シューティングブレークってどんな車?…由来とバリエーション[フォトヒストリー]

ロールスロイス・シルバーコースト・シューティングブレーク(1923年)
ロールスロイス・シルバーコースト・シューティングブレーク(1923年)全 23 枚

フォルクスワーゲンが6月24日、『アルテオン』に5ドア・ファストバックワゴンの「シューティングブレーク」を設定し発表した。近年メルセデスベンツの『CLA』クラスや『CLS』クラスに設定されて人気が出てきたボディタイプだ。

シューティングブレークも、「セダン」や「クーペ」と同様に、馬車のボディタイプに由来する名称で、最近になって作られた名前ではない。「シューティング」は銃による狩、狩猟、ハンティングのことだが、「ブレーク」(=break)は何を意味するのか?

メルセデスベンツが2012年に「CLSシューティングブレーク」をリリースしたとき、このボディ名称について説明している。メルセデスベンツによると、「野生の馬を馴らす(=break)するために引かせた馬車」をブレークと呼んだのが始まりだそうだ。

「このような用途で作られた馬車(ブレーク)は壊れやすかったので、ほかに使用目的が決まっている場合には避けられた。そして目的に応じていろいろな車体が用意された。そのひとつが狩猟だ。狩猟に出かけるための馬車がシューティングブレークと呼ばれるようになった」(メルセデスベンツ)

アストンマーティンDB5シューティングブレーク by ラドフォード・スコット・パテンドン(1965年)アストンマーティンDB5シューティングブレーク by ラドフォード・スコット・パテンドン(1965年)

それが自動車にも使われるようになったというわけだ。なおブレークの語はフランス語にも移植されて、ステーションワゴンやエステートの意味で、breakのスペルのまま「ブレク」となった。

自動車のシューティングブレークは60~70年代のイギリス車にしばしば見られた。この頃は狩猟が富裕層の趣味になったせいか、シューティングブレークは特別な2ドア・スポーツカーだった。銃や獲物や猟犬を載せるための広い荷室と大きなテールゲートを持つ、豪華でスタイリッシュなクーペだ。量産型クーペのルーフを延長して荷室を拡大したカスタムカーもあった。

ジャミロクワイのジェイ・ケイが所有したフェラーリ330GTヴィニャーレ・シューティングブレーク(1968年)ジャミロクワイのジェイ・ケイが所有したフェラーリ330GTヴィニャーレ・シューティングブレーク(1968年)

実用用途の馬車だったシューティングブレークは、こうしてスポーティでラグジャリーな、そして荷室を備えた車となった。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、新型3列シートSUV『CX-80』をついに世界初公開 日本導入時期は
  2. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  3. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
  4. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  5. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  6. トヨタ堤工場、2週間生産停止の真相、『プリウス』後席ドア不具合で13万台超リコール[新聞ウォッチ]
  7. トヨタ ランドクルーザー250 をモデリスタがカスタム…都会派もアウトドア派も
  8. 一気に200馬力以上のパワーアップ!? アウディのスーパーワゴン『RS4アバント』後継モデルは電動化で進化する
  9. アルファロメオ『ジュニア』がミラノ・デザインウィーク2024に登場
  10. 日産はなぜ全固体電池にこだわるのか? 8月にも横浜工場でパイロットプラントを稼働
ランキングをもっと見る