【展望2020 その2】国内市場は500万台維持で堅調に…トヨタチャンネル統合の波紋も

新モデルや高齢者へのサポカー購入補助が需要復元の力に

5月には国内4チャンネルを実質統合するトヨタ

店舗統廃合も動き出し、販売力への影響は?

スズキ・ハスラー新型
スズキ・ハスラー新型全 3 枚

新モデルや高齢者へのサポカー購入補助が需要復元の力に

2020年の国内新車市場は、19年10月の消費税率引き上げによる影響を乗り越え、堅調な推移が見込まれる。軽自動車ではスズキの『ハスラー』、また登録車では量販車種であるホンダの『フィット』、トヨタ自動車の『ヤリス』といった新モデルが年初から2月にかけて登場し、消費税増税で弱含んでいる需要の復元力となろう。

こうした各社の新モデル投入の活発化に加え、政府による高齢ドライバーへの事故防止対策である「サポカー」購入補助も実施され、20年の自動車市場の支援材料となる。

自動ブレーキなど事故防止や事故時の被害軽減につながる装備をもつサポカーについては、政府が12月に決めた19年度補正予算に1127億円の規模で補助金が投じられることになった。19年度中に65歳以上となる高齢者がサポカーを購入したり、後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置を装着したりする際に補助する。

新車のサポカーについては3万円から10万円、後付け装置については装置の機能により2万円または4万円が補助される。高齢者に限られるものの、安全への切り口から自動車の買い替え促進を「サポート」することになる。

19年の新車販売は前年を若干下回ったものの、520万台前後で3年続けて500万台ラインを維持した模様。20年についても、現状では大きな需要悪化の材料はなく、多少落ち込んでも500万台のキープは可能となろう。トヨタ・ヤリス新型トヨタ・ヤリス新型

5月には国内4チャンネルを実質統合するトヨタ

20年の国内自動車販売業界で最大の注目点は、トヨタ自動車が5月に実施する4系列の販売チャンネル統合だ。国内で販売する全てのトヨタブランド車を、トヨタ店やカローラ店といった販売チャンネルに関係なく全店で購入できるようにする。

18年秋に計画を公表した時には22年から25年にかけて完了するとしていたが、19年になって前倒しを決めた。20年代後半には需要の縮小が明確になるというのがトヨタの国内販売部門の見立てであり、また、シェアリングの加速などクルマは「保有」だけでなく「共有」の活発化という変化に対応する狙いだ。

トヨタは戦後、直ちに国内販売網の強化に乗り出し、1946年(昭和21年)にトヨタ店を発足させ、次いで53年にトヨペット店を開設、複数チャンネル化の先陣を切った。その後、カローラ、オート、ビスタを加え80年には5チャンネル体制を敷き、国内マーケットの成長を享受してきた。

日産自動車など他社も同様に複数チャンネル制を導入した。しかし、バブル崩壊後の91年から新車市場が後退を始めると、各社とも販売網の見直しを迫られ、トヨタも04年には現在の4チャンネル体制に再構築した。それでも、業界では唯一複数チャンネルを維持してきた。

店舗統廃合も動き出し、販売力への影響は?

トヨタブランドの国内販売ネットワークは約5000店に及んでおり、登録車で50%近いシェアを確保する強さの源泉となっている。ただ、トヨタとしても国内向けで約60車種におよぶモデルを維持するのは合理的ではなく、チャンネル統合によるモデル数の削減で開発・生産の効率化も図る。

トヨタの販売会社はおよそ9割が各地域の有力資本による経営となっている。このため、ひとつの資本がトヨタやカローラといった複数の系列店を運営しているケースも少なくない。そうしたグループ経営の販売会社では、不採算店の撤退や店舗統合といったネットワークの再構築が必至となっていく。

市場規模に沿った販売網はトヨタの狙いでもあるが、それが急ピッチで進むようだと、トヨタ車の販売力にも影響を及ぼすことになる。トヨタのチャンネル統合前倒し方針には反発した販売会社も少なくなかったとされる。70年余り続いた複数チャンネルとの決別がトヨタの国内販売にどのような影響をもたらすか、その余波を免れないトヨタ以外の販売業界も注視している。

【その1】日本から自動運転技術の進化を発信
【その2】国内市場は500万台維持で堅調に…トヨタチャンネル統合の波紋も
【その3】日欧そして中国へと日本車EVが本格始動

《池原照雄》

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