[スピーカー交換からのバージョンアップ]外部パワーアンプを追加して“制御能力”を向上

外部パワーアンプの一例(フォーカル)。
外部パワーアンプの一例(フォーカル)。全 2 枚

「スピーカー交換」を実行したその後の“バージョンアップ”について考察する短期集中特集をお届けしている。今回テーマに据えるのは“外部パワーアンプ”。これを用いることでどんなメリットが得られるのか、そして実践の際のコツまでを詳細にリポートしていく。

なお当特集は、毎回全国の有力カーオーディオ・プロショップに取材して記事を構成している。今回は奈良県山市井戸野町にて店舗を構える“ブリーズ”の木村さんに教えを請うた。さて、“外部パワーアンプ”の魅力とは…。

トルクが向上し、音楽を生き生きと再現できる!

まずは木村さんに、“外部パワーアンプ”を導入するメリットから教えてもらった。

外部パワーアンプの一例(フォーカル)。外部パワーアンプの一例(フォーカル)。

「スピーカーの“制御能力”が上がること、これが最大のメリットだと思います。パワーも上がりますが効いてくるのはむしろトルクの方です。スピーカーを動かす力が大きくなり、そして止める力も上がります。結果、低音にハリが出て、全体的に切れ味が増します。音楽をより生き生きと再現できるようになるんです。また、より良いモデルを手にできれば情報量や解像度も向上します。

ところで、“スピーカー交換”の後に何をすべきかというといろいろなアプローチが有り得ています。特に最近は、“パワーアンプ内蔵DSP”も人気が高いです。当店でもそれをお薦めすることは多いのですが、そうではなく“外部パワーアンプ”の導入を選択すると、後々のシステムアップも楽しめます。ここに重きを置くのならこちらの方がお薦めです。ある程度良質な“外部パワーアンプ”を選んでおくと、後から“単体DSP”を加えさらには台数も増やしていって、本格システムへと発展させられます。手軽さを取るか将来性を取るか、そこが分かれ道になると思います」

続いては選び方のコツを教えてもらった。

「予算ありきなのですが、せっかくですから少々背伸びをするくらいが良いのではないでしょうか。スピーカーでも同様なのですが、最廉価クラスのモデルから1グレードまたは2グレード上のモノに狙いを定めると、得られる満足度がぐっと高まります。低価格帯の製品ほど、少しの価格差が大きな性能差となって現れますから。例えば3万円のモデルと6万円のモデルとでは価格が倍違います。この差は小さくはありません」

お薦めは4chモデル。使いやすく、システム発展もさせやすい!

選び方についてさらに話を続けてもらった。

「ch数的には、4chモデルがお薦めです。同じ価格であれば2chモデルの方が音が良いですが、使いやすさで言えばやはり4chモデルに分があります。実際、多くのお客様が4chモデルを選ばれています。

4chモデル1台で“フロント2ウェイ+サブウーファー”を鳴らすというのがカーオーディオの基本スタイルだと思います。そして後にはそれ1台で、フロントスピーカーの“マルチ駆動”も行えますし。

なお、スペックはほとんど気にしなくて良いと思います。他のユニット以上に“外部パワーアンプ”は、スペックで性能を推し量り難いです。参考程度に見ておけば良いのではないでしょうか。特に、ワット数は気にしなくて良いと思います。どうせならハイパワーなモデルの方が良いようにも思えるのですが、出力の大小が音の良し悪しに与える影響は大きくないと考えています。ほとんどのモデルでパワー不足を感じることもないと思いますし。

ちなみに“外部パワーアンプ”はスピーカーと同様に、高級機になればなるほど性能も上がっていきます。基本的な構造は各機で大きな違いはなく、価格差はパーツの質の差で生まれます。コストが掛かっているモデルほど、高音質化して当然です。

そして、大型化するほど性能が上がっていく傾向があることもまた事実だと思います。一概には言えない部分もありますが、大きいことには理由があります。多くの場合電源部が大型化していて、それはつまりはエンジンが大排気量になるようなものなので、音にダイレクトに効いてきます。高性能なモデルが良いと思ったときには、ある程度ボディが大きくなることは許容すべきかもしれません」

“バイアンプ接続”と“マルチアンプシステム”の効能とは…。

ところで“4chパワーアンプ”なら“マルチ駆動”も行えるとのことなのだが、これについてさらに詳しく教えてもらった。

「“マルチ駆動”のやり方は2とおりあります。1つが“バイアンプ接続”で、もう1つが“マルチアンプシステム”です。

まずは前者についてご説明していきますね。もしも使われているスピーカーのパッシブクロスオーバーネットワークが“バイアンプ接続”に対応しているのなら、これを行えます。なお“バイアンプ接続”では、スピーカーユニットの1つ1つにパワーアンプの1chずつを割り当てられますのでスピーカーをよりトルクフルに動かせるようになりますが、メリットはそれだけにとどまりません。各スピーカーユニットのレベルを個別に調整できるようにもなります。つまり、ツイーターとミッドウーファーとのレベルのバランスを厳密に合わせられるんです。むしろこちらのメリットの方が重要だと思っています。

一方“マルチアンプシステム”とは、信号の帯域分割(クロスオーバー)を“パワーアンプ”の前段で行って“マルチ駆動”させる方式です。なおこれを実行するには、高度な“DSP”が搭載されたメインユニットか“単体DSP”が必要です。

で、このやり方でも“バイアンプ接続”と同様の利点が得られます。そしてクロスオーバーも変えられますから利点がさらにブーストされます。取り付け条件に応じた最適なクロスオーバー値を探し出せるので、スピーカーの性能を一層引き出せます。そしてその上でタイムアライメントも活用できます。“外部パワーアンプ”を導入したら、いつかは“マルチアンプシステム”にもトライしていただきたいですね。

“スピーカー交換”をされたなら、“外部パワーアンプ”の導入もご検討ください。違った世界が見られるはずです。お薦めです」

“外部パワーアンプ”の導入も、“スピーカー交換”からの“バージョンアップ作戦”の1つとして有力な候補に成り得る。ぜひともお試しを♪

「スピーカー交換」からの「バージョンアップ大作戦」公開! Part3 「外部パワーアンプを追加して“制御能力”を向上!」

《太田祥三》

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