フィガロにパオ、今も愛される日産の「パイクカー」たち【懐かしのカーカタログ】

日産のパイクカーたち
日産のパイクカーたち全 14 枚

本連載でやはり外せなかった、日産の一連の「パイクカー」。クルマはもとより、こうしたクルマの誕生が許された時代が懐かしい。未だに人気が高いようだが、その個性をカタログで振り返ってみたい。

フィガロ(1991~1992年)

日産フィガロ(1991~1992年)日産フィガロ(1991~1992年)
以前、個人的に特定していた、これを彷彿とさせる昔のクルマの具体的な車名を失念してしまったのだが、まるで古いフランス映画に出てくるような、優雅でロマンティックな姿が印象的だった。

日産フィガロ(1991~1992年)日産フィガロ(1991~1992年)
ソフトトップ開閉可能で格納時はトランクに。手動式ではあったが、その所作はシンプルでさり気ないのがよかった。フロントフェンダーとフロントパネルは可塑性樹脂を用い、フッ素樹脂塗装のボディカラーはペールトーンの4色。

日産フィガロ(1991~1992年)日産フィガロ(1991~1992年)
インテリアのクラシカルで上質なムードに仕上げられ、丸型メーターの文字盤、指針もクラシカルな時計のようなデザイン。オーディオやスイッチひとつひとつまで凝ったデザインが施され、シートには本革が奢られていた。バッグなど専用オプションも豊富に用意された。187万円(当時)で2万台の限定販売。

Be-1(1987~1988年)

日産 Be-1(1987~1988年)日産 Be-1(1987~1988年)
車名は当時の開発記号(B1)が由来で、もともとは『マーチ』次期型の開発過程での一案(B1案)だったとのこと。

日産 Be-1(1987~1988年)日産 Be-1(1987~1988年)
当時の広報資料にあたると、フロント/リヤエプロン、フロントフェンダーに、鋼板と同時に焼き付け塗装が可能な熱可塑性樹脂(Flex Panel)を世界初で採用している、とある。ちなみにBMWのR50『ミニ』、VWの『ニュー・ビートル』の登場は、いずれもこの『Be-1』以降のこと。

日産 Be-1(1987~1988年)日産 Be-1(1987~1988年)
パワーステアリングは非搭載だったが、当時、広報車を借り出した筆者は、東京・渋谷のスクランブル交差点を通り抜けた際、横断歩道で信号待ちをしていた男子歩行者数名が、まるでアイドルを見つけたかのように「ビー、ワーン!!」と野太い声でコールをよこした記憶が今でも鮮明に蘇る。

パオ(1989~1991年)

日産パオ(1989~1991年)日産パオ(1989~1991年)
『Be-1』に次いで登場したパイクカーがこの『パオ』と『エスカルゴ』だった。

手元にあるのは1989年1月に配布された、裏面が全面ポスターになった4つ折りのカタログ。“3ヶ月間予約期間限定販売”とあり、外観、内装の写真とボディ色(4色のバリエーションはアースカラーだった)の見本、さらに主要諸元の記載がある、ごく簡単なもの。“電柱がヤシの木に見える”がコンセプトで、サファリジャケット風味とでも言った雰囲気。

日産パオ(1989~1991年)日産パオ(1989~1991年)
エンジンフード、フロントフェンダー、エプロンなどは少量生産ではむしろコストで好都合な樹脂製を採用。3角窓、あえて表に出したデザインのドアヒンジ、キャンバストップ仕様など、コダワリのクルマだった。

エスカルゴ(1989~1990年)

日産エスカルゴ(1989~1990年)日産エスカルゴ(1989~1990年)
日産車体が製造し、4ナンバー車登録だったというユニークな『エスカルゴ』。標準ボディで全高1835mm(キャンバストップ仕様車は1860mm)の背の高さ、名前から連想されるようにカタツムリのようなスタイリングが目を惹いた。

日産エスカルゴ(1989~1990年)日産エスカルゴ(1989~1990年)
ベースは他のパイクカーがマーチだったのに対し、当時の『ADバン』がベースという点が特徴。パワーステアリングは標準だった。2名時の荷室寸法は長さ1065mm、播馬1325mm、高さ1230mmとカタログに記載がある。“室内システムラック”など、ビジネスにもレジャーにも使えるオプションパーツも用意された。

日産エスカルゴ(1989~1990年)日産エスカルゴ(1989~1990年)

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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