JR北海道は12月9日、2021年春に予定しているダイヤ見直しについての詳細を明らかにした。
このダイヤ見直しは、新型コロナウイルスの感染拡大による収入減を踏まえた経費削減や、コロナ収束後も輸送需要が回復しないことを見込んだ柔軟な輸送体系構築を視野に入れたもので、特急列車や快速・普通列車の見直し、利用が少ない駅の廃止などを実施する。これにより年間約6億2000万円の経費節減が見込まれるとしている。一方で、新型のH100形電気式気動車が大量投入され、老朽化が進むキハ40形の淘汰やローカル列車のスピードアップが図られる。
最終便が1時間以上繰り上がる札幌~函館間の『北斗』
特急の見直しでは、札幌~函館間で最終便の『北斗23・24号』2本を減便。『北斗5・14号』の2本が4・10・11月の水・木曜に運休する。『北斗』の最終は上下とも18時台となり、現行より大幅に繰り上がる。所定編成は2両減の5両となる。
宗谷本線士別駅で交換するキハ40形の上下列車。名寄以南の快速・普通列車ではついに同車の姿が見られなくなる模様だ。札幌~旭川間では『カムイ9・28・29・42号』の4本を土休日やお盆、年末年始の運行に。旭川~稚内間の『サロベツ3・4号』と旭川~網走間の『大雪』4本すべてが4・5・10・11月の火~木曜に運休する。
札幌~釧路間では『おおぞら』6往復すべてを毎日運行の定期列車として維持するものの、所定編成は1両減の5両となる。
雪深い宗谷本線塩狩駅。同駅は三浦綾子作の小説『塩狩峠』の舞台で、三浦氏の旧宅を活用した塩狩峠記念館などの観光資源や宿泊施設があることから、和寒(わっさむ)町の維持管理により存続することになった。H100形が大量投入される宗谷本線
札幌圏の快速・普通列車では、手稲・札幌~新千歳空港間の快速『エアポート』6本と、手稲方面~札幌~江別方面間の普通列車5本、札沼線(学園都市線)札幌~あいの里公園間の普通列車2本が土休日運休となるほか、札幌~手稲方面間が3本、札幌~千歳方面間が4本減便され、前後列車を含めた時刻調整を一部で実施。学園都市線では札幌~あいの里公園・石狩当別間の10本を北海道医療大学まで延長する。
手稲・札幌~千歳空港間の朝・夜の列車6本が土休日運休となる快速『エアポート』。札幌圏以外では、函館本線で旭川→滝川間の1本、留萌本線(深川~留萌)で3本を減便。根室本線では、2016年8月までJR最長の普通列車として釧路まで運行されていた、滝川9時45分発の下り列車が富良野までの運行となり、富良野以東は東鹿越~新得間の代行バスごと削減。上りも新得→滝川間1本が代行バスごと減便となる。
ほかに、根室本線では新得~帯広間で3本、帯広~釧路間で1本を減便。宗谷本線では旭川~比布(ぴっぷ)間で2本、石北本線では遠軽→生田原間で1本がそれぞれ減便される。
全列車が年間50日程度運休することになった旭川~網走間の特急『大雪』。共通運用の札幌~網走間『オホーツク』は現行の4本が維持される。また、2020年3月改正で函館本線長万部~小樽間に投入されたH100形気動車を室蘭本線苫小牧以西で66本中43本、東室蘭以西で20本すべてに投入。宗谷本線名寄以南では、名寄以北へ直通する列車を除いた34本、石北本線上川以西では23本中2本に投入する。
宗谷本線では12駅が廃止、18駅が自治体の維持管理に
宗谷本線北星駅2017年3月のダイヤ改正以来、毎年の改正で実施されてきた駅の廃止だが、2021年春には一挙に18駅が廃止される。
対象となる駅は、函館本線伊納、宗谷本線南比布・北比布・東六線・北剣淵・下士別・北星・南美深・紋穂内(もんぽない)・豊清水・安牛・上幌延・徳満、石北本線北日ノ出・将軍山・東雲・生野、釧網本線南斜里の各駅。
宗谷本線安牛駅これらの廃止により宗谷本線旭川~名寄間のローカル列車では、H100形の投入とあいまって、最大31分の大幅なスピードアップが図られる。
一方、存続が危ぶまれていた宗谷本線蘭留・塩狩・日進・智北・恩根内・天塩川温泉・咲来(さっくる)・筬島(おさしま)・佐久・歌内・問寒別(といかんべつ)・糠南(ぬかなん)・雄信内(おのっぷない)・南幌延・下沼・兜沼・抜海、石北本線瀬戸瀬の各駅は、自治体による維持管理に移行することで存続が決定。釧路市内の根室本線音別駅は無人化される。