アウディ博物館が「21世紀の名車」を追加---開館20周年

モータースポーツの名車を巨大な循環式リフトに乗せて常設展示

5気筒エンジンを搭載した初代RS4アバント

現存する唯一の「ランドーレット」ホルヒ305

ドイツ軍が注文したアウトウニオンDKW Munga

アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」
アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」全 13 枚

アウディ(Audi)は12月10日、ドイツ・インゴルシュタットのアウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」の20周年に合わせて、12月15日からアウディの歴史を彩る34台の新しい車両を展示すると発表した。

アウディ・ミュージアム・モバイルは、2000年12月15日に開館した。アウディは21世紀の20年間で、そのサクセスストーリーに数多くの新たな章を追加してきた。20年間に、名車としてアウディ史に残るモデルや、技術開発における新たなマイルストーンとなる車両が登場した。今回、アウディ・ミュージアム・モバイルの開館20周年を記念して、展示内容が一新され、アウディの歴史における、より現代のモデルが常設展示に加わる。

モータースポーツの名車を巨大な循環式リフトに乗せて常設展示

20周年記念の一環として、フロアの1階から4階の吹き抜けに設置される巨大な循環式展示リフトには、モータースポーツファンに向けた車両が一堂に展示される。従来の展示では、アウディのモータースポーツ史を彩る数々の名車は、その時々のトピックに従って車両を入れ替えて展示されてきた。今後は展示リフトに乗せられて、モータースポーツにおける名車が常設展示されることになる。

モータースポーツの名車を巨大な循環式リフトに乗せて常設展示(アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」)モータースポーツの名車を巨大な循環式リフトに乗せて常設展示(アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」)

開館以来、ミュージアム3階の同じ場所に展示されているアウトウニオン『シルバー アロー』を除き、1960年代以降に登場し、アウディをスポーツブランドへと導いた数々の名車が、このリフトに展示され、来場者はミュージアムの1階から4階のどこにいても、これらのモデルを見ることができるようになる。

これにより、モータースポーツに関する展示内容が、まったく新しい構成に生まれ変わり、新たに14台のモータースポーツ参戦車両が展示される。ここには、2007年にドイツツーリングカー選手権(DTM)でタイトルを獲得したアウディ『A4 DTM』、2002年のアウディ『ル・マンR8 LMPプロトタイプ』、1996年のアウディ『A4 STW』、1980年のアウディ『ラリー クワトロ グループ4』、1985年のアウディ『スポーツ クワトロ ラリー グループB』、1975年のNSU 『1300 TT』、1963年のDKW 『F11/64』ツーリングカーなどが含まれている。

初代アウディ RS4 アバント(アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」)初代アウディ RS4 アバント(アウディ自動車博物館「アウディ・ミュージアム・モバイル」)

5気筒エンジンを搭載した初代RS4アバント

この展示内容の変更により、これまで2階にあったモータースポーツ展示エリアを全面改修して、より現代のアウディの名車を展示することが可能になった。来場者は、デザインアイコンの初代『TTクーペ』(1998~2006年)に加えて、伝説となりつつある『A2』(1999~2005年)や初代『A8』(1994~2003年)を見ることができる。

アウディTTクーペ(初代)アウディTTクーペ(初代)

同じことが、アウディブランドのスポーティなキャラクターを再定義する5気筒エンジンを搭載した初代『RS4アバント』(2000~2002年)とアウディ『コンバーチブル』、SUVセグメントにおける大きな成功の先駆けとなった2001年の『オールロードクワトロ』にも当てはまる。またこのエリアには、アウディブランドが1990年代に、すでにeモビリティをテストしていたことを示すアウディ『Duo III』も展示されている。

さらに、特別なエンジンを搭載した3つのモデルを見ることができる。戦前の車両を集めたセクションでは、アウグスト・ホルヒが最初に製作した革新的エンジンの実働レプリカを見ることができる。また、2階の展示室には、1950年代のDKW並列2気筒2ストロークエンジンと、1968年のNSU/Wankelロータリーエンジンが、他のエンジンカットモデルと並んで展示されている。

アウディTTクーペ(初代)アウディTTクーペ(初代)

現存する唯一の「ランドーレット」ホルヒ305

歴史的な車両を長期間に渡り展示すると、車両の劣化が進むため、一部の展示車両は、同等の価値のある他の展示車両と交換する必要がある。これにより、ドイツ初の8気筒エンジン搭載車の1927年製ホルヒ『303』は、ミュージアムを離れ、後継モデルとなる1928年製ホルヒ『305』に置き換えられる。

アウディTTクーペ(初代)アウディTTクーペ(初代)

ホルヒ305には、このタイプとしては現存する唯一のモデルの特別な「ランドーレット」ボディを備える。ランドーレットとは、フロントシート部分は屋根付きで、リアシート部分だけがオープントップになっているボディを指す。また、1936年のアウディ『フロントロードスター』も展示に加わった。わずか2台しか現存しない同車は、数年前に「アウディトラディション」が、オリジナルの状態にレストアを施した車両だ。

戦前の展示エリアには、そのほか2台の歴史的な車両も展示される。1939年、アウディの前身であるアウトウニオンは、ドイツ・ベルリンで開催された自動車ショーにおいて、流線形のボディラインを備えたスタディモデル のホルヒ『930 S』を発表した。もう一台は、1940年のDKW『F 9プロトタイプ』だ。両モデルともに、戦争が始まったことにより、量産されることはなかった。ミュージアムの来場者は、これらの貴重な車両を見ることができる。

アウディA2アウディA2

ドイツ軍が注文したアウトウニオンDKW Munga

さらに、来場者は、歴史の証人として、非常に特別なモデルを見ることができる。1956年にアウディの前身のアウトウニオンによって製作されたDKW『Munga』は、アウディの歴史の中で非常に重要なモデルとして展示される。このオフロード車は、65年前に設立されたドイツ軍によって注文された。このモデルにより、インゴルシュタットで誕生した若い会社が、戦後の厳しい時代を乗り越えることが可能になり、現在へと続くアウディの未来が形成された、としている。

アウディA2アウディA2

《森脇稔》

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