【トヨタ MIRAI 新型】いよいよ発売へ…明らかになった市販モデルの姿とは

トヨタ MIRAI 新型(プロトタイプ)
トヨタ MIRAI 新型(プロトタイプ)全 42 枚

トヨタが「究極のエコカー」とうたう燃料電池車(FCV)『MIRAI(ミライ)』新型の市販モデルに関する概要が2日、明らかになった。FCVの市場開拓を命題とした従来型の初代に対し、新型は「FCVであることは魅力の一部」であるとして、クルマの本質である上質なセダンとしての魅力を磨き上げた。

市販プロトタイプの生写真とともに、初代との違いを含め、明らかになった内容を紹介する。

「トヨタの最上級セダン」を目指した

トヨタ MIRAI 新型(プロトタイプ)トヨタ MIRAI 新型(プロトタイプ)
12月の発表が予告されている新型MIRAI。2019年の東京モーターショーで『MIRAI Concept』として発表され、初代とは方向性が異なる流麗なスタイリングが注目を集めたのも記憶に新しいが、市販モデルでもほぼそのままの姿で登場する。

新型MIRAIのこだわりの1つ目が、そのプロポーションだ。「トヨタの最上級セダン」を目指し、プラットフォーム、ユニットレイアウトを一から見直し刷新した。エンジンにあたるFCスタックをフロントシート下からボンネット下へ移動、2本から3本に増えた水素タンクのうち1本をセンタートンネルに配置、後輪駆動とするためモーターを後輪側へ配置など、レイアウトが大きく変更されている。

これらは走行性能の向上だけでなく、プロポーションにも大きく寄与している。ボディサイズは全長4975mm(従来比+85)、全幅1885mm(同+70)、全高1470mm(同ー65)、ホイールベースは2920mm(同+140)という数字からも新型MIRAIのキャラクターが見えてくる。低くワイドで、ホイールベースが長い、スタイリッシュなセダンに仕上げられている。

コンセプトは「SILENT DYNAMISM」

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デザインコンセプトは「SILENT DYNAMISM」。「静寂を切り裂く孤高の躍動感」と説明している。FR(後輪駆動)モデルらしい低く伸びやかなシルエットが大きな特徴だ。鋭い二段構えのヘッドライトに巨大なフロントグリル、明確なキャラクターラインを持たない優雅なサイドボディ、クーペを思わせる6ライトキャビンが、新型MIRAIの個性を主張している。

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インテリアは運転する楽しさと先進のくつろぎを両立するパーソナルな空間をめざした。運転席側に大型ディスプレイを含めた情報機能を集約させ、助手席側にはソフトパッドを配置し広がり感と居心地の良い上質感を実現。オプションのカッパー加飾は新規開発。温かみのある金属表現で、先進感と高級感を表現した。ロングホイールベースがもたらす広々とした室内空間も特筆だ。

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また、助手席の可倒式ヘッドレスト、アシストグリップ、後席タッチ式コントロールパネルなどを採用した「エグゼクティブパッケージ」も用意。トヨタ最上級セダンを目指したというだけあって、ショーファー需要にも応える装備を揃えている。

航続可能距離は約850km、走りも進化

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そして「更なる大量普及を目指し正常進化を果たした」という第2世代TFCS(トヨタフューエルシステム)だ。FCVは圧縮水素を充填し発電、モーターにより駆動する電気自動車の一種だが、一充填による航続可能距離は先代の約650kmに対し新型では約850kmまで伸びた。またFCスタックの最高出力は174ps(先代155ps)、モーターは182ps(同154ps)と大幅なパワーアップも果たしている。

性能向上だけでなく生産性の向上も、大きな進化だ。FCスタックを構成するセルの生産サイクルが、従来は1セルあたり十数分掛かっていたものを数秒まで短縮。さらに水素タンクの生産時間を66%低減し、生産性を3倍にまで引き上げたという。このことからもFCVを普及させようというトヨタの本気度が伺える。

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パワートレインの進化は、当然走りにも大きな影響を及ぼす。「思わず踏みたくなる新感覚の走り」と表現するFCVならではのシームレスでパワフル、かつ静粛性に優れた加速が、新型MIRAIの大きな持ち味となる。

さらに、水素タンクをはじめとする重量物を最適配置することで前後50:50の理想的な重量配分を実現。高剛性ボディ、床下のフルカバーなどによる整流効果なども相まって、直進安定性、操縦安定性に優れた走りを実現した。ねじり剛性では従来比で+25%、これは欧州競合車並みだという。

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また「思わず踏みたくなる」気持ちを後押しするのが、新型MIRAIの持つ空気清浄機能だ。もともとFCVは走行中にCO2を排出しないが、新型MIRAIはそれだけでなく、発電のために吸い込んだ空気を2つの特殊フィルターで空気中の汚染物質を除去し、より綺麗な空気を排出することができる。ゼロエミッションではなく、マイナスエミッション。走れば走るほど空気が綺麗になるのだ。ディスプレイに映される「エア ピュリフィケーション メーター」では、アクセルを踏み込むたびにアナログメーターによって空気清浄量を直感的に知ることができる。

充実の安全装備と外部給電機能

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先進安全機能も充実。Toyota Safety Senseでは、歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼)も検知するプリクラッシュセーフティ、白線の認識が難しい場合でも車線維持を支援するレーントレーシングアシスト、アダプティブハイビームシステムなどを搭載。レーントレーシングアシストではドライバーの異常を検知し停車、救命要請まで支援する機能も備えた。さらに高度運転支援機能として、自動駐車のアドバンストパークも装備する。

またFCスタックで発電した電気を供給する外部給電機能も備える。車内のAC100V(1500W)コンセントを使えば、一般家庭なら約4日間分の電力(400W消費時)をまかなうことが可能。さらにDC外部給電システムを使うことで最大DC 9kWの大電力を給電することもできる。災害時などで、排気ガスを出さないFCVならではのクリーンな電力を利用できるのは大きなメリットとなりそうだ。

グレード体系は上級グレードの「Z」と標準グレードの「G」の大きく2つ。パワートレインや出力に違いはなく、装備、タイヤ&ホイールの違いのみとなる。それぞれに「エグゼクティブパッケージ」が用意される。価格は未発表。ちなみに初代の価格は723万6000円からで、補助金を使えば520万円程度(当時)で購入することができた。

正式発表は12月

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FCV認知拡大の広告塔としての意味合いが強かった初代に対し、上質なセダンを作ることにこだわった結果としてのFCVという立ち位置の新型MIRAI。その走り、上質さは確実にトヨタセダンのトップクラスに位置するものと言える。約1万台の販売にとどまった初代に対し「普及」を掲げる新型MIRAIがユーザーの心を打つことはできるのか。正式発表は12月。価格も含め、そのインパクトに期待したい。

《宮崎壮人》

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