【池原照雄の単眼複眼】高齢者への「サポカー補助金」スタート…低迷需要の刺激にも

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新車は最高で10万円、後付けの急発進抑制装置も対象に

政府が、2019年度補正予算で実施する「サポカー(安全運転サポート車)補助金」の受け付けが3月9日から始まった。歩行者も検知できる衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備を搭載した車両や、後付けの急発進抑制装置を65歳以上の人が購入すると最大10万円が補助される。車両への補助制度はこれまで「エコカー補助金」のように、もっぱら環境対応車向けだったが、高齢ドライバーによる事故防止や低減のためのユニークな施策となる。2019年10月の消費税増税の影響で低迷が続く国内新車需要への喚起策としても期待される。

補助金は以下のように設定されている。

■車両(サポカー)への補助金
・「対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ」と「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」が搭載された車両→登録車10万円、軽自動車7万円、中古車4万円
・「対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ」が搭載された車両→登録車6万円、軽自動車3万円、中古車2万円

トヨタ自動車の後付け用「踏み間違い時加速抑制装置」トヨタ自動車の後付け用「踏み間違い時加速抑制装置」

■後付けの「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」への補助金
・障害物検知機能付き→4万円 
・障害物検知機能なし→2万円 

19年度中、つまり今月末の時点で65歳以上となっている人が対象で、予算総額は1127億円。一般社団法人の次世代自動車振興センターが申請の受け付けなど事業を執行する。車両については、予算措置が決まった19年12月23日以降に登録あるいは届け出(軽自動車)されたものが対象となる。

65歳以上のドライバーを抱える事業者も

車両購入者が登録や届け出の完了後に申請書を同センターに郵送すれば、審査を経て自身の口座に補助金が振り込まれる仕組みだ。個人の自家用車だけでなく、事業用車両も一定の予算枠で対象となっており、従事する65歳以上のドライバーの人数分の補助金が受けられる。

後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置については、自動車ディーラーなど販売事業者が次世代自動車振興センターの「認定事業者」となったうえで、補助金の受け取りを代行する。ユーザーは補助金が控除された金額、たとえば7万円の障害物検知機能付き装置を購入した場合は、補助金の4万円を除いた3万円を支払えばよい。また、補助金を受けた新車は1年間の保有が義務付けられる。

補助金は予算がなくなり次第、終了となるので、クルマの買い替えを検討している高齢者には、終了時期が気になるところだろう。そこで、おおよそのタイミングを試算してみた。

新車の登録・届け出は年末までセーフか?

補助金がもっとも高額なのは、登録車で対歩行者の衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い急発進抑制装置の両方が搭載された新車(大半の新車が該当)向けの10万円。仮に補助金のすべてを10万円とすると、1127億円の予算総額ではざっと110万台に支給することができる。実際は新車販売のうち、約4割を占める軽自動車の補助金は7万円なので、これ以上の台数に支給できる。

一方で、中古車や後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置への補助金もあるため、これらを勘案し、補助金が受けられる新車を控えめに100万台とする。また、65歳から79歳までの運転免許保有者の比率は保有者全体の約2割(警察庁の18年末時点調査で19.9%)なので、この比率を基に購入される新車の2割がサポカー補助金の対象になると想定する。

そのうえで、年間の新車販売を500万台(19年は約520万台)とすると、その2割は100万台なので、新車へのサポカー補助金は、ほぼ1年間は適用されるというラフな試算が成り立つ。つまり、今年の年末までの登録と届け出車両は対象になると見込める。買い替えなどを検討する高齢の方は、今後投入予定の新モデルなどもじっくり比較することができるだろう。

もっとも、注文から納車まで時間がかかるモデルもあるので、随時、次世代自動車振興センターが公表する補助金の「消化」状況を参照するのが無難だ。高齢者の安全な運転をサポートする今回の補助金は、国家予算の時宜を得た有用な使途であり、ユーザーの活用状況など今後の推移を注視したい。

《池原照雄》

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