現行より30分繰り上げ、到着は1時頃に…JR東日本が2021年春に終電繰上げへ

首都圏各駅のホームドア設置工事も工事量を増大させている要因のひとつで、人手不足をカバーするためにも、終電~初電の列車間合いを確保して、工期の短縮や作業の効率化などを図る必要がある。写真は深夜に行なわれているホームドアの「杭打ち作業」と呼ばれる基礎工事の様子。
首都圏各駅のホームドア設置工事も工事量を増大させている要因のひとつで、人手不足をカバーするためにも、終電~初電の列車間合いを確保して、工期の短縮や作業の効率化などを図る必要がある。写真は深夜に行なわれているホームドアの「杭打ち作業」と呼ばれる基礎工事の様子。全 3 枚

JR東日本は9月3日、2021年春に予定しているダイヤ改正で、終電時刻の繰上げなどを実施することを明らかにした。JRグループではJR西日本がすでに同時期の繰上げを発表している。

この終電繰上げは、新型コロナウイルスの感染拡大による「働き方や行動様式の変化」により利用者が大幅に減少していること、終電~初電の間に行なっている工事や線路保守作業の時間確保がおもな理由となっている。

利用者低下では、山手線外回り(上野~御徒町)を例に挙げると、2020年8月平日の利用状況が、2019年8月の平日比で終日で38%減、終電が近い0時台の深夜時間帯で66%減にまで落ち込んでおり、京浜東北線(大井町~品川)、中央線快速(中野~新宿)、総武緩行線(錦糸町~両国)、常磐線(松戸~北千住)でも終日で34~38%減となっている。

こうした状況にJR東日本では「今後、感染が収束した後も、テレワークやEコマースなどはさらに広く社会に浸透していくことが想定され、お客さまの働き方や、行動様式も、元に戻ることはないと考えています」として、その点に柔軟に対応する必要があるという考えを示している。

終電繰上げのイメージ。列車間合いは最低4時間(240分)の確保が必要としており、終電時刻はおおむね30分程度の繰上げを計画しているが、場合によっては初電時刻の繰下げも実施して、時間を確保することも。終電繰上げのイメージ。列車間合いは最低4時間(240分)の確保が必要としており、終電時刻はおおむね30分程度の繰上げを計画しているが、場合によっては初電時刻の繰下げも実施して、時間を確保することも。

一方、工事や線路保守作業では、少子化による鉄道工事従事者の不足が問題視されている。過去10年で建設業従事者が約10%、JR東日本エリアの線路保守作業員が約20%減少しており、今後10年も10~20%の減少が見込まれるとしているが、反面、工事量は設備の老朽化や新設備の増加などにより過去10年で10%程度増加している。

それらの現状を鑑みると、終電から初電の間に行なっている作業時間をさらに確保する必要があり、そのためには列車間合いを4時間以上とすることが望ましく、工期短縮や施工能率の向上、ホーム上の作業スペース設置期間の短縮、コスト構造の見直しにも繋がるとしている。

東京圏主要線区における利用者の減少状況。東京圏主要線区における利用者の減少状況。

終電繰上げの対象線区は東京100km圏の各路線で、現行より30分程度繰り上げ、終着駅の到着時刻をおおむね1時頃にするとともに、一部の線区では初電時刻の繰下げも行なうとしている。

なお、実施に際しては、混雑による3密回避を考慮するとともに、混雑が予想される金曜日などでは必要に応じて終電前に臨時列車を運行。深夜帯以外でも利用状況に応じたダイヤの見直しを行なうとしており、その実施線区や内容については10月に発表される。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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