ポルシェ 911ターボS、空港滑走路で試乗会…650馬力を解き放て[動画]

3.8リットル水平対向6気筒ツインターボ搭載

0~100km/h加速2.7秒で最高速330km/h

アダプティブエアロダイナミクス

ポルシェ トラックプレシジョンアプリ

全長2.2 kmの滑走路で全開加速

ポルシェ 911 ターボ S 新型
ポルシェ 911 ターボ S 新型全 21 枚

ポルシェは11月26日、新型『911ターボS』(Porsche 911 Turbo S)の「ローンチコントロール」と題するイベントを、オーストラリア・シドニー国際空港で開催した、と発表した。新型911ターボSは、現時点での『911』(992型)シリーズの頂点に位置する高性能モデルだ。

3.8リットル水平対向6気筒ツインターボ搭載

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3.8リットル水平対向6気筒ガソリンエンジンを、2つのVTG(可変タービンジオメトリー)ターボで過給した新ユニットを搭載する。911ターボSの新エンジンは、「911カレラ」のエンジンがベースだ。完全に再設計された給気冷却システム、電動調整可能なウエストゲートフラップを備えた対称レイアウトの新しい大型VTGターボチャージャー、応答性や出力、トルク特性、エミッション挙動、吹け上がり性能に関する車両の特性を大幅に改善するピエゾインジェクターが採用されている。

この新しい6気筒エンジンは、新設計のエアインテークシステムによって吸気される。そのために、処理空気と給気冷却の経路が、入れ替えられている。処理された空気の一部は、リアサイドセクションの特徴的なターボエアインテークを通って流れる。リアフェンダーに備わるエアフィルターの前方にも、リアリッドグリルを通る2つの別のエアフローが組み込まれた。

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全体の断面積が大きく空気抵抗の小さな4つのエアアインテークを備えており、エンジンの効率を向上させる。可変タービンジオメトリーを備えて対称に配置された2つの大型ターボチャージャーが、従来型のパーツに代わり、コンプレッサーとタービンホイールは反対方向に回転する。タービンホイールの直径はプラス5mmの55mmに、コンプレッサーホイールの直径はプラス3mmの61mmに、拡大された。ウエストゲートフラップは、ステッピングモーターによって電気的に制御される。

これらの新技術の結果、新型911ターボSの最大出力は従来型を70ps上回り、650psを獲得した。最大トルクは5.1kgmプラスの81.6kgmを引き出す。

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0~100km/h加速2.7秒で最高速330km/h

強化された4WDシステムの「ポルシェ・トラクション・マネジメント(PTM)」によって、最大で51kgmのトルクがフロントホイールに伝達される。標準装備の新世代「PASM」シャシーも、さらにスポーティに改良された。ポルシェによると新型では、より迅速かつ精確に制御されるダンパーが、ロール安定性、ロードホールディング、ステアリング挙動、コーナリングスピードのダイナミクスに大きなメリットをもたらすという。

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トランスミッションは、ターボ専用の8速「PDK」(ポルシェ ドッペルクップルング)。0~100km/h加速は、従来型を0.2秒短縮する2.7秒で駆け抜け、最高速は330km/hに到達する。0~200km/h加速は、従来型を1秒短縮する8.9秒だ。ポルシェによると、新型911ターボSは、前例のない出力とドライビングダイナミクス、快適性を備えているという。

アダプティブエアロダイナミクス

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911ターボSは、強化されたドライビングダイナミクスに合わせて、大幅にボディサイズが拡大された。フロントアクスル上部では45mmワイドになり1840mmに、リアアクスル上部では20mmワイドになり全幅が1900mmとなる。トレッド幅の変更、エアロダイナミクスの改善、サイズの異なる新しいタイヤ構成によって、俊敏性とスポーツ性を向上させた。トレッドはフロントを42mm、リアを10mmワイド化している。

さらに、アダプティブエアロダイナミクスには、フロントの制御式クーリングエアフラップが含まれており、大型のリアウイングは、さらに大きなダウンフォースを獲得するように設計された。新型911ターボSは、初めて2つの異なるサイズのタイヤでパワーを路面に伝える。フロントに255/35R20、リアに315/30R21サイズを装着した。オプションで、車高を10mm低くする「PASMスポーツシャシー」や、調節可能なフラップを備えたスポーツエグゾーストシステムが選択できる。

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ポルシェ トラックプレシジョンアプリ

専用のフロントマスクには、よりワイドなエアインテーク、デュアルフロントライトモジュール、ダークインサート付LEDマトリックスヘッドライトを装備する。再設計された空気圧展開式フロントスポイラーと大型リアウイングはダウンフォースを15%強化し、エアインテークを組み込んだリアウイングセクションは、新型の流線型ボディを強調する。ハイグロスブラックのターボスタイルの角型テールパイプも採用された。

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インテリアには、フルレザーやライトシルバーのアクセントを組み合わせたカーボントリムが標準装備される。18ウェイのスポーツシートには、初代『911ターボ』(930型)に敬意を表するステッチが施された。メータパネルのグラフィックエレメントとロゴは、新型911ターボS専用デザインだ。

「ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント(PCM)」のセンターディスプレイのサイズは10.9インチ。新しいアーキテクチャーによって、迅速に操作することができるという。また、GTスポーツステアリングホイール、ポルシェ トラックプレシジョンアプリを組み込んだ「スポーツクロノパッケージ」、BOSEサラウンドサウンドシステムが標準装備されている。

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全長2.2 kmの滑走路で全開加速

ポルシェはこの新型911ターボSのローンチコントロールと題するイベントを、オーストラリア・シドニー国際空港で開催した。これは、新型911ターボSのオーストラリア発売に合わせて企画されたもので、同車に装備されるローンチコントロールを体験してもらう意味も込められた。

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シドニー国際空港は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大以前、オーストラリアで最も発着便の多い空港だった。3つの滑走路では年間30万便以上が発着し、4400万人の利用客があった。しかし現在、シドニー国際空港の発着便の数は97%減少。ポルシェはオーストラリア当局の協力により、同空港の滑走路の1本を一時的に閉鎖し、新型911ターボSのローンチコントロールイベントを実施した。

前例のないこのイベントでは、全長2.2 kmの滑走路において、安全性を確保したうえで、新型911ターボSが全開加速を披露した。イベントには48人の選ばれた顧客が参加し、ポルシェのトラックエクスペリエンスインストラクターの指導の下、通常は立ち入り禁止の滑走路で、新型911ターボSを運転する機会を得た。

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参加者のひとりは、「ウィリー・ウォンカのゴールデンチケット(児童小説『チョコレート工場の秘密』)を持っているような気分」とコメントしている。

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《森脇稔》

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