【WEC】トヨタが2季連続でチーム王座獲得…ルマンV3の中嶋一貴「全員が素晴らしい働き」、無念の可夢偉「レースは残酷」

ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。
ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。全 8 枚

世界耐久選手権(WEC)の2019/2020シーズン第7戦、20年9月19~20日に決勝が実施された第88回ルマン24時間レース。その結果をもって、トヨタの2季連続WEC“チーム王座”獲得が決定した。またルマン3連覇の中嶋一貴、初優勝ならずの小林可夢偉らの談話も入ってきている。

WECの2019/2020シーズンは20年11月のバーレーン戦が最終戦(第8戦)の予定となっているが、このレースを待たず、第7戦ルマンの結果によってトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)のLMP1チーム部門タイトル獲得が決定した。トヨタがこの部門のタイトルを獲得するのは2018/2019シーズンに続き2季連続、2014年を含めて3回目ということになる。

一方、LMPドライバーズチャンピオン争いの方は最終戦に決着がもつれこむこととなった。

ルマンで勝った#8 トヨタの中嶋一貴組が175点で首位に立ち、3位に終わった#7 トヨタの小林可夢偉組は168点でランキング2位に後退。最終戦のバーレーンは8時間レースの予定なので、優勝38点、2位27点の配点になるはず(ポール1点)。つまり、可夢偉組にも優勝で自力逆転王座の可能性が残っていることになり、これは注目の戦いになりそうだ。

ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。

なお、ランキング3位の#1 レベリオンR13・ギブソン(B.セナ/G.メネゼス/N.ナト=ルマン総合2位)は目下145点。数字上は、トヨタ勢の最終戦ほぼ壊滅を前提条件に、#1 レベリオンにも王座の可能性が残されていることになる(以上はすべて手元計算)。

さて、コロナ禍で9月に延期されての開催となった第88回ルマン24時間レースは、トヨタの3年連続優勝、それも8号車TS050の3連覇という結果で幕を下ろした。中嶋一貴とS.ブエミも3年連続3回目、B.ハートレーは2017年以来の自身2回目となるルマン優勝である(トヨタでは初)。

ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。

一方で、悲願ともいえる初優勝を狙った7号車トリオの小林可夢偉/M.コンウェイ/J-M.ロペスには、厳しい結果となった。レース前半は8号車の方がブレーキダクト関連の問題への対処で遅れを被るなどしており、主導権を握ってレースを展開していたのは7号車だったのだが……。

折り返し点を過ぎた頃に排気マニホールドの破損とされるトラブルで7号車は約30分の長期ガレージインとなってしまう。彼らはここで実質的に勝機を逸する格好となった(2台のレベリオン勢にも先行されて4番手まで後退、最終結果3位)。

ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。

優勝の#8 中嶋一貴
「TS050 HYBRIDでの最後のルマンで勝つことができたのは格別ですし、3連覇達成というのも素晴らしいです。我々の今日のレースは浮き沈みの激しい展開でしたが、7号車のクルーも含め、全員が本当に素晴らしい働きをしました。どういうわけか、我々は他のクルマよりも運に恵まれているようです。7号車がトラブルに見舞われ(4番手に後退し)、TOYOTA GAZOO Racingとしてレースに勝つことが全て(最重要事項)だったので、その後はとてもタフなレースになりました。それだけに勝利を達成することができ、このチームの一員でいられたことが本当に嬉しいです」

3位の#7 小林可夢偉
「3位という結果は望んでいたものでも、予想していたものでもありません。我々(7号車)は今年もここルマンで非常に速かったのですが、レースというのは残酷です。我々はよく戦ったと思いますし、チームも深夜に迅速な作業で車両を修復してくれました。今回のトラブルは初めてのことですが、それがこのような重要なレース中(というタイミングでの発生)だったのは本当に不運でした。しかし、ルマンではこういうことも起こり得ます。8号車と、ハードワークで2台揃っての完走を成し遂げたチームを祝福します」

ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。ルマン優勝の#8 トヨタ(中嶋一貴組)。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表
「ルマン24時間への挑戦というのは、真の耐久性が求められる実に困難なものであると、あらためて実感しました。我々はTS050 HYBRIDでルマンを3連覇するという夢に向かって確固たる決意をもってレースに臨み、序盤で8号車に降りかかった逆境もチームワークで乗り越えました。チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました」

「しかしながら、我々が1-2フィニッシュを狙っていたのもまた事実です。素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれた7号車のドライバー、メカニック、エンジニアには本当に申し訳なく思います。我々はひとつのチームです。彼らの悔しさはチーム全員の悔しさでもあります」

ルマン3位の#7 トヨタ(小林可夢偉組)。ルマン3位の#7 トヨタ(小林可夢偉組)。

「我々が今年のルマンで経験した嬉しいこと、悲しいことをファンのみなさまと現場で直接分かち合うことはできませんでしたが、来年は直接お会いできることを願っています。レベリオンのみなさま、準優勝おめでとうございます。何度もプッシュされました。本当に尊敬すべきチームです。また、このような世界的な困難な状況にありながらも、我々にルマンに挑戦する機会を与えてくださったACO(ルマンのレース主催者:フランス西部自動車クラブ)にも感謝しています」

今年2020年は世界3大レースのうちF1モナコGPの開催がなく、インディ500では佐藤琢磨が優勝。中嶋一貴がルマンを制したことで、今年の“世界2大レース”はいずれも日本人ドライバーが優勝(ルマンに関しては総合優勝クルーの1人)という格好になった。

ルマン3位の#7 トヨタ(小林可夢偉組)。ルマン3位の#7 トヨタ(小林可夢偉組)。

2019/2020シーズンのWEC最終戦バーレーン8時間は、11月14日決勝の日程で開催される予定。

なお、来年(2021年)の第89回ルマン24時間レースは例年通り6月に開催される予定となっている(決勝は6月12~13日)。

#7 トヨタはポールポジションからの発進だった。#7 トヨタはポールポジションからの発進だった。

《遠藤俊幸》

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