トーヨータイヤ、ゴム材料基盤技術を進化…材料データベース/AI活用のMI技術を採用

MI技術(イメージ)
MI技術(イメージ)全 3 枚

TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は4月22日、ゴム材料開発基盤技術「ナノバランステクノロジー」の一環として、新たにマテリアルズインフォマティクス(MI)を利用したゴム材料の特性予測技術や材料構造の最適化技術を開発したと発表した。

MIとは、蓄積した材料データベースや人工知能(AI)などを活用して、新規材料や代替材料の探索などを効率よく行う技術。これまでは技術者の経験値や直感、実験の繰り返しなどによる試行錯誤の中で新素材へのアプローチを行なってきたことから、開発には相当量の時間を要していた。近年、材料開発のプロセスでもAIや機械学習などが用いられ始めており、このMI技術によって、時間とコストを大幅に削減することが期待されている。

トーヨータイヤでは、資産としてストックした既存データをベースに、2018年よりMI技術を用いた配合と物性の予測技術の検証を本格的に行ってきた。技術精度を向上し、2019年には外部情報との紐づけといった対象データの拡大適用も検証。今後、保有データをフルに有効活用できる環境を整備するとともに、従来にない視点での解析方法や予測データを用い、開発を高度に最適化するMI技術を駆使した新素材の実現を進め、「高性能な製品開発」と「開発時間短縮・コスト低減」の両立を図っていく。

ゴム材料は主要原料であるポリマーに補強剤、各種薬剤が添加された複合材料だ。いずれの薬剤も製品特性に直接作用するため、その種類や量、また、加工方法の調整による複雑な制御が必要。今回、MI技術を導入して特性や配合の推測値を高精度に出力するシステムを構築したことで、最小限のテストで効率的な材料開発が可能となる。システムは非線形推定モデルを実装し、データベースに外部情報を取り込むことでこれまでの知見を超えた拡張予測を行い、高性能材料の開発にも活用していく。

タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用(イメージ)タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用(イメージ)

同社では、ナノバランステクノロジーの「分析」の領域にて、多様なツールを活用しながら、材料特性の要素を階層別に構造分析、あるいは評価し、開発上の課題を抽出している。取得した材料構造や化学構造はデータの次元が異なるため、これまでは間接的に特性を推測するための情報として活用してきたが、MI技術の採用により、これら構造情報から材料特性の推測値を算出できるようになった。またMI技術が「目標とする特性値から構造を最適化する」という逆問題にも応用できることから、新材料の開発領域にも適用・拡大を進めていく。

トーヨータイヤでは、ゴム材料基盤技術「ナノバランステクノロジー」とタイヤ設計基盤技術「T-モード」を基軸に、双方を連携させて高性能・高品質な製品の開発を行っている。今後、ゴム材料開発プロセスにてMI技術をフルに生かし、開発製品の価値向上を図っていくとともに、タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用していく可能性を追求し、将来のモビリティ社会に貢献できる付加価値の高い製品を創出していく。

タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用(イメージ)タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用(イメージ)

《纐纈敏也@DAYS》

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