フィアットは、フィアット『500』にマイルドハイブリッドの『500ハイブリッド』(Fiat 500 Hybrid)を設定し、2月に欧州で発売すると発表した。
2020年は、フィアットブランドの歴史において、新たなマイルストーンになるという。フィアット500の新しいハイブリッドバージョンの発売により、ブランドの電動化が始まるためだ。また2020年には、イタリア・トリノにおいて、次期500の生産が開始される予定だ。このモデルは100%EVとなり、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のe-モビリティ戦略において、重要な役割を果たす。
1.0リットル3気筒エンジン+モーター
フィアットが新開発したマイルドハイブリッドは、最新の1.0リットル直列3気筒ガソリン「FireFly」エンジン(最大出力70hp/6000rpm、最大トルク9.4kgm/3500 rpm)に、12ボルトの「BSG」(ベルト一体型スタータージェネレーター)、電気モーター、リチウムイオンバッテリーを組み合わせたものだ。
FCAによって開発されたFireFlyエンジンは、優れた燃費性能を備えた小型ガソリンエンジンだ。このエンジンの基本構造は、コンポーネントと製造プロセス、柔軟性、将来の開発の可能性に関して、効率性、モジュール性、標準化が追求されているという。フィアット 500 ハイブリッド
このエンジンのシリンダーヘッドには、シリンダーごとに2つのバルブと、連続可変バルブタイミングを備えたカムシャフトがある。コンパクトな燃焼室、高タンブルの吸気ダクト、EGR(排気ガス再循環システム)も採用された。12対1の高い圧縮比によって、熱効率の向上も図る。
FCA傘下のイタリアのTeksidと共同開発されたクランクケースは、鋳鉄製シリンダーライナーを備えた高圧ダイカストアルミ製だ。エンジンの始動時間を短縮し、エンジンの重量をわずか77kgに抑える。さらに、ボア/ストローク比1.24のクランク機構と10mmオフセットさせたコネクティングロッド/クランク装置によって、効率を最大化することで、摩擦も低減している。
減速中のエネルギーを蓄電し加速をアシスト
BSGシステムはエンジンに直接取り付けられており、補助装置もベルトによって駆動する。BSGは、ブレーキおよび減速中のエネルギーを回収し、蓄電容量11Ahのリチウムイオンバッテリーに蓄える。この電力はピーク時に3.6kWの出力を発揮し、加速時などにエンジンをアシストする。BSGシステムのおかげで、高いレベルの走行快適性を確保しているという。フィアット 500 ハイブリッド
このエンジンには、ストップ&スタートモードが付く。30km/h以下の低速域では、エンジンを停止できる。ハイブリッドシステムに関する情報を表示するモニターには、ドライバーにそのことを知らせる。ストップ&スタートモードは、エンジンをスムーズに再始動する。
高速道路などでの低負荷走行時に、エンジンを停止するコーストモードも採用した。リチウムイオンバッテリーがすべてのサービスに電力を供給し、ドライバーが車両を完全に制御できるようにしている。
専用ギア比の6速MT
フィアット500ハイブリッドでは、トランスミッションは6速MT、駆動方式はFFとした。この6速MTは、郊外での燃費を向上させる専用ギア比が採用される。また、パワーユニット全体の搭載位置を45mm下げ、重心を低くした。これにより、車両の動きを向上させている。
なお、フィアット500のマイルドハイブリッドは、キャンバストップを備えたオープンモデルの『500C』にも設定される。