【F1】角田裕毅がアルファタウリ・ホンダ 18年型でテスト走行、「本当に楽しめた一日でした」…今後の展開にも注目

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。
角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。全 15 枚

現地4日、イタリアのイモラ・サーキットにて、角田裕毅がアルファタウリ・ホンダの“18年型F1マシン”でテスト走行に臨んだ。F1参戦に向けて大切なステップをひとつ踏んだ日本の気鋭、今後の“展開”も注目される。

今季のFIA-F2選手権で目下シリーズランキング3位と好調な角田裕毅は、レッドブルとホンダ、双方のジュニアプログラムに属する20歳。今回のテストはレッドブル系列のF1チーム、2018年からホンダ製パワーユニット(PU)を搭載して戦っているアルファタウリ(本拠イタリア、19年までのチーム名はトロロッソ)が行なったもので、18年型マシン「トロロッソSTR13」を使用しての走行だ。

陣営と角田の今回の第一目標は、事前に「F1マシンでの300km走破」とされていた。これは、今季のF1のレースウイークにおいて角田が金曜フリー走行1回目に出走する場合の必須クリア条項のひとつだという。なお、F1チームは“現役(及びそれに近い)F1マシン”での走行は厳しく制限されており、今回、角田には2年前のマシンがスタンバイされた(カラーリングは“アルファタウリ仕様”)。

3日前には今季F1第13戦エミリア・ロマーニャGPが開催されていたイモラ・サーキット。この日(現地4日)は午前9時半の走行開始時点で天候が曇り、路面はハーフウエットだったという。角田のテスト走行はウエットタイヤから始まり、やがてドライタイヤ使用へと移行。午前と午後に各36周、合計で約350kmを大きなトラブルなく走り、予定されたテスト項目をすべて終了したとのことである。

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。

角田はホンダを通じて以下のコメントを残している。

「初めてのF1マシンでのドライブは少し疲れましたが、とても楽しかったです! ブレーキのパフォーマンスやアクセルの加速がこれまでドライブしたマシンとはまったくの別次元だと感じました」

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。

「今日は競う相手がいたわけではなかったので、F1マシンに慣れ、目標としていた300kmを走り切ることに集中していました。ドライビングについてはステアリングスイッチが多いなどの複雑さはありますが、事前にシミュレーターでのセッションを繰り返し、トレーニングも入念に行なっていたので、特に問題はありませんでした。ハイスピードサーキットのイモラでのドライビングということも含め、F1マシンでの走行を本当に楽しむことができた一日になりました」

「アルファタウリのエンジニアたちとは、先月のシート合わせのときからコミュニケーションを始めました。イタリア人で陽気なメンバーも多いので、冗談を言い合いながら仕事を進めたりと、既にいい関係を築けています。もちろん、日本語でコミュニケーションが取れるホンダのエンジニアともPUについて様々な話をしています」

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。

「今シーズンのF2は2ラウンド、4レースが残っています。自分としては、ひとつのセッション、ひとつのラップ、ひとつのコーナーといった感じで、目の前にある課題に集中するのみだと考えていますし、最終的にそれを結果につなげられればと思っています」

アルファタウリのチーム代表、フランツ・トストは「とても有意義なファーストテストだった。352kmをコンプリートできたしね」と語り、角田の順応の早さ、マシンの挙動に関して有益なテクニカルフィードバックをもたらすことができた点、レースシミュレーションでの安定性などを称賛している。「彼はすべてをコントロール下に置いていた」と評価し、「アブダビでのヤングドライバーテスト(12月、最終戦アブダビGP直後の実施と見られる)も楽しみにしている」とも。

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。

昨今、こうして角田がF1参戦へのチャンスをつかみつつあるのは、もちろんレッドブルとホンダの支援を受けている影響もあるが、F1のパドックでは純粋に彼のF2でのパフォーマンスを評価している向きも強いだろうと思われる(F2はF1との併催が原則)。今季初参戦のF2で、角田は予選や決勝で好成績をおさめているだけでなく、レースウイーク最初のフリー走行でいきない速いことが多いのだ。こういうスピードは古今東西の別なく評価される。

アルファタウリ(を含むレッドブル系グループ)にしても、F1で組んでいるホンダのドライバーだから、という重用意識は大きくないはずだ。まずは最初のテストを無事にこなせたようなので、今後の“展開”にも注目が集まるところ。アルファタウリ・ホンダの来季レースドライバーに関しては、今季優勝経験者ピエール・ガスリーの残留こそ決まっているが、もう1席は現段階で未決(未発表)である。

角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。角田裕毅がイモラでアルファタウリ・ホンダの18年型車をドライブ。

日本人選手のF1レース参戦は2014年シーズンの小林可夢偉を最後に途絶えており、その後はレースウイークの走行参加さえ2019年日本GPの金曜フリー走行1回目に山本尚貴が当時のトロロッソから出走したのみ。角田裕毅の今季中の“金曜デビュー”、そして来季のレース参戦は実現するのか? スーパーライセンス取得を巡る状況を含め流動的な要素もまだまだ多いが、彼にかかる期待は大きい。

《遠藤俊幸》

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