートフォンを利用してバッテリーの充電状況や航続可能距離の確認や、出発前に空調を入れたりしておけるリモート車両角に機能が備わる。が、基本的には内装、外観ともに“普通のEクラス”であり、いかにもPHVでござい! といったアピールはほぼ皆無だから、試乗の際も、とくに身構えたり気負ったりせず接することができた。

さらに実際の走りでも、極めて洗練されたマナーであることに驚かされた。システムはHYBRID/E-MODE/E-SAVE/CHARGEの4つのプラグインハイブリッドシステムモードがあり、さらにECO/Comfort/Sport/Sport+/Individualの5つの走行モードも用意される。実際にはこれらを適宜組み合わせての走行となり、わかりやすいモード切り替えを試しながら走ってみたが、総じて、どのモードであっても、あくまでも「Eクラス」らしいなめらかで上質な走りがいささかも損なわれない点がいい。メルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツメルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツ

EVモードの加速時のペダルに演出

注目は、EVモードで走行中に、そこから強く加速を求めようとすると、アクセルペダルに一旦“抵抗”があり、さらに踏み込むとエンジンが入るというロジック。とはいえ、そもそもエンジン音、振動の伝わり方はごく小さいから、ハイブリッド車によくある“エンジンを起こしてしまった感”はほとんどない。またエンジンをモーターが加勢し力強い加速が実行される場合も、モニター上には“ブースト”の表示が現れるも、体感上はごくスムースにそれが行われる。

今回は一定時間枠内での試乗だったが、リアルな生活の中で使えば、日常的な近所の所用ではEVで走りきることができたり、足を伸ばせばディーゼルの低燃費が実感できたりと、このクルマのポテンシャルの高さはよりわかることだろう。メルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツメルセデスベンツE350deアバンギャルド・スポーツ

パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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