【トヨタ ウィッシュ 試乗】熟成された乗用ミニバンの代表格…青山尚暉

自動車 ニューモデル 新型車
トヨタ ウィッシュ 2.0Z
トヨタ ウィッシュ 2.0Z 全 17 枚 拡大写真

トヨタのドライバーズミニバンの代表格、『ウィッシュ』がMCを行った。

今回のMCではまず内外装をリフレッシュ。外装では特に顔つきが変わり、よりスポーティーな印象となった。エンジンの改良で燃費が向上したことや、買い得な1.8リットルのスポーティーグレードが追加されたこともニュースだ。

普通、ミニバンのMCは見た目の変更がほとんどだが、ウィッシュは走りの面でも進化していた。たとえば、スポーティーグレードの1.8Sおよび2.0ZのCVTにG AI SHIFT制御付きのスポーツモードを備えたこと。これは車両のGセンサーから減速度や旋回力を判断し、コーナリング中の不要なシフトアップを制御する。一段とスポーティーかつ積極的な走りを可能にしてくれる。

さっそく最上級スポーティーグレード、唯一2リットルエンジンを積む2.0Zに試乗すると、デビュー当初に気になったアイドリング中の豪快すぎる(!?)サウンドが控えめになり、17インチタイヤを履く乗り心地はよりしなやかかつスムーズに。活発なエンジンのスムーズさも増したように感じられた(乗り味の高級感ではストリームが優位だが)。

ただ、2.0Z専用の“ダイナミックスポーツモード”のあり方は、依然として微妙だ。

スイッチを押すとエンジン回転数が高く維持され、減速中のエンジンブレーキ効果と再加速時のレスポンスが高まり、さらにTRC、EPSまで同時に制御してくれるのだが…。

正直に言って、使い道は本当に山道をブイブイ飛ばすときのみ。日常域でダイナミックスポーツモードに入れると、スポーティーというよりエンジン回転が上がりすぎて、ただただノイジーに感じられるだけ。いかにも燃費の悪そうな走りになるから抵抗がありすぎる。その印象はデビュー当時のままだ。

それでもお薦めは2.0Zである。理由はこのグレードのみ2列目キャプテンシート仕様だから。6人乗りになるが、2列目席がよりぜいたくで快適な掛け心地 になり、2-3列スルーが可能になるだけでなく、実は3列目席までより快適になるからである。

つまり、3列目に座ったとき、2列目席中央に空間があるため、前方見通し性が良くなり、足元もゆったり。実際のスペースより広々と感じられ、足を投げ出せ(車体内側の足)、結果、長時間の着座でも精神的肉体的に疲れにくいのである。加えて、自分の意志で乗降できる安心感も大きい。

ウィッシュの室内は超シアターパッケージ。2列目席の座面の高さは1列目席に対して45mm高く、3列目席は2列目席よりさらに55mmも高くセットされ、3列目席でも前方見晴らし性は抜群。元々、3列目席がしっかり使える仕立てなのだ。それに2列目席キャプテンシートのメリットが加わると、3列目席の実用性がさらに際立つ。ぜひとも1.8リットルモデル(1.8Sがベスト)にも採用してほしいと思う。そもそも1.8リットルモデルに7人も乗ったら重くてしょうがない。車内でおむつ替えをする幼児がいれば別だが、ミニバンをより快適に乗り、全列を使い切るには、2列目キャプテンシートがベターなのだ。

ちなみにペットフレンドリー度は微妙。荷室は3列目席を格納すると奥行きが1100mm程度まで拡大。フロアはほぼフラットだから、5:5分割の片側だけ倒して3名+愛犬といった乗車も可能だが、荷室フロア高が670mmと高めだからだ(理想は600mm以下)。大型犬で跳躍力に優れた犬じゃないと乗降はちょっと大変だろう 。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。

《青山尚暉》

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