2階建て新幹線は秋頃に引退、五能線と男鹿線からキハ40系一般車が消える…2021年3月「春のダイヤ改正」

E1系に続いて1997年に登場したE4系も、2021年秋にはついに引退へ。写真は新潟駅在来線ホームから見たE4系。
E1系に続いて1997年に登場したE4系も、2021年秋にはついに引退へ。写真は新潟駅在来線ホームから見たE4系。全 12 枚

JR東日本は12月18日、ダイヤ改正を2021年3月13日に実施すると発表した。

既報のとおり、各線で終発の繰上げ、始発の繰下げが行なわれるほか、利用状況に応じた運行系統や運行本数の見直しなどが行なわれる。

新幹線…「グランクラス」の料金を一部値下げへ

東北新幹線上野~大宮間の埼玉県内で最高130km/h運転が開始されることにより、東京から各方面への新幹線で最速の到達時間が1分短縮される。

現在、9両編成の2000番代が『踊り子4・7・15・18号』に充当されているE257系。元中央線特急用の0番代を改造。トータルコンセプトを「シンプルさの中でのくつろぎ」として眺望性を重視。側窓を拡大している。現在、9両編成の2000番代が『踊り子4・7・15・18号』に充当されているE257系。元中央線特急用の0番代を改造。トータルコンセプトを「シンプルさの中でのくつろぎ」として眺望性を重視。側窓を拡大している。

このうち上越新幹線ではE7系新幹線電車が追加投入され、2階建て新幹線電車E4系で運行されている『Maxとき』『Maxたにがわ』計12本を置き換える。E7系は秋頃にも増備され、この時点でE4系は引退する予定で、1994年に登場したE1系以来、2階建て新幹線の歴史にピリオドが打たれることになる。

なお、東北・北海道新幹線では、『はやて』と『やまびこ』の「グランクラス」を飲料と軽食がないサービスとし、料金を現行より2000円程度値下げする。対象区間は、『はやて』が東京~盛岡・新青森・新函館北斗間、『やまびこ』は東京~盛岡間(東京~仙台間列車を除く)。

房総各線のローカルに投入されるE131系電車。房総各線のローカルに投入されるE131系電車。

また、北陸新幹線では『かがやき』『はくたか』の一部列車で車内販売を終了する。

在来線特急…高尾発着の『成田エクスプレス』がなくなる

E131系の車内。E131系の車内。

東京~伊豆急下田・修善寺間の『踊り子』が全列車E257系化されるほか、同車を利用して東京・新宿~小田原間に新たな通勤着席列車『湘南』上り10本・下り11本が登場。現行の『湘南ライナー』『おはようライナー新宿』『ホームライナー小田原』が廃止される。

『踊り子』『湘南』には、常磐線特急や中央線特急と同様に、普通車で座席未指定券を発売する着席サービスを開始する。

E131系の車端部。車椅子対応トイレやバリアフリースペースが設けられている。E131系の車端部。車椅子対応トイレやバリアフリースペースが設けられている。

このほか、特急では高尾発着の『成田エクスプレス』が廃止され、八王子発着に改められる。また、『いなほ』『かいじ』では全列車で車内販売を終了する。

首都圏ローカル…宇都宮線と高崎線の通勤快速が消える

内房・外房線ローカルの新たな列車体系。日中を中心に両線の乗継ぎは上総一ノ宮駅に。内房・外房線ローカルの新たな列車体系。日中を中心に両線の乗継ぎは上総一ノ宮駅に。

各線で新型車両の投入や輸送体系の見直し、ワンマン化などが推進される。

房総各線では、内房線(木更津~安房鴨川)、外房線(上総一ノ宮~安房鴨川)、成田・鹿島線(成田~鹿島神宮)に新型のE131系通勤型電車を投入し、成田~佐原間を除いてワンマン運転を開始する。

改正後の宇都宮線、高崎線の快速体系。通勤快速の名称がなくなり、同時に尾久に快速が停車しなくなる。改正後の宇都宮線、高崎線の快速体系。通勤快速の名称がなくなり、同時に尾久に快速が停車しなくなる。

また、外房線と内房線では、両線が接続する安房鴨川駅(千葉県鴨川市)での系統分離を一部で止め、日中を中心に、木更津~安房鴨川~上総一ノ宮間でE131系による直通運行を開始する。

