SDL(SmartDriveLink)をご存じだろうか。車載ネットワーク上の車両情報とスマホアプリをリンクさせるためのオープンソース標準規格だ。これを活用したアプリコンテストが開催されているのだが、今回はコロナ禍でのコンテストとなり、アプリもこれらの課題を反映したものとなった。
SDLでは、車両データをスマホアプリが呼び出すためのAPIやプロトコルが規定されている。アプリ開発者は、SDLを利用すれば車両の速度、ブレーキやハンドルの操作、燃費データなど使ったスマホアプリの開発が容易になる。コンテストの募集は2020年4月から行われ2021年2月21日に締め切られた。応募作品から11の入賞作品が選ばれ、3月8日に審査員4名による最終審査が行われ、特別賞とグランプリが発表された。
モビリティ革命という言葉はすでに当たり前になってきているが、パンデミックによってモビリティや自動車には新しい役割も生まれている。コンテスト事務局を代表して、遠藤諭氏(角川アスキー総合研究所)は
「スマートフォンアプリの市場は、この1年で過去3年分の変化が起きるほど加速した。ネットにつながることでライフスタイルも変わってきていることを実感する。その入口のひとつがスマホアプリだと思う。今回のコンテストでは、クルマの安全と便利を拡大するアイデアが多く、審査結果がとても楽しみだ。」
グランプリを獲得した「ドライブ気分」と挨拶した。
最終審査の結果、特別賞に以下の5作品、グランプリ1作品が選ばれた。
SDLアプリコンテスト2020特別賞1キッチンカー支援アプリ Kitchen Meets
特別賞2しおわんのきりばん!
特別賞3TAXI風燃費レシート
特別賞4バイクは楽器
特別賞5もこもこドライブ
グランプリ安全運転支援&コロナ3密回避 遠隔同乗システム 「ドライブ気分」
グランプリに選ばれた「ドライブ気分」は、車の運転動画と車両の走行データをライブ配信するアプリ。視聴者はいいねやメッセージを送ることができる。ドライバーの疲労度測定や、モービルアイのカメラユニットを使った車間距離測定・標識認識などにも対応する。視聴者の画面には、ライブのドライブ映像のほか、インパネを模したダッシュボード画面でも走行状態が確認できる。
SDLアプリコンテスト2020プライベートな使い方では、遠隔地の親のドライブに、子どもがバーチャル同乗して運転を見守ったりが可能だ。業務利用や商業利用では、リモート路上教習のような応用も考えられる。また、観光地のドライブ映像などの配信を行えばバーチャル観光ツアーなども企画できるだろう。車好きには、トップレーサーのサーキットバーチャル同乗走行も面白いかもしれない。
入賞作品や特別賞作品には、車両のアバターやキャラクターを作ったり、走行映像を配信することでコンテンツ化するものが複数見られた。アプリやコネクテッド機能によって、クルマは確かに新しいコンテンツを生み出し、メディア化しつつある。この動きは加速されそうだ。
SDLアプリコンテスト2020