フォルクスワーゲン共同プロジェクト 磁力アクティブサスペンションの実力…深磁科技CEO彭楚堯氏

フォルクスワーゲン共同プロジェクト 磁力アクティブサスペンションの実力…深磁科技CEO彭楚堯氏
フォルクスワーゲン共同プロジェクト 磁力アクティブサスペンションの実力…深磁科技CEO彭楚堯氏全 1 枚

深磁科技は中国深センの企業で、世界最先端の磁気浮上/超磁力技術のソリューションを提供している。メンバーは、トップクラスのリニアモーターカーの専門家と学者で、関連する技術を様々な産業に応用している。主要顧客には、P&G、パナソニック、HP、テンセントなどがあり約20~30社にサービス提供をし、その内10社はグローバル500の企業である。ここでは、最も力を入れている製品の一つ「磁力アクティブ計測システム」の技術を使った、電磁式アクティブサスペンションシステムが自動車にどのように使用されているのか紹介する。

深磁科技CEO彭楚堯氏は、8月28日開催の日中オンラインセミナー「中国IVIの最新動向と車内UI/UX最前線」に登壇し詳細を語ります。

磁気力自動測定システムの技術で、2019年のフォルクスワーゲン「Tomorrow Calls」イノベーション大会で優勝した。これは、磁気減震システムをシートとサスペンションシステムに応用することで、自動車の乗車体験を大幅にアップさせることができたためだ。フォルクスワーゲンから賞金50万元(約800万円)をいただき、現在、共同で初の磁気減震コンセプトカーを制作しており、来年発表する予定だ。

ドライバーが長時間運転している場合、腰椎や筋肉、脊椎へのダメージが大きく、同時に凸凹の路面状態で長時間の運転は疲労も溜まりやすくなる。さらにドライバーだけでなく、同乗者にも乗り物酔いや嘔吐などの症状が出る場合もある。このシートシステムは、人をいつも同じ高さに居られるようすることが出来るため、どんなに路面状態が悪くても車上の人は平地を歩いているように平穏さを保つことができ、いつまでも快適な乗車を約束する。

カーシート市場について

マーケット全体の規模から我々のシステム需要はとても大きいと見ている。カーシートのマーケットは1兆元(約16兆円)以上の市場であるため、初の磁力アクティブサスペンションシステムとして5~10年後には全世界で千億元(約1.6兆円)ぐらいのシェアを創出できると予想している。普通のシートに比べ耐震性能を大幅に向上させることができ、コストは普通のシートと変わらないため、市場競争において優位性を創出することができる。

シートの基本原理

従来のスプリング式シートの場合、車内の人は事実上車と一緒に動いてしまうため上下の揺れ感はとても強いが、我々の磁力アクティブサスペンションシステムを使用すると、人とシートを含めこのシステムの一部として見なすことで減震強度を高めることができ、人が常に同じ高さを保つ。このシートは路面状況に応じて調節されるため、凹んだ路面ではシートシステムは伸び、坂道ではシートは縮む。

ユーザーの声

磁力アクティブシート搭載後、97%の運転手は腰痛と背中の痛みが大幅に緩和、94%の運転手は疲労感が著しく軽減、89%の運転手は運転寿命がもっと長くなった。運転寿命とは、例えば10年から12年しか運転できない人が、15年から20年運転可能になるということである。腰や腰椎椎間板、脊椎への負担と神経へのダメージが少ない結果と思われる。

応用技術

磁力アクティブ計測システムは我々の最も力を入れている製品の一つで、3年以内に1億(元)以上の売上達成を目標にしている。減震システム全体の精度も非常に高く、5mm以内で最大数百Hzまでアクティブに調整できるため、一秒で100回以上調整できる。そのため、路面状況に捕らわれず凸凹路面で瞬発的な衝撃があったとしてもコントロール可能だ。また、システムの応用範囲が広く、トラック、貨物車、トラクター、工事用車両など車以外にも自動車のサスペンションシステム、将来的には振動テスト台などにも応用可能である。

磁力アクティブ計測システムを自動車のサスペンションに応用し、それを搭載した車両では、走行中の傾きがほとんどない。次世代車両競争には、シートの減震とサスペンションにこの技術を必ず使うべきだと思っている。我々が望んでいるのは、自動車メーカー、サブプライヤー企業、シート制造メーカーとの協業を強化し、高強度疲労テストや路面テストなど行いたいと思う。もちろん、OEMやメーカーと協力することで車両に新しい技術を導入することができ、消費者に新しい体験、快適な体験を提供するだけでなく、生活をより良くしていきたいと考えている。

8月28日開催、日中オンラインセミナー「中国IVIの最新動向と車内UI/UX最前線」に深磁科技CEO彭楚堯氏が登壇し解説。質疑応答も実施する。

《鈇田幸雄》

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