[低音増強 大作戦]サブウーファーのチューニング

サブウーファーの“クロスオーバー”の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
サブウーファーの“クロスオーバー”の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 3 枚

カーオーディオでは低音をどう鳴らすかが、良音を得られるか否かの1つのポイントとなる。当特集では、その理由から“低音増強”法のいろいろについて説明してきた。今回はその最終回として、サブウーファーを導入する際の“チューニング術”を解説していく。

なお当特集では毎回、全国の実力カーオーディオ・プロショップに取材し記事を作成してきた。今回は、福岡県粕屋町の有名店“エモーション”の橋本さんに教えを請うた。参考になる話がたくさん訊けた。じっくりとお読みいただきたい。

まずはフロントスピーカーの“ハイパス”を調整!

ところでサブウーファーの鳴らし方(楽しみ方)にはさまざまなアプローチがあるのだが、今回は“前方定位(低音も前から聴こえてくるようにする再生スタイル)”させるためのチューニング術を紹介していく。さて、その手順とは…。

「まず前提として、フロントスピーカー(ツイーターとミッドウーファー)の調整がすべて終わっていなければなりません。以下の説明は、その上での話だとご理解ください。

さて、最初に行うべきはフロントスピーカーの“ハイパス(ローカット)”の設定です。手順は以下のとおりです。

サブウーファーの音をミュート(消音)し、その上でフロントスピーカーの“カットオフ周波数”と“スロープ(カットする音の減衰率)”を仮に入力しておきます(このときの値はなんでも良い)。そして録音状態の良いボーカル音源をかけ“スロープ”を変えて聴き込み、中高域(ボーカル帯域)がもっともクリアに聴こえるのがどれなのかを探ってください。

なお、クロスオーバー機能が簡易的であると“スロープ”は固定されていたりもするのですが、選択できるようになっている場合にはそれぞれを聴き比べ、ベストを探りましょう。

“スロープ”を決めることができたら今度は、“カットオフ周波数”を決めます。40Hzから80Hzあたりの中で値を変えまたもやそれぞれで音を聴き込み、中高域がもっともクリアに聴こえる値を見つけてください」

フロントスピーカーの“クロスオーバー”の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

距離を実測し、タイムアライメントを仮設定!

続きを教えてもらった。

「続いては“タイムアライメント”の仮設定を行います。仮設定の方法は至ってシンプルです。サブウーファーからリスナーまでの距離を測定しその値を入力すればOKです。ただし注意点が1つあります。それは、“実質の距離を測る”、です。例えばステーションワゴンのようなクルマでトランクに上向きにサブウーファーを設置していたら、リアシートを回り込んでくるその全行程の距離を正しく測ります。

次いでは、サブウーファーの“スロープ”と“位相の正・逆”を決めていきます。なおこれ以降の調整においては、ウッドベースのソロ音源を使うとやりやすいと思います。

で、“カットオフ周波数”はとりあえず仮で適宜決めて、ドアスピーカーからも音を出しながら、選択可能な“スロープ”すべてで“位相の正・逆”を切り替え聴き比べます。そしてその中で、もっとも低音の音量が大きく聴こえるのがどれなのかを探します。

それが分かったら、今度は“カットオフ周波数”を吟味します。なお、サブウーファーの“カットオフ周波数”は、ドアスピーカーのそれと同一にするべきなのかというと、必ずしもそうとは限りません。それぞれを離した方が良い場合もあれば、追い越すように(音を重ね合わせるように)する方が良いこともあるんです。

なので50Hz、63Hz、80Hzこれらでそれぞれ音を聴き、どれがベストなのかを探ります。このときに着目すべきは、サブウーファーから放たれる低音が前から聴こえてくるかどうか、です。まだ調整の途中ですから完全に前方定位はしませんが、良くない値がどれなのかは見分けが付くと思います。低音が後ろから聴こえてくるのは良くありません。後ろから聴こえる感じがもっとも希薄なものを選びましょう」

“タイムアライメント”の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

あとはサブウーファーの音量と“タイムアライメント”の微調整で完成!

ここまでが済めば、ゴールは近い。フィニッシュまでの工程を“エモーション”の橋本さんに教えてもらった。

「その後にはサブウーファーの音量を調整します。なおこの作業はゆっくり行ってください。まずサブウーファーをある程度大きな音量で鳴らし、そこから1ステップずつ下げてその度に音を噛みしめるように聴き込みます。

この作業を続けていくと、低音が徐々にフロントスピーカーの定位位置に向かって移動します。そして一定のところまで移動するとそれ以上は前に行かなくなります。この“動かなくなった瞬間”の値がベストポイントです。それ以上音量を下げてはいけません。

そしてこの後に、“タイムアライメント”の微調整を行えば完了です。この調整でも、値を1ステップずつ変えては噛みしめるように音を聴き込みます。そして、フロントスピーカーの定位位置とサブウーファーの定位置がぴったりと重なるポイントを見つけてください。

ちなみにそれまでの調整が上手くいっていれば、前後10cm程度以内でベストポイントが見つかるはずです。しかしなかなか上手くいかない場合には、それ以前の何かが間違っていたことを疑うべきです。最初の距離測定から1つ1つを確認しましょう。

手順は以上です。上手くいくと、音に潤いと広がりと臨場感が与えられます。簡単ではありませんが、ぜひトライしていただきたいですね。カーオーディオがますます面白くなるはずです。

ご来店いただけましたら、サウンドチューニングも承ります。そして低音増強のプランもさまざまご提案できると思います。ぜひお気軽にお越しください」

“土台”を強化すれば音楽は今よりもっと豊かに響く!? 「低音増強」大作戦! Part8「サブウーファーのチューニング法解説」

《太田祥三》

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