OPEN COUNTRY A/T III
MOVIE IMPRESSION
SUVの見た目と走りがここまで変わる!
オープンカントリー最新作の真価を試す
トーヨータイヤのオープンカントリーを履いたSUV、最近よく見かけます。とはいえ私の場合、普段からそんなにクルマの足元ばかりを見ているわけではないんですよね。それでも、よく見かけるな~と感じるということは、カッコよく目立つのでパッと目を惹くのだと思います。
タイヤって黒くて丸いカタマリですし、しかも位置的にも下の方に装着されているので、いわば縁の下の力持ち的な感じで、あまり目立ちにくい存在。そこに目がいくというのは、よほどデザイン力が高いということ。改めて考えると本当にスゴイですよね。

このデザイン力、クルマのドレスアップという面でもかなり重要ですけれど、タイヤはクルマの走りを決める最重要アイテムなので、運動性能にも効いてくれないと…、いや運動性能に効いてこそのデザインじゃないと困りますよね。なんたって路面に接しているのはタイヤだけですから。
そこで、今回は能戸知徳選手と一緒に、一般道、高速道路、オフロードと、タイヤ試乗に出掛けることになりました。今年は通称:バハ(BAJA1000)と呼ばれる、オフロードを日中夜走り続けるとんでもない大会に参戦される予定の能戸選手ですが、実はトーヨータイヤのオープンカントリーのアンバサダーも務めていらっしゃいます。また普段は、JAOSというクルマのパーツメーカーの社員さんだったりもするんですよね。

つまり、タイヤとクルマにとって、最も過酷と言える状況から日常生活まで身をもって体験し、なおかつ、さまざまなお客様のタイヤやクルマの使い方を伺えるというスペシャルな立場にいらっしゃるということ。これは色々と興味深いお話が聞けそうです。
実はオープンカントリーは6種類ラインナップ!
オールラウンドに使えるA/Tタイヤの新作が登場

今回のコースは都内を出発し、富士ケ嶺オフロードコースというルートで参ります。クルマは、RAV4とJAOS仕様のランドクルーザープラドの2台。タイヤはオープンカントリーA/T IIIです。実はオープンカントリーシリーズは、現在6種類もありまして、使用用途やフィーリングの好み、車種によって、さまざまな設定サイズの中から選択できるようになっております。ちなみに、今回試乗するオープンカントリーA/T IIIは、1番新しく登場したモデル。

どんなタイヤか大まかに説明しますと、タフなオフロード性能を有しながらも、舗装路面での乗り心地や音はマイルドに抑えつつ、さらに燃費性能や雨天の性能も確保しつつ、スノーフレークマークを打刻できるほど雪の性能もきちんと持っているという、オールラウンド性のあるタイヤなんです。

誤解を恐れずに言うと、どれかの性能がずば抜けて優れているというよりは、どれもが高い性能でまとまっているという感じのタイヤなので、どんな車種に履かせても、どんな方が乗っても、どんな使い方をしても、ハズシがないといった具合でしょうか。

尖ったところのないタイヤなので、聞こえ方によっては頼りなさげに感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くそんなことはありません。全方位での使いやすさ、これに特化していると考えてください。というのも、オフロードタイヤやAT(オールテレーン)タイヤって、やはり通常のタイヤとは違う部分がたくさんあるからなんです。
オフロードタイヤのネガティブポイントを解消して、日常使いも不満を感じさせない性能を実現

まずはじめに、往々にしてパターンノイズは大きめのものが多くなります。これは、オフロード性能を考えると、どうしても大きめのブロックパターンが採用されるからなのですが、この音って意外と疲労度が高くなります。タイヤによっては車内だけではなく、周りにも結構な大きさで聞こえちゃったりすることもあるくらいですから。

A/T IIIでは“5ピッチバリアブルパターン”を採用し、このパターンノイズを低減しています。いわゆる普通のタイヤとさほど変わらないくらいのノイズ感。これなら自分も同乗者も周りの方も、快適に過ごせること間違いなし、といっていいレベルに収まっていました。
今回のように本格的なオフロードコースに走りに行くにしても、その移動の大半は一般道や高速道路になりますから、やはり音は静かな方が自分にも周りにも嬉しいですからね。かなり助かります。
乗り心地も題なし!
いきたいところに素直に進んでくれるキャラクター

