【VW Tクロス 新型試乗】燃費も優秀、プレーンな“道具らしさ”がいい…島崎七生人

「TSI 1st」に試乗

プレーンで“道具らしさ”があっていい

昔ながらのドイツ車、VW流の乗り心地

VW Tクロス TSI 1st
VW Tクロス TSI 1st全 9 枚

「TSI 1st」に試乗

“かまびすしい”という言葉を“賑やか”くらいに拡大解釈すれば、最近のSUV市場は本当に、かまびすしい。国内外の各社から、大から小まで、実に多種多様なSUVモデルが登場している。VW『Tクロス(T-Cross)』は、その中でもコンパクトな部類のモデルだ。

今回の試乗車は、導入時に試乗したモデルとはグレード違い。「TSI 1st」といい、「TSI 1st Plus」との大きな違いは標準装着のタイヤサイズが16インチ(Plusは18インチ)となる点。「シンプルなT-Cross」とカタログにも謳われており、外観ではほかにルーフレールがブラックに。

室内の装備関係ではPlusに対し省かれるのが、パドルシフト、アンビエントライトの2項目と、前2席が非スポーツコンフォートシートになる。機能ではレーンキープアシストシステムとハイビームアシストがレスとなる。

プレーンで“道具らしさ”があっていい

VW Tクロス TSI 1stVW Tクロス TSI 1st
実車は非常にプレーン。インパネの助手席側の加飾パネルはシンプルな幾何学パターンで、シート表皮もグレーの落ち着いたファブリックが採用されている。色や柄は好みにもよるが、『Tクロス』の場合、こういう普通さが“道具らしさ”があっていいのではないか?と個人的には思う。

もちろん機能面はグレード問わず同等だから安心だ。とくにトランクまわりはラゲッジボードの床下にはスペアタイヤスペースがまるまる開いた生け簀にでもしておけそうな(!)スペースがあるし、後席はスライド可能だから、荷物と乗員の状況次第でフレキシブルに使える。スライドは前端の状態でクッションとコンソールの間にスライドレバーを操作する手が入る程度まで動かせるが、もちろん後席の乗員は座っていられる。

いわゆるノーマルシートは、シンプルなデザインだが、サイズが大きめの座面全体のクッションと張りで体重を受け止めてくれる、懐かしいVW流のシート。スポーツシートより姿勢が規制されすぎないのがいい。

昔ながらのドイツ車、VW流の乗り心地

VW Tクロス TSI 1stVW Tクロス TSI 1st
16インチタイヤは、18インチとの自重の差分、段差を痛快した際のドスン!という音とショックは小さめに感じた。乗り心地は路面にもよるが、60km/hあたりからスムースになり始め、低速側が引き締まって感じるのも、昔ながらのドイツ車、VW流といったところ。最小回転半径が5.1mと小さく、ステアリングレシオも途中で急にクイックになるようなことがないから、取り回し、扱いは楽だ。

999ccの3気筒ターボ(116ps/20.4kgm)エンジン+7速DSGの走りは、高速走行まで動力性能面に不満なし。じわりとアクセルを踏み込んだ場合、1000rpm台の途中でパワートレインがムズかるような素振りを見せ、微震動が発生するが、これはミッションのせいというより、エンジン特性のギリギリのところまで攻めてセッティングした結果……そんな印象。

試乗車返却時、メーター表示の燃費は最高で19.2km/リットルまで確認したが、これは普段使いと高速道路をサラッと流した両方のパターンを合わせたものだったから、WLTCモード16.9km/リットルに対して、実用燃費は優秀といってよさそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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