ロールスロイス史上最も売れたオープンカー『ドーン』が生産終了…8年の歴史に幕

2015年にネーミング復活によって登場

6層構造のソフトトップで静粛性を追求

V12ツインターボを593psに強化した「ブラックバッジ」

1920年代の伝説的なロードスターに着想の2シーター版「シルバー・バレット」

エアロカウリングにはチタン素材を使用

ロールスロイス・ドーン
ロールスロイス・ドーン全 20 枚

ロールスロイス・モーターカーズ(以下、ロールスロイス)は5月2日、2ドアオープンカーの『ドーン』の生産を終了した、と発表した。ロールスロイス史上、最も多く販売された「ドロップヘッドクーペ」(オープンモデル)になるという。

◆2015年にネーミング復活によって登場

ドーンは、ロールスロイスの伝統のネーミングだ。その名前が、初めて使われたのは、1949年。1950~1954年には、28台のドロップヘッドボディを生産した。その後、1997年には、『シルヴァースピリット』の後継車に、『シルヴァードーン』の名前が付された。

2015年にネーミング復活によって登場したドーンは、クーペの『レイス』のオープン版(いわゆるドロップヘッドクーペ)として発表された。室内は2+2レイアウトとし、ソフトトップは全自動で開閉できるようにした。

車名のドーンとは、夜明けを意味する。それは、一日が始まるたびに訪れる新たな時間であり、目覚めの時であり、人々の感覚が解放される時であり、また一番初めに注ぎ込まれる日差しでもある。ロールスロイスはドーンの車名に、一日の始まりを迎える情熱を呼び起こすという意味を込めた。ボディサイズは全長5295mm、全幅1945mm、全高1500mm、ホイールベース3110mmだ。

◆6層構造のソフトトップで静粛性を追求

レイスに対して、ドーンはフロントグリルをおよそ45mm後退させた。その一方、フロントバンパーの下部分は、レイスに対して53mm延ばされた。ロールスロイスは、ドーンに独自性を与えるデザインを採用した。

ドーンのパワートレインは、直噴6.6リットル(6591cc)V型12気筒ガソリンツインターボで、最大出力571ps/5250~6000rpm、最大トルク83.6kgm/1600~4750rpmを引き出す。トランスミッションは8速ATだ。ドーンの車両重量は2640kgあるが、0~100km/h加速5.0秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を可能にしていた。

ドーンには、6層構造のソフトトップを備えている。ロールスロイスによると、世界で最も静かなコンバーチブルのひとつという。全自動のソフトトップはおよそ22秒で開き、シートとデッキエリアが現れる。ハードトップのレイスと比較しても、遜色ない遮音性により、車内は静粛性が保たれるという。

ロールスロイス・ドーン・ブラックバッジロールスロイス・ドーン・ブラックバッジ

◆V12ツインターボを593psに強化した「ブラックバッジ」

2017年には、このドーンに「ブラックバッジ」が設定された。ロールスロイスのメイン顧客層よりも、下の年齢層にアピールするのが、ブラックバッジとなる。

ドーンのブラックバッジは、車名が意味するように、ボディカラーはブラックをメインとした。ボンネット先端のスピリット・オブ・エクスタシーも、グロスブラックで仕上げた。ソフトトップはブラックのみとなり、リアデッキはブラックレザーで仕上げられた。

直噴6.6リットルV型12気筒ガソリンツインターボエンジンはパワーアップし、最大出力593psを獲得した。最大トルクは85.6kgmで、1500rpmの低回転域から引き出される。ドーンのブラックバッジは、0~100km/h加速は4.9秒、最高速は250km/h(リミッター作動)の性能を発揮した。パワーアップに対応して、サスペンションやブレーキは強化されている。

ロールスロイス・ドーン・シルバー・バレットロールスロイス・ドーン・シルバー・バレット

◆1920年代の伝説的なロードスターに着想の2シーター版「シルバー・バレット」

2020年8月には、ドーンに世界50台の限定車として、「シルバー・バレット」が発表された。1920年代の伝説的なロードスターからインスピレーションを得て、ドーンの後席を廃止し、2シーター化した。後席部分には、チタン素材のエアロカウリングを採用する。

エアロカウリングとは、トノカバーを指す。リアシートをリアデッキから延びたトノカバーで覆うことにより、大人4名を快適に包み込む4シーター車のドーンを、伝統的なロードスターのリアスタイルを模して、滑らかな2シーターモデルに変身させた。

ロールスロイス・ドーン・シルバー・バレットロールスロイス・ドーン・シルバー・バレット

また、エアロカウリングを取り付けたことにより、ロードスターらしい洗練されたデザインを味わうことができるだけでなく、幌を開けた際の運転席や助手席への風の巻き込みを軽減し、より快適な走行を楽しむことができるという。

◆エアロカウリングにはチタン素材を使用

このエアロカウリングには、高剛性かつ軽量なチタン素材を使用している。また、左右のカウルの間の部分が見えるように設計されている。カウリングはスタイリッシュなデザインで、それぞれのカウルには、鍵付きの小物入れスペースが設けられていた。

シルバー・バレットのボディカラーは、車名が意味する通り、シルバーメタリックのビスポークペイントが施される。このボディカラーは、ブリュースターシルバーと命名された。インテリアには、オープンポアのカーボンファイバー製パネルを装備する。レザージャケットからデザインのヒントを得て、キャビン中央のトランスミッショントンネルには、専用のキルティング加工が施されていた。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. トヨタ『スターレット』復活! 2026年デビューか?
  2. 40アルファードの静粛性が一変!調音施工で快適性が飛躍的に向上
  3. スポーティだけど“eバイク”じゃない!? ヤマハの新型『PAS CRAIG』に乗ってわかったブレない"ちょうど良さ"
  4. その差は歴然!? 見た目は同じでもカロッツェリア・サイバーナビ AVIC-CQ912 ll → lll の進化は凄かった
  5. BMW『X3』新型、プロトタイプの写真を公開
  6. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  7. 取り付けは約10秒、カーメイトが「ワイドリアビューミラー」発売…ジムニー、ランクル、ヤリスなどの純正ミラー用
  8. 【ホンダ N-BOX 新型試乗】アイデアの詰まった使い勝手はまさに「ニッポンの国民車」だ…中村孝仁
  9. JAOSがトヨタ『ランドクルーザー250』用各種カスタマイズパーツをリリース
  10. 「2024年問題」に三菱ふそうと警察庁が動いた…新聞ウォッチ土曜エディション
ランキングをもっと見る