【トヨタ ハリアー 新型試乗】「勝ち残る車種」の強みと課題…渡辺陽一郎

トヨタ ハリアー ハイブリッド
トヨタ ハリアー ハイブリッド全 11 枚

トヨタ全店取り扱いでさらに伸びた販売

最近はSUVの人気が高く、その上級車種として注目されるのがトヨタ『ハリアー』だ。2020年6月に現行型へフルモデルチェンジされ、2020年10月と11月には1か月に1万台近くが登録された。

ハリアーが好調に売れる背景には、トヨタの国内販売体制の変更がある。2020年5月から全店が全車を扱うようになり、ハリアーの販売店舗数は、トヨペット店の専売(一部地域を除く)だった時代の900店舗から、4600店舗へ急増した。

人気の高い新型車だから、トヨタ店やネッツトヨタ店でも購入可能になると、売れ行きをさらに伸ばした。『アルファード』なども増えたが、『ヴェルファイア』や『クラウン』は逆に減少している。全店が全車を扱うと、人気車と不人気車も明確になり、今後リストラすべき車種が自動的に選別される。そこも全店が全車を扱うようになった理由のひとつだ。

推奨グレードは「ハイブリッドG」

トヨタ ハリアー ハイブリッドトヨタ ハリアー ハイブリッド
ハリアーはいわば「勝ち残る車種」だから商品力も高い。インパネには合成皮革を使いながら上質に造り込んだ。先代型と同様、後席も頭上と足元の空間が広く、4名が乗車して快適に移動できる。

乗り心地は40km/h以下では少し硬いが、先代型に比べると快適だ。先代型は安定性を高める目的で、発売後に報道発表を行わずに硬くした経緯がある。現行型では走行安定性も向上しており、直列4気筒2リットルノーマルエンジン車は、2WD・Gなら車両重量が1570kgに収まる。走りにも軽快感が伴う。

ただし2リットルエンジンの動力性能は、実用的には不満を感じないものの、上級SUVのハリアーとしては物足りない。この点を考慮すると、グレードは「ハイブリッドG」(2WDの価格は400万円)が推奨される。モーター駆動の併用で、加速が滑らかになって静粛性も優れている。

トヨタ ハリアー ハイブリッドトヨタ ハリアー ハイブリッド

ハリアーだからこそ欲しい助手席の電動調節

今後のグレード展開としては、ノーマルエンジンにアイドリングストップをオプション設定して欲しい。信号待ちの時など、アイドリングすることに、後ろめたさを感じるユーザーもいるからだ。

ステアリングヒーターや助手席の電動調節機能は、30万円高いレザーパッケージでないと装着されない。助手席は運転席に比べて調節する機会が少ないから、手動式で構わないともいえるが、実際には奥さんが座ることも多い。夫婦で出かける時、こういった細かな配慮で気分が左右されることもある。ハリアーだからこそ、助手席の電動調節機能はファブリックシートにも欲しい。

トヨタ ハリアー ハイブリッドトヨタ ハリアー ハイブリッド

■5つ星の評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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