独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は1月29日、北陸新幹線敦賀延伸問題で国土交通省(国交省)から業務改善命令を受けたことに対する改善措置を国土交通大臣に提出したことを明らかにした。
鉄道・運輸機構が建設主体となって工事が進められている北陸新幹線金沢~敦賀間では、事業費が増額された2019年3月以後も、金額が徐々に増す「増嵩(ぞうすう)」や工事の不調不落が続き、2020年7月には当初予定の2022年度末開業が2年程度遅れる見込みになったことが明らかになっていた。
これに対し国交省は、2020年11月に「北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会」を設置し、これらの原因究明や再発防止策を検討。翌12月には鉄道・運輸機構に対して、独立行政法人としては初となる業務改善命令を出していた。
年が明けた1月6日には改革へ向けて、元国交省官房長で、整備新幹線問題などで中心的な役割を果たしていた水嶋智氏が副理事長に就任しており、理事長については1月19日から公募が始まっている。
鉄道・運輸機構が提出した改善内容によると、工事を担当していた大阪支社が現場から離れすぎているために、現状把握の不足や現場との意思疎通の欠落などを招いていたことが大きな原因として、大阪支社を3月末で廃止。4月から北陸新幹線建設局(仮称)を設置し、局長を福井県福井市、副局長を石川県小松市に配置するとともに、工程・事業費管理に係る責任者を小松、福井、敦賀の各市に配置し、地方組織の体制を強化するとしている。
より現場に密着した体制が構築されることにより、1カ月程度の工期遅延や各工区の個別工事単位で1億円程度の増嵩が見込まれる場合は、北陸新幹線建設局から本社へ速やかに報告するとともに、「対策の実施前に本社の了承を得させることなどをルール化し、本社レベルで対応が必要な事象の早期の把握を図る」などとしている。
また、関係自治体との情報共有を拡充するため、ハイレベルまたは実務者レベルの会議を定期的に開催することも盛り込まれており、「北陸新幹線金沢・敦賀間工程・事業費管理連絡会議」を年3~4回程度、並行して「連絡会議幹事会(仮称)」を月1回程度開催し、「定期的に、各工区の工事の進捗状況、事業費の執行状況、発生しているリスク要因等について、体系的に情報共有する」としている。