マツダが2月5日に発表した2020年3月期の第3四半期(4~12月期)連結決算は、営業利益が前年同期比43.3%減の323億円となった。主力の米国や中国で販売が減少したのに加え、為替の円高影響や米国新工場関連費用なども収益を圧迫した。
通期予想は据え置いている。第3四半期までのグローバル販売は5%減の110万6000台だった。このうち米国は4%減の20万8000台、中国は10%減の17万5000台となった。ただ、第3四半期のみでは両国とも前年同期比でプラスに転じている。また、両国ではインセンティブを抑制する取り組みも継続している。日本の販売は7%減の13万9000台。一方で新世代商品の『CX-30』などが好調な欧州は11%増の21万9000台と健闘している。
営業利益段階での減益要因は、円高による為替変動がもっとも大きく547億円となった。期中の平均レートは1ドル109円で、前年同期からは2円の円高だった。ユーロや豪州ドルなどマツダにとって影響の大きい通貨も円高が進み、対ユーロでは172億円の減益要因となった。
また、開発費用の増加で25億円、米国新工場投資などその他費用で115億円の減益要因もあった。一方でインセンティブといった販売費用の抑制と単価改善への取り組みになどよる増益効果が282億円となり、販売台数減の影響をカバーしている。純利益は8.4%減の324億円だった。
マツダ CX-30(欧州仕様)通期のグローバル販売計画は、第2四半期で7万台弱を下方修正していたが、各国市場の需要が振るわず、更に5万台を減らして150万台(前期比4%減)に見直した。だが、通期業績予想は為替レートを足元の状況に見直すなどで、第2四半期時点に下方修正した営業利益600億円(27%減)、純利益430億円(32%減)を据え置いている。
記者会見した藤本哲也常務執行役員は、第3四半期業績について「新世代商品の第2弾であるCX-30の導入も欧州と日本から始まった。販売費用の抑制や単価改善など販売の質的改善は計画どおりに進捗している」と評価した。新型肺炎の中国事業への影響に関しては「現時点ではこれくらいの影響があると定量的なことは言えず、情勢を注視していくしかない」との見解を示した。
マツダ CX-30 SKYACTIV-X南京と長春にある車両工場については地方政府の指示もあって、現時点では今月9日までは企業活動を再開しないことになっている。通期の業績予想にはこうした影響は反映していないという。