続いてオフロードタイヤやATタイヤと普通のタイヤで、大きく違うのが乗り心地です。トレッドのブロックパターンをご覧いただいてもわかるように、いわゆる普通のタイヤとはまったく違いますよね。オフロード性能を上げていくと、どんどんブロックが大きめになっていくのと同時に、溝も広くなります。そしてゴム厚も高くなります。
これによって、特に段差などを乗り越した時に、なんとなくブルブル感が残ったりしがちなのですが、A/T IIIはスッキリした乗り心地。ゴム厚があるので、ガツンとこないのはもちろんですが、その後の収まり感がいいんですよね。

もうひとつ、このトレッドパターンとゴム厚により大きな影響を受けるのがハンドルを切った時のフィーリングです。A/T IIIも細かいことを言えば、レーンチェンジ等ではハンドルの切り始めにホンの少しゴムのヨレ感を感じますが、グニャッと落ち着かないというほどではないので、この手のタイヤとしては安定感が高いと言っていいと思います。
つまり、タイヤ全体としてよくまとまっている感じで、極端なことを言うと一般道ではいわゆる普通のタイヤと何ら変わりなく乗れてしまうくらいのフィーリングなんですよね。ATタイヤが装着されているということを、すっかり忘れてしまうくらいのレベルだと言っていいと思います。

高速道路では一般道と比べると少しATタイヤの持つ性格が顔を出してきますが、それほど意識せずとも乗れてしまいますし、なんといっても雨天の強さと雪も大丈夫というのは嬉しいですよね。あ!氷上だけはスタッドレスタイヤの方が断然勝っているので、そこは注意が必要ですよ。
急坂や岩場、モーグルまで難なくクリア!オンロードからオフロードまで両立しているなんて魅力的すぎる…

そんな話をしているうちに、富士ケ嶺オフロードコースに到着です。あまりに快適で、あっという間についた感じですが、なんとここで雨が降り出してきました…。オフロードコースで雨となると、ご想像通りよりシビアなコンディションになるわけですが、能戸選手のアドバイスを受けつつトライしていくと、30度の坂もグイグイ登れてしまったからビックリ!今回のRAV4はハイブリッドモデルだったので、モーターの威力もアッパレという感じではありますが、それもタイヤがしっかりとトラクションを発揮してくれるからこそ登っていけるわけで…。

ニュルリといった不安なシーンもなく、30度の坂を上り下り、またそこそこのスピードで8の字走行、モーグル走行などもできてしまう様にはちょっとどころか、かなり驚かされました。
実際、能戸選手が、もっとハードなコースでタイムトライアルをした結果、オープンカントリーシリーズの中でもこのA/T IIIが最速ラップを叩き出したんですって!刻々と路面が変わるオフロードコースだからこそ、このオールラウンドな性格がより威力を発揮するのかもしれませんね。

見た目のデザイン力と走りのデザイン力。これを見事に両立したオープンカントリーA/T III。カッコよさだけで選んでも間違いない性能をしっかり感じることができました~♪見た目もよし・走ってよし・乗り心地もよしなATタイヤの選択肢で、愛車の新しい一面を体験しちゃうのもアリだと感じたドライブになりました!
TEXT:KEI TAKEOKA
NAVIGATOR:TOMONORI NOTO
CAR SUPPORT:JAOS
MOVIE:JUNJI IWAMOTO
PHOTO:DAIJIRO KORI
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竹岡 圭KEI TAKEOKA
モータージャーナリスト・タレント。「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、さまざまな媒体で「喋って・書いて・走って」を実践する女性モータージャーナリスト。テレビのバラエティ番組のMCから、官公庁の委員まで、硬軟幅広く携わっている。モータースポーツでも、耐久レースやラリーレイドなど数々のレースに参戦、現在は全日本ラリー選手権に自らチームを立ち上げチャレンジ中。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J.)副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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能戸 知徳TOMONORI NOTO
株式会社ジャオス 開発部。TEAM JAOS MOTOR SPORT PROJECTのドライバーである能戸知徳は、1999年に陸別道新オフロードバトルへの参戦でドライバー人生をスタートさせた。18歳で4WDプロショップ・パドックに入社。営業と開発を担当しながらもレース活動を継続し、AXCR2006ではジャオス・赤星とパジェロで完走。翌年の同大会では日本人最高位である総合4位を獲得した。更にジムニースーパートライアルチャンピオンシップ北海道DVでは3年連続シリーズ優勝するなど、34歳にして数々の戦歴をもっている。AXCR2015ではメカニックとしてTEAM JAOSを支え、同年12月にジャオスに入社。翌AXCR2016にはドライバーとしてチームを総合5位入賞へと導引。そして2017年、2018年に引き続き2019年も参戦し、念願のT1Gクラス優勝を果たした。2021年には全米最長のオフロードレース「Best In The Desert Vegas to Reno」に参戦。