【ボルボ XC40 B5 Rデザイン 新型試乗】強みはスポーティなルックスと走りにあり…岡本幸一郎

ボルボ XC40 B5 Rデザイン
ボルボ XC40 B5 Rデザイン全 28 枚

ボルボは積極的な電動化戦略においても先鞭をつけている。つい先日も『XC60』/『XC90』の48Vマイルドハイブリッドや『XC40』のプラグインハイブリッドに試乗したばかりのところ、矢継ぎ早にXC40のマイルドハイブリッドをテストドライブすることができた。

2021年モデルは電動化の時代に合わせたデザインに

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2018年春に発売されるや人気を博し、納車までかなりの時間を要したことや、日本カーオブザイヤーを受賞したことでも知られるXC40は、日本におけるボルボの最量販機種となっている。純エンジン車の「T4」/「T5」と入れ替わる形で送り出された今回の「B4」/「B5」もこれからボルボの売れ筋となっていくに違いない。

2.0リットルの直4ターボエンジンは機構的には共通で、ロムにより性能が差別化されており、B4が最高出力197ps、最大トルク300Nmのところ、B5は同250ps、350Nmとなる。これにスターターと発電機の機能を統合したISGMが、ベルトを介してクランクシャフトとつながっている。B4では2WDと4WDが選べるのに対し、高出力版のB5は4WDのみで、これまでの販売比率が3割近い「R-DESIGN(Rデザイン)」のみとなる。

なお、2021年モデルのXC40の外観は、これまでエキゾーストパイプの覗いていたリアバンパーのボトム部が、来たるべき電動化の時代に合わせて内燃機関が存在しないかのようなデザインとされたほか、バッジ類にも若干の変更があった。

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縦型ディスプレイを中心とするインパネには、液晶メーターの回生を示すマークなどハイブリッドに関する情報が表示されるようになっているが大きな変更はなく、小さなリチウムイオンバッテリーの収められたラゲッジもフロア上は変わらない。

内外装に多くの専用装備が与えられる「R-DESIGN」は、人工皮革とナッパレザーを組み合わせた上等なシートが与えられるほか、このように各部を大胆にオレンジとした仕様を選べるのも特権だ。

応答性に長けるISGMとパワフルなB5エンジンの掛け合わせ

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箱根の芦ノ湖スカイラインと周辺一般道をドライブしてまず感じるのは、走りがとても軽やかなことだ。むろんEV走行できるわけではなく、ISGMは発進時や加速時にアシストするのが役目となるが、13.6ps、40Nmと控えめなスペックながら、その恩恵は小さくない。モーターならではの俊敏なレスポンスを活かした、アクセルワークに即座に応えるリニアな加速が気持ちよい。

ターボ付きエンジンが不得手とする走り出しや再加速時に上手くアシストしてくれる。そこから先では高出力を誇るB5エンジンと上手く連携して、全域で力強い走りを実現している。

さすがに上り勾配がつづくとISGMでは事足りず、平坦に違い路面のほうがよりそのありがたみを実感するが、そこはパワフルなB5エンジンの出番。力不足を感じることはない。さらにはアイドリングストップからの再始動をいたって静かでスムーズにこなすのもISGMのおかげ。まるで車格が上がったかのような上質な走り味だ。

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実はエンジン自体も、従来の「T4」/「T5」の純粋なガソリン直噴ターボから約9割のパーツが変更されており、フリクションの低減等が図られるなど第3世代に進化している。気筒休止機構も備えるが、今回試乗した限りではまったくそれらしきものを感じることはなかった。ISGMはもちろんエンジンの進化も燃費の向上に効いていることに違いない。

走りで気になったことといえば、それほど大きな違和感があるわけでもないが、ブレーキのタッチに若干のクセを感じたことと、サイズのわりに小回りが利かないことぐらいだ。

そしてもうひとつ、箱根をドライブして感じたのが足まわりのよさだ。専用のスポーツサスペンションが与えられるR-DESIGNゆえ、それなりにしまっているが、その中にも、これまでなかったしなやかさが感じられたので、足まわりにも手が加えられたのかと思ったところ、2021年モデルでは標準装着タイヤがコンチネンタルのエココンタクト6に変更されたとのことで、それが効いていたようだ。

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リチャージとの実質的価格差は10万円…

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少し前に登場したプラグインハイブリッド「リチャージ」は性格がだいぶ異なるが、サンルーフが標準で付くなど装備の違いもあれば税制面での優遇や補助金もあり、実質的な価格差は10万円程度となることから、どちらを選ぶか迷う人も少なからずいると思われる。さらには純バッテリーEV版の導入も控えている。

そんな中で、やはりB5 R-DESIGNの強みはR-DESIGNならではのスポーティなルックスと走りにあり、4WDである点も大きな違いとなる。そんな走り系のXC40が「電動化」の要素を取り入れ、より魅力的に洗練されたことを歓迎するとともに、今後の展開にも大いに期待したいと思う。

ご参考まで、輸入車では珍しくボルボではこのところ新車一般保証を5年に拡充しており、XC40についても従来の3年間走行距離無制限から5年間走行距離無制限に延長されたことをお伝えしておこう。
モータージャーナリスト 岡本幸一郎 氏モータージャーナリスト 岡本幸一郎 氏

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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