【ジープ グランドチェロキー トラックホーク 新型試乗】このクルマ、かなり凶暴につき…中村孝仁

オートモードでも相当にヤバい印象が伝わってくる

最強のパワーと最速のスピードを持ったSUV

怖いもの見たさの癖があるユーザーに

ジープ グランドチェロキー トラックホーク
ジープ グランドチェロキー トラックホーク全 26 枚

〇〇ホークというネーミングが好きなジープ。基本従来の〇〇ホークはすべてオフロードの走りを引き上げたものであった。しかし、今回試乗した『グランドチェロキー・トラックホーク』は従来のものとは違う。ただひたすらオンロードのパフォーマンスを引き上げたモデルだから、ジープとしては異色の存在と言えよう。

オートモードでも相当にヤバい印象が伝わってくる

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どの程度引き上げているかと言うと、同社、即ちFCAの最強モデルともいえる、ダッジ『チャレンジャー』に搭載されるその名も「ヘルキャット」と名付けられた6.2リットルV8スーパーチャージャー付きのユニットを押し込んだもので、そのパフォーマンス、710ps、868Nmと途方もない。

北米のFCAメディアサイトによれば0-60mph3.5秒、0-400m加速11.6秒、トップスピード180mphとある。つまり最高速度は288km/hだ。走行には5種類のドライブモードが存在し、オーナーはそれらを個人のドライブ力量に合わせてコントロールできる。しかも4WDシステム、トランスミッション、パドルシフター、スタビリティーコントロール、サスペンション、ステアリングをそれぞれ個別にアジャストできるのだという。

とはいえ限られた時間ではそんなことを試す時間はなく、今回はデフォルトのオートモードのみでの走行である。因みにこれをスポーツモードに切り替えると、トランスミッションのシフトタイミング時間は50%も短縮され、スタビリティコントロール、ステアリング、4WDシステムなどがいずれもアップデートされる。

FCAの書き方ではエンスージアスティック・ドライビングスタイルになるのだそうだ。さらにこれがトラックモードになるとシフトタイミングは68%も短縮されるというから、恐らくは相当なショックも伴ったシフトチェンジになるのではないかと想像される。いずれにせよ実力の片鱗だけを味わったオートモードでも相当にヤバい印象が伝わってきた。

最強のパワーと最速のスピードを持ったSUV

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外観はほとんど普通のグランドチェロキーと変わった風には見えないが、仔細に眺めると巨大タイヤをクリアするためにリアのホールオープニングにはリップが装備されていたり、ホイールの隙間から見えるブレーキにはブレンボの文字が躍っていたり、「ああ、これ、普通じゃないのね」という雰囲気は伝わってくる。

とかくハイパフォーマンスなクルマ、特にそれがSUVとなるとヨーロッパ製が真っ先に考えられがちだが、まさにジープをお忘れじゃありませんか?と彼ら(FCA)も言いたいのだと思う。いずれにせよ、最強のパワーと最速のスピードを持ったSUVであることは間違いなさそうだ。

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早速オンロードに引っ張り出して、ドライブフィールを味わう。3000rpm付近まで上がってくると、まさにけたたましいという表現がぴたりとくるほど凄まじいスーパーチャージャーの音が室内に飛び込んでくる。そういえば以前、東名高速を走っていて同じエンジンを搭載したダッジ・チャレンジャーにぶち抜かれた時、窓を閉めていても聞こえるほどのスーパーチャージャーの音をまき散らしていたから、きっとこのクルマも同じ状況ではないかと思う。

加速はアクセルをゆっくり開けるか、ガバッと開けるかで大きく異なる。前方が空いて、一気にアクセルを開くと前述のスーパーチャージャーの音色と共に、とんでもない加速感を体験でき、スピードはすさまじい勢いで上がっていく。

怖いもの見たさの癖があるユーザーに

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場所を登りのワィンディングが続く箱根ターンパイクに移しても、加速が登りでスポイルされるようなことはなく、アクセルを開けば瞬時にとんでもない加速感があたかも登り勾配など無関係かのように襲ってくる。しかも走安性は予想以上と言っては失礼だが、運動性能も相当に高い。

このクルマがデビューしたのは2010年に遡るから、すでに10年選手。決して新しくないシャシーながら、基本的に同じシャシーを当時のメルセデス『Mクラス』が使用していたことも手伝って、その煮詰めは相当に綿密に行われたと察する。

もっともあまりに強烈な加速を持っていてスピードが上がってしまうので、十分に高いはずのロール剛性だが、やはり目線の高さからかハードコーナリングでは恐怖を感じてしまう。はっきり言うが、相当に凶暴なマシンである。

昨年導入された時は瞬殺で完売してしまったそうだ。怖いもの見たさの癖の有るユーザーには一押しのクルマだ。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファーデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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