GR-FOURは「ベルトコンベアでは作られない」、86やスープラとも違うこだわり…東京オートサロン2020

モリゾーのこだわり
モリゾーのこだわり全 9 枚

10日、正式発表となり先行予約がスタートした『GRヤリス』には「GR-FOUR」という別名がある。往年のWRCで活躍した「GT-FOUR」継承の意味も込められたこの名前について考えたい。

東京オートサロン2020のプレスカンファレンスで、トヨタ自動車の豊田社長はビデオメッセージで、GRヤリスについて「GR-FOUR」の名称を使い次のようなコメントをしている(なお、本人はその後サプライズとして幕張の発表会場に登場している)。

「トヨタのスポーツカーを取り戻したい。…自らの手で作るスポーツカーがほしい」

また「欧州では、勝てる車を持っていて初めて認められる」とも述べていた。2019年WRCのチャンピオンを取ったのはトヨタ『ヤリス』をベースとしたWRカーだ。トヨタはかつて「セリカGT-FOUR」で2度のWRCマニュファクチャラーズチャンピオンとドライバーズチャンピオン(1993年、94年)を獲得している。もちろん『セリカ』はトヨタが設計開発した車。いわばプロパーだ。

セリカWRCセリカWRC

現在セリカは作られていない。派生したスポーツモデル『スープラ』の現行モデルは、登場してすぐにさまざまなレースカテゴリーに投入され、オートサロンでもスープラのカスタムカーやデモカーを展示していないブースがないくらいだ。しかし、スープラは現在、トヨタが作っている車ではない。その意味では、『86』もスバルとの共同開発だ。「トヨタ自らの手で作る」という言葉の重さが理解できるだろう。

2017年にWRC復活を遂げたとき、ヤリスを選んだのはそのような想いがあったはずだ。現在のWRカーのベースとなるグループA車両を消去法で選んだ結果という見方もあるのだが、Gazoo Racingの友山茂樹氏によれば、開発を始めた当初は、とにかく曲がらない車で相当苦労したという。欧州のローカルラリーでヤリスを使うチームや、国内では『ヴィッツ』のワンメークレース、全日本選手権のラリー車両も存在していたとはいえ、WRカーとしての素性の、ライバルとのギャップはぬぐえない。勝つことが最優先なら、ヤリスWRカーは、あまり合理的な判断とはいえない。

2020年仕様「トヨタ・ヤリスWRC」の公開画像。2020年仕様「トヨタ・ヤリスWRC」の公開画像。

結果は2年でタイトルをとるまでになったわけだが、おかげでGR-FOURという、かつて多くの欧州メーカーが持っていた、グループA、WRカーのベース車両に特化したホットモデルの市販が実現した。FIAのホモロゲーション取得も前提としている。

GR-FOURは、まだ開発段階だが、ホモロゲーション取得のためには量産体制が欠かせない。グループAは量産車であることが前提だからだ。友山氏によれば、GR-FOURのラインは、コンベア式のラインではなくAGV(自走式台車)方式になる。そして、そのラインにはトヨタの各工場の職人が集められ、量産車ながら細かい設計や設定、仕様に対応させるという。

GR-FOUR(GRヤリス)発表GR-FOUR(GRヤリス)発表

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. 多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円
  3. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  4. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  5. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  6. ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
  7. ホンダ『ヴェゼル』マイナーチェンジで3グレードに集約、納期改善へ…「HuNT」「PLaY」新設定で個性強調
  8. メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
  9. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  10. MINIに新種『エースマン』登場、航続406kmのEV…北京モーターショー2024
ランキングをもっと見る