聴覚障がい者の業務をアシスト…ホンダ用語も識別するもうひとつのホンダAI技術

ホンダ・コミュニケーション・アシスタントシステム
ホンダ・コミュニケーション・アシスタントシステム全 12 枚

ホンダは21日、同社の基本理念にも通じるダイバーシティマネジメントの取り組みのひとつとして「ホンダ・コミュニケーション・アシスタント・システム(Honda CAシステム)」を報道陣に向けて発表した。

ホンダは、創業者本田宗一郎氏の発案で「ホンダ太陽」「ホンダR&D太陽」といった障がいを持った人が働ける会社を運営している。この現場で活用されているのが、ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)」が開発したHonda CAシステムだ。

ホンダ太陽、ホンダR&D太陽では、日々の業務やミーティングで筆談が採り入れられているが、会議に時間がかかる、正しい内容が伝わらない、筆談担当者の負担、情報量の制限といった課題があった。HRI-JPは、健常者と障がい者の業務やコミュニケーションを支援するため、ホンダR&D太陽とともにHonda CAシステムを開発した。

システムは、マイクの音声をテキスト化し、タブレット等の画面に表示する。筆談ボードのようにタブレットに書いた文字や図なども共有できる。AI(深層学習による音声認識)によって自動で議事録をとるアプリやサービスはすでに存在するが、既存のものは、専門用語の処理、応答時間などから、ちょっとした打ち合わせ、会議や朝礼などさまざまな状況に耐えるものではなかったという。

プレゼンや質疑応答もHonda CAシステムが利用されたプレゼンや質疑応答もHonda CAシステムが利用された

Honda CAシステムは、現場の会議でも実用できるものを目指し、リアルタイム性と正確性にこだわったという。深層学習のエンジンはオープンソースのものを利用しているが、学習データは、ホンダ太陽、ホンダR&D太陽での実際の朝礼や会議の録音を使っている。業界用語やホンダ用語も正しく認識できるように、辞書登録や学習パラメータ調整も念入りに行った。専門用語なども、単に辞書に登録するだけでは、実際の会話での認識は難しいという。フレーズでの登録や、実際の会話データの利用が不可欠だ。

Honda CAシステムは、すでに現場で1年ほど利用されているが、リアルタイム性では、発話終了から2秒でテキスト変換を終えるようになっている。正確性では、ホンダ社内での実績で9%の単語誤り率を示しているという。また、複数の人が同時に話してもそれぞれのテキストを生成できる。

単語誤り率単語誤り率

導入効果では、会議時間3割ほど短縮されたという。また、筆談に気をとられ会議本題についていけないといったトラブルも減らせている。障がい者が会議の進行や司会を行ったりと役割や業務範囲を広げることにもつながっている。Honda CAシステム導入によって、全体としてモチベーションの向上が見られるそうだ。

ホンダでは、このシステムを会議や朝礼以外、記念式典や在宅勤務などでも活用している。今後は、マイクを持たないハンズフリーでの動作、自動学習・自動辞書登録の機能、図表の入力機能、手話認識など広げていきたいとする。

Honda CAシステムの表示画面Honda CAシステムの表示画面

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. かつての『ハイラックスサーフ』、15年ぶりのモデルチェンジへ…トヨタが予告
  2. 今スズキの250ccスポーツが面白い!快適ツアラーな『GSX250R』に俊足エクスプレスの『ジクサーSF250 / 250』もPR
  3. 【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】「アウトバック」以来、30年にわたる挑戦の成果…諸星陽一
  4. 高性能電動SUV、メルセデスAMG「GLC 63 S Eパフォーマンス クーペ」発売…価格は1811万円
  5. 東京E-Prix 市街地コースは臨海都心に準備…フォーミュラE[写真32枚]
  6. ホンダ『フリード』次期型予想に注目! ボディ拡大? デザインは?…土曜ニュースランキング
  7. ダイハツ『タフト』と『コペン』の出荷停止を解除、国交省が適合性確認
  8. ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
  9. 三菱『エクリプス クロスPHEV』は、新しい毎日に踏み出せる「今の時代、最強の1台」だPR
  10. 日産『エルグランド』一部仕様変更、安全装備を強化
ランキングをもっと見る