【ホンダe】概要発表…従来EVがタブレットならこれはスマホ、コンパクトボディに最新技術を集約

ホンダe(Honda e)
ホンダe(Honda e)全 36 枚

ホンダ初となるピュアEVである『ホンダe』の詳細が明らかになってきた。国内正式投入を前に商品概要の説明会が行われ、スペックが公開された。

航続距離はWLTCで283km

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

EVシフトについては環境問題をベースに各社の戦略もあり、議論がつきない部分ではあるが、ホンダでは、「欧州で対応が進むCAFE規制にどう取り組むか、プロジェクチームを作り検討した」(ホンダe 開発責任者 一瀬智史氏)という。EVを作るにあたっては、欧州の、特に街中の道路事情やカーライフを検討した。たくさんの車が縦列駐車された路地、さまざまな石畳路。これらを考慮して「スモールイズスマート」が設計コンセプトの一つとなった(同前)。

事前情報とEUでの発表では、航続距離がVWやテスラよりも短いことが指摘されたが、WLTCで283km(「ホンダe」グレード)という数値も市街地での利用を考えると十分な性能というのがホンダの考え方だ。とにかくコンパクトさと取り回しのよさ、そして運動性能を優先させた。

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

一瀬氏は「従来のEVは内燃機関車の機能や性能をそのまま実現しようとしていたが、ホンダはこの呪縛から逃れるため、あえて小さく作った」と語る。

インテリアやユーティリティはリビングとしての機能に特化

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

既存のガソリン車をPCに例えるなら、EVは「タブレット」。しかし、ホンダeは「スマホ」を目指しているといのがホンダの主張だ。普段持ち歩くスマホのように、ホンダeが威力を発揮するのは街中や普段の生活。そのため、デザインはシンプルで「ノイズ」のない都会的なイメージとなっている。家のリビングと車の中をシームレスにつなぐ。

例えば、ルームライトは、リビングの延長を意識したダウンライト風。車内Wi-FiはChromeCastを接続できる。リビングのテレビにもChromeCastがつながっていれば、部屋で視聴中のコンテンツを続きから見ることも可能だ。車室の温度調整やバッテリーの温度調整もリビングにいながら制御できる。これは、駐車場でプラグインされているとき、季節を問わずバッテリーを最適な状態で移動を開始できることを意味する。エアコンとバッテリーの温度調整は、起動直後に一番電力を使う。それを駐車中(プラグイン中)にできることで、バッテリー消費を移動のために最適化できる。

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

平面的なコンソソール画面には、PCの壁紙のように季節の風景写真が用意されている。もちろん好みの写真を壁紙に設定することもできる。画面はフラットに一体化しているが、運転席正面のメータクラスタ、センターのナビ画面、助手席側のエンターテインメントとマルチファンクションになっている。

USB充電ポートは当然として、AC100Vのアウトレット、HDMIの入力端子も備わり、車室内をリビングのように使うことができる。ホンダは「Hondaアプリセンター」も開設するといい、専用アプリを後からインストールしていくことも可能だ。発表されたアプリは、CDジャケットの写真を表示するアプリと水槽の動画をシミュレーションする環境アプリだ。

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

コンパクトなホンダeは荷室や後席が正直犠牲になっている。ホンダeのユーティリティは、荷物や後席の居住性ではなく、リビングとしての機能に特化した。

RR設計で低重心と4.3mの最小回転半径を実現

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

もう一つの特徴は、運転のしやすさと運動性能だ。設計当初はFFという標準的なEVのデザインだったが、設計を重ねていくうちに、FFでの開発は不可能という結論になった。しかし、RRにすることで、超低重心と前後の重量配分の50:50を実現している。最小回転半径も4.3mと軽自動車よりも小さいくらいだ。非常に安定したハンドリングを実現したという。

全長が4mを切るというので乗り心地が心配だが、あえて4輪ストラット、独立懸架となり欧州の石畳路でも車体がはねたり不快な振動を抑えている。しかも、ホンダeは全幅が3ナンバークラスになるという。ハンドリングと乗り心地は期待していいだろう。

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

モーター出力は100kWと113kWの2種類が用意される。113kWを搭載した「ホンダe Advance」は315Nmのトルクを発揮する。走行モードはノーマルとスポーツの2種類。スポーツモードでは、1.5Lターボよりも加速性能が高い(EVだから当然だが)。更に、回生ブレーキの制御をパドルシフトで切り替えることが可能(3段階)。ギアダウンによるエンジンブレーキのような操作フィーリングが味わえる。コンパクトながらバッテリーの温度制御が入るので、ワインディングでは上りも下りも楽しめそうだ。

日産『リーフ』のe-Pedalやプロパイロットパーキングと類似の機能もある。「シングルペダル」では、アクセルオフで完全停止まで回生とブレーキ制御が入る。ブレーキとアクセルの踏み換えがなくなるので、ワインディングや雪道などで利用すると運転が楽になる。「Hondaパイロットパーキング」は、縦列駐車、車庫入れ駐車をハンズオフでアシスト。また、縦列駐車での出庫時、出にくい場合に備えて、車両の頭が出るまでの出庫シーケンスをアシストする機能も用意した。

ホンダe(Honda e)ホンダe(Honda e)

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  2. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  3. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
  4. マツダ、新型3列シートSUV『CX-80』をついに世界初公開 日本導入時期は
  5. レクサス『GX』通常販売は今秋に、先行して100台を抽選販売へ 価格は1235万円
  6. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  7. 80年代GPマシンを現代に、ヤマハ『XSR900 GP』が143万円で5月20日に発売決定!
  8. パフォーマンスの新次元『ブリヂストン REGNO GR-Xlll』はブリヂストンが目指す究極のバランスに仕上がるPR
  9. ヤマハ伝統の“白×赤”カラーがついに登場!ネオレトロバイク『XSR900』2024年モデル
  10. トヨタ ランドクルーザー250 をモデリスタがカスタム…都会派もアウトドア派も
ランキングをもっと見る