常磐緩行線では、我孫子~取手間で土休日の運行を取り止める。

黒磯以北の東北本線の交流区間では、拠点駅間の折返し列車を増やし、輸送障害時の影響範囲を小さくする。写真は新白河駅で発車を待つE531系4000番代の黒磯行き上り列車。黒磯以北の東北本線の交流区間では、拠点駅間の折返し列車を増やし、輸送障害時の影響範囲を小さくする。写真は新白河駅で発車を待つE531系4000番代の黒磯行き上り列車。

水戸線(小山~友部)では、常磐線直通列車を含み全列車がワンマン化される。

東北本線(宇都宮線)では快速が見直され、通勤快速が快速『ラビット』に吸収され、湘南新宿ライン快速との2本建てに。合わせて停車駅が見直され、新たに東大宮が加わり、蓮田には全列車が停車する。

奥羽本線秋田以北と津軽線にも投入される電気式気動車のGV-E400系。五能線は全列車が同車に置き換えられる。奥羽本線秋田以北と津軽線にも投入される電気式気動車のGV-E400系。五能線は全列車が同車に置き換えられる。

高崎線でも快速の見直しが行なわれ、通勤快速が快速『アーバン』に吸収。湘南新宿ライン特別快速との2本建てとなり、上尾・桶川の両駅に全列車が停車する。

一方で、宇都宮線、高崎線とも、尾久の快速停車がなくなる。

奥羽本線と津軽線のGV-E400系運用。奥羽本線と津軽線のGV-E400系運用。

東北ローカル…水郡線が3月27日に全線再開

東北本線では新白河・郡山・福島・白石・仙台・小牛田・一ノ関の各駅、常磐線では原ノ町駅で折り返す列車を増やすことで輸送障害時の影響を小さくする。このうち東北本線福島~仙台間の日中は、白石駅(宮城県白石市)を境に系統分離し、快速『仙台シティラビット』を各駅停車とする。

男鹿線全列車を置き換えるEV-E801系。男鹿線全列車を置き換えるEV-E801系。

磐越西線では、只見線で運用されているキハE120を会津若松~野沢間の一部列車でも運用する。

羽越本線・白新線では、新潟→村上間で夜間に運行している乗車整理券方式の快速『らくらくトレイン村上』が廃止され、全車指定席の『信越』に改称。朝の直江津発新潟行き快速『おはよう信越』も同一名称に改められる。

奥羽本線の新駅・泉外旭川駅のイメージ。駅舎が上下線に挟まれる形で設置され、駅前とは自由通路で結ばれる。奥羽本線の新駅・泉外旭川駅のイメージ。駅舎が上下線に挟まれる形で設置され、駅前とは自由通路で結ばれる。

東北北部では、新型の電気式気動車GV-E400系の投入が本格的に進み、12月から一部列車へ投入されている五能線では全列車が同車に置き換えられ、キハ40系一般車が撤退する。

GV-E400系は奥羽本線や津軽線へも投入され、奥羽本線では秋田~東能代の上下各2本、弘前~青森間の上下各1本、津軽線では蟹田~三厩(みんまや)間の上下各4本、青森~三厩間の上下各1本がそれぞれ置き換えられる。

男鹿線では、2017年3月から投入が開始された交流蓄電池電車EV-E801系「ACCUM」2両編成5本が追加投入され、同線のすべての列車を置き換える。これにより五能線と同様、男鹿線からキハ40系一般車の姿が消える。

これに伴ない、2両編成の列車のみで実施していた男鹿線のワンマン運転は、車両の側面に取り付けたカメラと乗務員室のモニタにより乗降を確認できる車載ホームモニタシステムの導入により、編成両数に拘わらず全列車で実施され、すべてのドアで乗降する方式に改められる。

このほか、奥羽本線秋田~土崎間に新駅「泉外旭川(いずみそとあさひかわ)」が開業。水戸駅(茨城県水戸市)と安積永盛駅(福島県郡山市)を結ぶ水郡線では、2019年10月の台風被害により最後まで不通となっていた袋田~常陸大子間が3月27日に復旧。水郡線はおよそ1年5ヶ月ぶりに全線再開する。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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