メルセデスベンツ Sクラス 新型に新世代PHV、EVモードの航続が倍増…2021年欧州発売へ

新型はEVモードの航続が最大およそ100kmに

OLED技術を備えた12.8インチ大型ディスプレイ

「ハイ、メルセデス」と呼びかけなくても電話の着信に応答可能

間接的な指示も理解する「ハイ、メルセデス」

メルセデスベンツ Sクラス 新型のPHV
メルセデスベンツ Sクラス 新型のPHV全 27 枚

メルセデスベンツは10月28日、新型『Sクラス』(Mercedes-Benz S-Class)に新世代のプラグインハイブリッド車(PHV)を設定し、2021年に欧州市場で発売すると発表した。

メルセデスベンツは従来型Sクラスに、PHVとして、「S560e」グレードを用意していた。3.0リットルV型6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力367hp/5500~6000rpm、最大トルク51kgm/1800~4500rpmを発生する。モーターは最大出力122hpで、エンジンとモーターを合わせたシステム全体では、476hpのパワーと71.4kgmのトルクを引き出す。

トランスミッションは9速の「9Gトロニックプラス」だ。PHVシステムは、0~100km/h加速が5.0秒、最高速250km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを実現していた。

二次電池はリチウムイオンバッテリーで、蓄電容量は13.5kWh。EVモードの航続は、最大50km。その効果もあって、欧州複合モード燃費40km/リットル、CO2排出量57g/kmの優れた環境性能を可能にしていた。

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新型はEVモードの航続が最大およそ100kmに

これに対して、新型SクラスのPHVには、新世代のPHVパワートレイン「EQパワー」を搭載する。3.0リットルガソリンターボエンジンは、従来型のV型6気筒から、新型では直列6気筒に変わる。モーターは、トランスミッションと一体設計され、PHVシステム全体で510hpのパワーを獲得する。従来型に対して、34hp強化された。

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二次電池はリチウムイオンバッテリーで、蓄電容量は従来型の13.5kWhから、新型では28 kWh へ大容量化された。これにより、EVモードの航続は、従来型の最大50kmから、新型では約100kmへと倍増させている。

OLED技術を備えた12.8インチ大型ディスプレイ

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最新の「MBUX」が搭載される。MBUXは、「メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス」を意味し、新世代のインフォテインメントシステムだ。特長は、人工知能(AI)によって、学習することにある。

MBUXはカスタマイズ可能で、ユーザーに適応する。無線通信での更新も可能だ。タッチスパネルで操作する高解像度のワイドスクリーンコックピット、拡張現実(AR)技術を備えたナビゲーションディスプレイ、「ハイ、メルセデス」で音声アシストが起動するインテリジェントな音声コントロールが含まれている。

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新型SクラスのMBUXは第2世代となる。ハードウェアとソフトウェアが大きな進歩を遂げており、さらにデジタルでインテリジェントになった。OLEDテクノロジーを備えた12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイをはじめ、最大5つの大画面ディスプレイにより、快適機能などを簡単にコントロールできるようにした。

12.8インチの大型インフォテインメントディスプレイは、操作スイッチの数が大幅に削減された。従来型よりも、スイッチの数は27少ない。タッチやスワイプ、音声コントロール、ジェスチャーに加えて、オプションで視線によるコントロールも可能にした。ディスプレイの最も下の位置には、空調操作パネルが配される。

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このディプレイには、「OLED」テクノロジーを導入する。OLED(有機発光ダイオード)は、LEDなどの点光源とは異なり、平面光源となる。その光は、新しいレベルの均質性を可能にする。プラスチック基板にいくつかの有機層を組み合わせたOLEDユニットは、効率的で軽量に仕上げられる。

新型Sクラスでは、OLEDユニットをガラスパネルの向こうに配置し、その背後のアクチュエーターと圧力センサーを組み合わせて、優れたコントロール性とディスプレイ表示を可能にした。OLEDパネルは、外部の背景照明を必要とせず、点灯している場所でのみ電力が消費される。OLEDテクノロジーは液晶よりも、最大30%エネルギー消費を抑えられるという。

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「ハイ、メルセデス」と呼びかけなくても電話の着信に応答可能

音声アシスタントの「ハイ、メルセデス」は、さらに多くの対話が可能になった。たとえば、「ハイ、メルセデス」と呼びかけなくても、電話の着信に応答したり、ナビゲーションマップを表示したりすることができる。また、救急箱がどこにあるのか、Bluetooth経由でスマートフォンを接続する方法なども説明できるようになった。

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PIN入力に加えて、新しい認証方法により、高いレベルのセキュリティを追求する。指紋、顔、音声認識を組み合わせることにより、車両から個々の設定にアクセスしたり、デジタル決済プロセスを検証したりすることが可能になった。

「ハイ、メルセデス」は、27の言語に対応するように改良された。新しい「Chit-Chat」機能では、質問に答えてくれる。-動物の鳴き声や一般的な知識に関する質問にも回答する。スマートホーム機能により、自宅の家電製品を車両に接続して、音声で遠隔制御することもできる。

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間接的な指示も理解する「ハイ、メルセデス」

「ハイ、メルセデス」は、間接的な指示も理解する。たとえば、足元の温度を調節するために、「足元の温度を24度に」と指示する代わりに、「寒い」と言うだけで空調をコントロールしてくれる。ユーザーとその声を学習し、方言も理解する。新しい流行語や言葉の使い方を、時間の経過とともに学習する。

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また、このシステムは徐々に、定型的な応答をしなくなる。言語アシスタントでは、音声による入力はバックグラウンドノイズから解放され、圧縮されて送信される。車両のヘッドユニットとサーバーがデータを評価し、応答を送信する。システムが最も可能性の高い応答を決定し、数秒以内に応答する。

《森脇稔》

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