バイクで走れる国内唯一の海岸「千里浜」へ列島横断! 太陽を追いかけた1000kmの旅

サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみた
サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみた全 21 枚

海に沈む真っ赤な太陽を眺めつつ、海岸をバイクで走るなんて、国内ではここ千里浜なぎさドライブウェイでしかできない貴重な体験。全長約8km、雄大な波打ち際をゆったりと駆け抜けると、ゴールゲートが設置されている千里浜レストハウスだ。

ツーリングライダーらの間で盛り上がりを見せるSSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)に参加した。世界的なオートバイ冒険家・風間深志さんが発案し、2013年に参加者130台で第1回がスタート。2020年大会は5000台の定員が、申し込み開始とともにすぐに埋まる人気ぶりだった。

パリダカの感動を日本で!バイク冒険家が発案

北極点へバイクで到達。1987年に達成した風間深志さん。北極点へバイクで到達。1987年に達成した風間深志さん。
バイクファンらの間で知られている風間深志さん。1980年にキリマンジャロ登頂をバイクで挑戦し、82年には日本人初となるパリ・ダカ―ルラリー参戦。85年には世界最高峰エベレストにチャレンジし、高度6005mの世界高度記録を樹立した。87年には北極点、92年に南極点にそれぞれ到達するなど、数々の金字塔を打ち立てたオートバイ冒険家だ。

2004年のダカール・ラリーで事故により左足に機能障害を負うも、2015年に親子で「BAJA1000」、17年にはTEAM KAZAMAとしてダカールラリーを完走している。

そんな風間さんが「パリダカのゴールで、海岸をヴィクトリーランする感動を日本のライダーにも味わってもらいたい」と、SSTRを思いついた。基本ルールは、日の出とともに参加者自身で決めた日本列島の東海岸から出発し、夕陽が沈むまでに日本海の千里浜にゴールするという単純明快なもの。

途中、サービスエリアやパーキングエリア、道の駅など立ち寄りポイントが定められ、いくつかの場所を巡らないと完走扱いにはならない。

感動のゴール、病みつきになる一体感が味わえる

サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみたサンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみた
2020年大会は5月に予定されていたが、コロナの影響で初のオープン形式に。2020年10月1日~21年3月31日の期間中に自分で参加日を決め、主催者が用意するSSTRシステムにスマートフォンからログインし、出発地点やゴール到着などを登録する方法となった。

さて、筆者(青木タカオ)も友人らと大黒ふ頭(神奈川県横浜市)に暗いうちから集合。ハーレーダビッドソンのグランドツアラー『ロードグライドリミテッド』のリアシートにカメラマンを乗せ、タンデムでエントリーした。用意されたゼッケンを車体に貼ると、気分も高まる。日がのぼると同時に千里浜を目指し、列島横断500kmの旅に出た。

中央道を西へ。さすがは大陸横断ツアラーなだけあって、2人乗りでも快適。高速クルージングは得意とするところで、順調に距離を稼ぐ。松本インターで降り、安房峠を越えて高山、白川郷を抜けていく。途中、いくつかの休憩地点で同じSSTRに参加するライダーと出会い、ゴールでの再会を約束する。SSTRのゼッケンを貼ったライダーにすれ違うことも多く、手を上げて挨拶。不思議な一体感が生まれ、ゴールする前から参加してよかったと思う。

石川県のと里山海道に入ると、ついに日本海が左手に見える。千里浜なぎさドライブウェイを走り、ゴールゲートをくぐれば感動のゴール。夕陽を眺めていると、SSTRのゼッケンを貼ったバイクが次々にやってくる。高速道路に乗ることのできない125cc以下もいるから驚きを隠せない。日が短くなった季節でも、中京地区からなら夕陽に間に合うとのことだ。

東から西へ、太陽の位置を1日意識して走った

サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみたサンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)に参加してみた
風間さんはラリーや数々の冒険で「いつも太陽だけが頼りだった」という。スマホやパソコンなど電子機器ばかりを見る現代人に、「ぜひ1日たっぷり太陽を追いかけてほしい」と、SSTRのテーマを“Chasing the Sun(太陽を追い駆けろ)”に決めた。

日の出から日没まで太陽を追いかける1日はとても有意義なもので、達成感もゴールでは味わえる。翌日も同じだけの距離を走って、2日間で1000kmを走った。道中の様子はドライブレコーダーで記録し、帰宅後も仲間たちと映像を共有する楽しみがある。

エントリーが年々増えるSSTRだが、参加してそのワケがわかった気がした。参加者全員に物語があるのだ。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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