赤羽一嘉国土交通大臣は6月9日に行なわれた定例会見で、佐賀県が九州新幹線西九州ルートの協議入りを了承したことについて、記者の質問に答えた。
九州新幹線西九州ルート新鳥栖~武雄温泉間の整備については、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の導入断念を受けて、2019年以来、国と佐賀県がその後の整備方式を巡って紛糾。同年8月に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(与党PT)が「フル規格ありき」という姿勢を示したことから、佐賀県の反発が強まっていた。
その後、赤羽大臣と山口祥義佐賀県知事との間で2度会談が行なわれ、その後、年を跨いで、協議入りを前にした確認文書のやりとりが事務レベルで続けられたが、佐賀県の反発は強まるばかりで、協議入りは不透明とも言える状態だった。
しかし、6月5日には、国交省の足立基成幹線鉄道課長らが佐賀県庁で開かれた事務方の会議に出席。これは確認文書案の調整が名目だったということだが、佐賀県側はその場で確認文書ができないままでの協議入りを了承したという。
フル規格ありきではなくこのような5者択一のフラットな議論を主張する佐賀県。そのための議論のあり方について、国との文書のやり取りが続いていたが、佐賀県の山口知事は文書ができないままでの協議入りを了承した。これについて赤羽大臣は「その経緯はさておきまして、この段階で佐賀県との協議が開始されるようになったことは一歩前進」と評価。単に佐賀県だけの問題ではなく「九州地域、西日本地域の未来にとってどのような整備のあり方が望ましいのかということを精力的に議論を積み重ねていくことが重要だと考えております」と述べた上で、「お互いにとってよい結論を可及的速やかに導き出したいというのが私の立場だ」として、協議への意欲を示した。