赤羽一嘉国土交通大臣は3月3日に開かれた定例会見で、新幹線のバリアフリー対策に関する中間とりまとめの内容を明らかにした。
国土交通省は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、新幹線におけるバリアフリー対策を抜本的に見直すため、新幹線を運行する鉄道事業者(JR)や障害者団体からなる「新幹線のバリアフリー対策検討会」を2019年12月23日に設置。年が明けた1月17日には「新幹線のバリアフリー ソフト・ハード対策検討WG(ワーキンググループ)」の初会合を開いた。
この会合では、新幹線のバリアフリーに関する障害者団体からの意見聴取や、新幹線の車椅子対応の現状報告が行なわれた。2月7日には2回目の会合が開かれ、障害者団体から座席レイアウトについての提案や、予約システム、窓口対応に関する要望が出され、それを基にJRとの議論が行なわれたという。
この2回の会合を経た中間とりまとめでは、「ハード対策として、既存の座席を取り外して、様々な障害のある方も車椅子に乗ったままグループで快適に乗車できる『車椅子用フリースペース』を一般客室の窓際に設ける」「ソフト対策として、これまで電話や窓口での申込みが必要であった車椅子対応座席について、ウェブでも対応可能とするとともに、これまで当日には一般の方にも販売していた車椅子対応座席について、当日でも車椅子使用者に確保」という2つの大きなポイントが示された。
新幹線のバリアフリー対策検討WGこのうちソフト面については、オリンピック・パラリンピックの開催までに、すべての新幹線に対して車椅子対応座席のウェブ予約導入とその販売方法の変更を行なう考えが示された。
これに関連して、記者からは鉄道事業者の反応について質問されたが、赤羽大臣は「事業者の理解が一定程度進んでいると思っております」と述べた。
また、バリアフリー化の対象となる新幹線の車両やバリアフリー基準の改正時期をいつ頃にするのかという質問も出されたが、これについては「まず席数とか車内のレイアウトについてこれから具体に決めなければいけない、フリースペースを作るということは基本的な合意を得ておりますけれども、どういう形にするのかというのは、車椅子使用者の方々も参加する実証実験を行って、夏までを目途に決定して、そしてバリアフリー基準等の改正も行わなければいけない」と答えた。
その上で「各車両ごとに移乗席も含めた詳細設計、製作にとりかかるためにどうしても一定の期間はかかってしまうかなというのが現時点の見通しであります」と述べ、可能な限り速やかに実現することが大事であるとした。