【ホンダ レジェンド 新型】レベル3自動運転の意義・意味---Honda SENSING Eliteとは?

新型ホンダ・レジェンド:Honda SENSING Elite
新型ホンダ・レジェンド:Honda SENSING Elite全 9 枚

かねてよりアナウンスされていたレベル3自動運転機能「Honda SENSING Elite」を搭載した新型ホンダ『レジェンド』が5日に発売される。どんな機能なのか、どんな運転が可能なのかを解説する。

新型レジェンドに搭載される「Honda SENSING Elite」は、既存のHonda SENSINGのADAS機能にレベル3自動運転に対応する「ハンズオフ機能付車線内運転支援機能」および「トラフィックジャムパイロット」が追加されている。

ハンズオフ機能付車線内運転支援機能は、渋滞対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持機能(LKAS)の作動中に一定の条件を満たすと本線走行、車線変更・追い越し(ウィンカー操作が必要)、本線退出(ナビ設定等でシステムが必要と判断した場合)などを、ハンドルを保持しない状態でも実行する。

トラフィックジャムパイロットは、高速道路において30km/h以下で起動され、50km/hの速度で解除される。その間の運転はシステムが行う。通常の渋滞対応ACCでは、停止時間が長いと再発進にRESボタンやアクセル操作が必要だが、トラフィックジャムパイロットは必要ない。速度が上がってきたりシステムが対応できない状況になると、運転交代の要請(警告)がだされ、ドライバーは運転を引き継がなければならいが、その間はL3自動運転中と判断できるので、ドライバーはハンドルを放すだけでなく、コンソール画面で動画を見たりが可能になる。

新型ホンダ・レジェンド:Honda SENSING Elite新型ホンダ・レジェンド:Honda SENSING Elite

システムが運転を行える条件は、高速自動車国道、都市高速道路、これらに接続される自動車専用道路(対向車線が分離されていない区間、サービスエリア、料金所など一部区間をのぞく)で、降雪や豪雨、濃霧、逆光などがなく車両や走行車線を認識できる状態であること。また、自車周辺に低速の車両が並走している渋滞状態である必要もある。GNSSや地図情報が正しく取得できていること。ドライバーが正しい姿勢でシートベルトを装着しており、アクセルやブレーキなどを操作していない状況も必要だ。

ほとんどの高速道路で渋滞の後ろにつくと、システムが「トラフィックジャムパイロット」を起動する通知を行う。ドライバーはそれを確認しハンドルやブレーキを放せばレベル3自動運転が始まる。この間の速度調整や合流車両、車線変更車両への対応はシステムが行う。

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渋滞を抜けだし速度が上がってくると、システムは自動運転モードを切り替える(運転交代要請)メッセージをメーターパネルに表示する。最初はオレンジ色だが、しだいに赤くなり、4秒後にはシートベルトを巻き上げドライバーに触覚でも警告・交代要請を行う。

それでもドライバーが運転を始めなければ、システムはハザードを点灯させホーンを鳴らしながら、車線上または左側に寄せて車両を停止させる(MRM:ミニマルリスクマヌーバ)。

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高速道路での事故の70%以上が50km/h以下の速度の追突という統計データがある。ホンダがレベル3自動運転を高速道路の渋滞時の運転制御に適用したのは、高速道路での事故を効果的に減らすためだ。その追突事故のほとんどが渋滞による疲れやストレスに起因する脇見や漫然運転などドライバーの不注意によるものだ。機械による自動運転ならば人間のようなエラーや見落としはほとんどなくせる。

一部のOEMが、自動運転の適用条件の設定、制御の引継ぎ、MRMといった要件の複雑さからL3をパスしてL4を目指すとしているなか、ホンダが世界に先駆け(レジェンドはL3自動運転機能を含む型式指定を受けた世界初の車両)L3自動運転車両を発表した理由はここにある。

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新型レジェンドでは、以上のようなレベル3自動運転を含む機能を実現するため、フロントに2台のカメラと車室内にドライバーの状態を検知するカメラ1台、レーダーとLiDARが各5台が搭載される。また、自車位置を正確に把握するため、高精度の3Dマップ情報とGNSS(GPS)を利用する。

日本のような道路事情の場合、カメラ画像だけでなくLiDARによる周辺の立体データ(点群データ)が必要とされる。実験車両などは360度を把握するためルーフに回転式のLiDARを搭載することが多いが、デザインや実用面で市販車両にこの方式は採用しにくい。複数のLiDARを使えば車体に埋め込むことができるが、ただでさえ高価になりがちなLiDARを量産車に大量に搭載するのはハードルが高い。

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近年小型・廉価なLiDAR製品もでてきているが、ライン生産される車両に5台のLiDARはかなり奢った設計だ。フロントカメラを2台としたのも冗長構成のためだ。ホンダはレベル3自動運転を市販車に搭載するため、コストより信頼性を優先させた形だ。コストについては、それが普及すれば一般的な市場原理で価格は下がってくるので、本質的な問題ではない。まずは市販車のレベル3自動運転に型式指定が降り、市場で販売されるという事実を評価したい。

《中尾真二》

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