【ホンダ フィット 新型】4代目はホンダ車のジンクスを打ち破れるか

4代目(新型)フィットと寺谷公良執行役員(左)、開発責任者の田中健樹氏
4代目(新型)フィットと寺谷公良執行役員(左)、開発責任者の田中健樹氏全 9 枚

ホンダは2月14日、コンパクトカー『フィット』の新型車を発売する。4代目となる今回のフィットは2013年以来、約7年ぶりのフルモデルチェンジで、歴代フィットが築き上げた優れた性能・機能をベースに、数値では表現できない4つの“心地よさ”を盛り込んだ。

「振り返ってみると、2代目、3代目は室内空間をさらに広く、燃費を少しでも良くしようと機能的な価値をもっと伸ばそうと開発したが、付加価値という点ではそれほど大きく成長できていなかったのではないか。そこで、4代目を開発するに当たり、現在コンパクトカーに乗っているお客さまが知らず知らずに諦めていること、潜在的なニーズに新たな価値で応えることができれば、もう一度初代フィットのように広くお客さまに受け入れられるのではないかと考えた」と開発責任者の田中健樹氏は説明する。

初代フィットは2001年に発売されたが、それまでのコンパクトカーのイメージを覆し、広々とした室内空間と使い勝手の良さで爆発的な人気となった。なんと約半年間で販売台数が10万台を突破したのだ。02年には33年間トップを守り続けてきたトヨタ自動車の『カローラ』を上回り、年間販売台数でトップに輝いた。

ところが、2代目、3代目になると、その勢いに陰りが出始めた。それは販売台数をみれば一目瞭然だ。初代が100万台以上販売したのに対し、2代目は94万台、3代目は75万台と下降線をたどっているのだ。

2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」

こうした傾向は歴代のホンダ車も同様で、『シビック』をはじめ『アコード』『オデッセイ』『CR-V』『ステップワゴン』も初代がエポックメイキングなクルマとして大ヒットを記録したものの、代を重ねるごとにその販売台数は減少していき、ユーザーの選択肢から消えつつある。

フィットも販売動向を見ると、そのジンクスに陥りかねないわけだ。特に3代目フィットは国内販売でトヨタの『アクア』の後塵を拝し、同じホンダの軽自動車『N-BOX』の陰に隠れて存在感が薄れてしまった。

骨盤から腰椎までを支えるボディスタビライジングシート(右)と従来のシート骨盤から腰椎までを支えるボディスタビライジングシート(右)と従来のシート

そこで、4代目フィットではもう一度輝きを取り戻すために、初代を研究すると同時に、人を研究する社内組織と連携して潜在ニーズの調査を行った。その結果、「室内空間や燃費といった機能的価値を訴求するだけではダメで、新たな価値として“心地よさ”をクルマに身につけることにした」(田中氏)そうだ。

田中氏によると、その心地よさをつくっているのは4つの要素で、心地よい視界、座り心地、乗り心地、使い心地からできているという。例えば、心地よい視界では、フロントピラーを従来の半分以下の厚さにするとともに、二重構造にすることで衝突安全性を確保。座り心地では、フロントシートに骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支えるボディスタビライジングシートをホンダとして初めて採用した。

新型フィット新型フィット

また、乗り心地では、パワートレインに2モーターならではの力強い加速と滑らかな走りを実現するホンダ独創のハイブリッドシステム「e:HEV」をコンパクトカーとして初めて搭載。使い心地についても、歴代フィット同様の広い室内空間や多彩なシートアレンジを継承しつつ、気軽にカバンなどを置けるテーブルコンソールをフロントシートの間に設置するとともに、収納レイアウトについても視線・動線を考え抜いた配置にした。

「4代目を登録車の絶対エースに育てていく」とは日本本部長の寺谷公良執行役員の弁だが、これまでのホンダ車のジンクスを打ち破り、果たして目論見通り行くのか。発売時期が重なるトヨタの『ヤリス』と真正面からぶつかるだけに、その販売状況は要注目だ。

新型フィット新型フィット

《山田清志》

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