カプセルトイにバイクあるある、女性とヤマハの接点「交流と共感」に

ヤマハ レディプロジェクトのメンバー
ヤマハ レディプロジェクトのメンバー全 6 枚

ヤマハは、女性を主体とした社内プロジェクトチーム『YAMAHA MOTOR WOMAN FORUM in Marketing(YWF)』を発足、女性ならではの視点を土台とした企業の風土づくりをめざしている。その中で今回は、YWFが実際にマーケティングに取り組むのがLADY PJ(レディプロジェクト)だ。

女性社員自らがマーケティングを実践する場として活動を行っている。運営チームであるYWFはメンバーに男性が含まれているが、こちらのレディプロジェクトは前述の「女性社員によるマーケティング」という活動の性質上、メンバーは女性のみで構成されている。2019年はAチーム、Bチームの2チーム構成だ。

女性とヤマハの接点を

ヤマハ発動機のレディプロジェクトが鈴鹿8耐で展開したカプセルトイの様子ヤマハ発動機のレディプロジェクトが鈴鹿8耐で展開したカプセルトイの様子
まずお話を伺ったのは、Aチームの活動について。こちらのチームは4名とサポートメンバー2名で構成され、2018年のレディプロジェクトで活動していた内容を継承、精査しながら継続している。

「女性とヤマハの接点の増加、また、ヤマハを身近なブランドとしての感じてもらえるよう、認知度向上をはかることをテーマとして活動しています」と説明するのは、ヤマハ発動機 MC事業本部 戦略統括部 商品戦略部 未来洞察グループの宇都宮理沙さん。

「バイクに乗っていないお客さまや、まだバイクをよく知らないお客さまに、少しでもヤマハのバイクに親しみを感じてもらえるようにしたいと考えました。そのためにはヤマハの情報をダイレクトにお伝えするよりも、女性が共感できるモノやコトとヤマハのメッセージを一緒にして発信することで、ヤマハを身近に感じてもらえるようにしたいと考えたんです」

2019年、このAチームが取り組んだのは大きく分けて二つある。一つは「カプセルトイのテストマーケティング」。国内の二輪ロードレースとしては最大級のイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースやレース以外のイベントなどでカプセルトイ(いわゆるガチャガチャ)を設置した。コインケースや、鈴鹿8耐では2019年ヤマハファクトリーのカラーリングをイメージしたネイルシールがカプセルの商品となった。

カプセルトイの商品となったネイルシールカプセルトイの商品となったネイルシール
「今回は、普段ヤマハとのかかわりがない女性などのお客さまをターゲットにしています。ですから実際に使えるもの、女性がかわいいと思うもの、そういった視点に着目して、グッズを考案し、好評いただきました」

鈴鹿8耐の場では、カプセルトイを引きにやって来たお客さんのうち、実に4割が女性だったという。

「鈴鹿8耐ではわたしたちもブースにいて、お客さまとの会話を楽しみ、交流ができました。物販ではなかなか接点を持てないお客さまとも、カプセルトイを通して新しい接点がつくれたと思います」と、ヤマハ発動機 PF車両ユニット PF車両開発統括部 車両実験部 プロジェクトグループ 主事の神谷久美子さん。

このカプセルトイ、メンバーがカプセルに商品を詰めるところから自分たちの手で行ったそうだ。そして最終的に、お客さんの手にわたるところまで現場に立って感触をその手に収めた。

「バイクあるある」に盛り上がる交流

もう一つの取り組みは、女性向けバイク用品のオンラインショップ、Baico(バイコ)とのコラボレーション。11月16日にバイク用品店ナップスベイサイド幸浦店で『バイコカフェ』を行った。このバイコカフェ、もともとはBaicoが女性ライダーの交流の場として開催していたもの。今回はヤマハとBaicoがコラボする形で実施されたということだ。

「女性はバイクを通して交流する方を大事にしています。もしかしたら、それが男性との違いなのかも、とは感じましたね。座談会でもバイクの話というより、どこにツーリングへ行ったとか、そういう話を共有したいという印象を受けました」と神谷さん。

「来てくださったのは40代、50代の方が多かったのですが、バイク歴があまり長くなかったり、最近免許を取ったばかりの方もいらっしゃいました。ベテランライダーから、ビギナーライダーまで、いろいろなお客さまが集まって、女性ならではのバイクあるあるの話をして楽しんでいましたね」と宇都宮さん。

ちなみに全員女性ライダーでもあるAチームのみなさん。女性ライダーとしても、バイコカフェでのコミュニケーションでは共感できる部分もあったそうだ。

Aチームとしてはこのほかにも、フィリピンの拠点との協働で、二輪市場として成長しつつあるフィリピンの市場調査と、現地の潜在的女性ライダーに向けた訴求についても取り組んだという。

若い女性にヤマハをそっと届ける「コトづつみ」

前年からのプロジェクトの継続を活動の主軸としていたAチームに対し、もう一つのレディプロジェクトであるBチームはまったくまっさらな状況からスタートした。メンバーは4名と、サポートメンバーが2名。このサポートメンバーには、2019年のYWFに参画する唯一の男性社員も含まれている。

2019年から始まったBチームの活動について説明してくれたのは、ヤマハ発動機 ワイズギア 経営管理部 管理課の水野優里子さんだ。

「Bチームは課題から自分たちで見出して進めてきましたが、Aチームと同じく、ヤマハとの接点が薄いお客さまをどう取り込むかを目的に取り組んできました」

Bチームが社内外で視察や研鑽を重ね、見出したのがヤマハのホームページからのアプローチだった。「ヤマハ発動機が提供できるコト消費は豊富に持っていますが、現状では若いお客さまがとても少ないのです。私たちはそこに課題意識を持ちました。ヤマハにはいろいろなサービス、製品があります。それを若い人たちにアプローチできれば、新しいユーザーさんを取り込めるのではないかと考えたのです」

コトづつみのQRコードが印刷された油取り紙コトづつみのQRコードが印刷された油取り紙
こうして生まれたものの一つが、『コトづつみ』というインターネットコンテンツだ。

「まず、今の若者の生活はスマートフォン中心ですよね。そして、SNSはビジュアルを重視する傾向にあります。加えて男性は機能、スペック重視ですが、女性はイメージで、直観的にとらえるようです。そうした直観に訴える楽しいツールとして誕生したのが、『コトづつみ』なんです。ネーミングには、コトという『体験』を『贈り物として』つつみました、という意味が込められています」

ターゲットを18歳から24歳の若い女性に定め、ヤマハというブランドを届けたいと考えた。そうしたターゲット層に配慮し、コトづつみはヤマハというロゴが全面に押し出されておらず、一見すると、ヤマハのそれとはわからないようになっている。三つほどの診断がイラストで現れ、進んでいくと診断結果が表示される。その下に、診断結果からオススメされるヤマハのコンテンツが案内される仕組みだ。

このコトづつみはオンライン広告を行ったほか、メンバー行きつけの美容院などにQRコードを印刷した油取り紙を置いてもらうなど、フェイスtoフェイスの広報活動も展開したという。

「興味を引くものとして実績は上げられた」とその成果を語る水野さん。だが、一方で課題も浮き彫りになった。「見せ方として足りない部分がありました。SNSでのシェア数も伸び悩んだので、若い女性の心をつかむ改良は必要ですね」

女性らしい視点を存分に活用したレディプロジェクトの活動。今後はどのような展開を見せていくことになるのだろうか。

《伊藤英里》

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