ホンダは2月19日の取締役会で、八郷隆弘社長(61)が取締役になり、後任に三部敏宏専務(59)を昇格させる4月1日付のトップ人事を内定し、両氏は同日夕刻にオンラインによる記者会見を開いた。
6月の株主総会後の取締役会で三部氏は取締役代表執行役社長に就き、八郷氏は退任する。会見で八郷社長は、就任した2015年6月以来の約6年について「100年に一度と言われる大転換期に突入するなか、ホンダが将来に渡って『存在を期待される企業』であり続けるため、既存事業の盤石化と、将来の成長に向けた仕込みを重点方針とし取り組んできた」と振り返った。
そのうえで、事業盤石化については「従来のやり方に捕らわれない抜本的な改革を進め、狭山や欧州などの工場生産終了の決断も行う一方、中国においては5年間で倍近くまで生産能力を拡大した。成果の刈り取りの段階に入っている」と評価した。
また、将来への仕込みでも2050年での「カーボンニュートラルと「交通事故死者ゼロの実現」などをビジョンに掲げたとし、「新しい時代に向け新しいホンダが出発していくため、このタイミングで新たなリーダーにタスキをつなぐこととした」と、交代の狙いを語った。この6年間で自身として「やり残したことは全くない」とも述べ、後任の三部専務に対しては「豊富な知見と力強いリーダーシップでこの厳しい環境に打ち勝ってくれる」と期待を表明した。
三部次期社長(向かって左)と八郷現社長三部専務は、自らの責務について「将来の成長に向け、ホンダの将来、未来という建物を建てることであり、100年に一度の変革期にも耐えられるレジリエンス(弾力)をもったものにしなければならない。研究所の社長として仕込んできたものを、お客様に魅力のあるモノやコトとして形にしていきたい」と語った。
電動化の加速については「EV(電気自動車)という商品を造ればいいわけでなく、調達戦略や売り方も同時に進め、さらにインフラ側とのタイミングも合わせていかなければならない」と、基本的な取り組み方針を述べた。また、自身の強みについては「激動の時代に向いている方かなと思う。プレッシャーにはかなり強い方であり、激動期はワクワクする」と話した。
三部次期社長(向かって左)と八郷現社長