SCEのスタッフに問いたい---「あなたはPS3を発売日に買いますか?」

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SCEのスタッフに問いたい---「あなたはPS3を発売日に買いますか?」
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『プレイステーション3』の本体価格が発表されたとき、会場は一瞬の静寂に包まれた。聴衆はみなこの情報をどのように受け止めたらいいか、とまどっているように見えた。少なくともテレビゲームの発表会につきものの、歓声やスタンディングオベーションなどは見られなかった。その後、動揺のさめやらぬままに説明会は終了した。

ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、世界最大のゲーム見本市「エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ(E3)」を前に、現地時間8日、米ロサンゼルスで報道関係者向けの説明会を開催し、次世代ゲーム機プレイステーション3(PS3)の発売日と本体価格を発表した。

PS3では内蔵ハードディスクが20GBと60GBの2モデルが発売され、国内の発売日は11月11日。価格は20GBモデルが6万2790円(税抜き5万9800円)、60GBモデルがオープンプライスとなる。北米と欧州では11月17日発売、価格は北米でそれぞれ499ドルと599ドル、欧州で499ユーロと599ユーロとなる。20GBモデルではHDMI端子や無線LAN機能など、いくつかの機能が省略される。

初期出荷台数は全世界で200万台で、2006年末にまで400万台、2007年3月末までに600万台出荷の予定。これは「プレイステーション2」の2倍のペースとなる。

為替レートなどから推測すると、6万2790円と約7万5000円。専用ゲームソフトとあわせて購入すると、それぞれ7万−8万円の買い物となる。筆者の率直な感想を述べると、はっきりいって高い。テレビゲーム機、特に「こどもの玩具」の価格ではない。

もっとも、SCEアメリカのCEOである平井一夫氏は、壇上でPS3を「世界最高のエンターテイメント向けコンピュータ」で、単なるテレビゲーム機ではないと強調した。これはSCEが今までも保持してきた姿勢だ。PS3のハイデフ性能や、Blu-rayビデオの再生機、ネットワーク機能などがもたらす圧倒的なプレイ体験からすれば、この価格も順当というわけだ。かつて任天堂は『Nintendo64』を発売するとき、ROMカートリッジの割高感について指摘されるたびに、「内容がおもしろければ価格は問題ではない」との「正論」を続けた。あれから10年たって、今度はSCEが同じ正論を唱えることになった。

またあわせてPS3の正式なコントローラーについても発表がなされた。外観的には従来の「デュアルショック2」と似ているが、X-Y-Zの「6軸検出機能」と加速度センサーが組み込まれており、コントローラーを傾けたり、上下に振るなどして操作を可能にしている。一見すると任天堂が発表した次世代ゲーム機『Wii』のリモコン型コントローラーを彷彿とさせるが、画面のポイント機能はなく、98年にマイクロソフトがPC向けコントローラーとして発売した「SideWinder Freestyle Pro」に近い印象を受ける。これに伴って振動機能は省略され、「デュアルショック」という名称は使われなくなる模様だ。

会場では専用タイトル群の開発状況についても、デモを交えながらさまざまな紹介がなされた。一押しタイトルとなったのが、SCEの看板タイトル「グランツーリスモ」シリーズの最新作プロトタイプ『グランツーリスモHD』。開発プロデューサーの山内一典氏が自らデモを行った。

本タイトルはPS2版「グランツーリスモ4」をベースに、PS3のビジュアル性能にあわせて移植を行ったもので、1920×1080ドットのプログレッシブ、60fpsで表示されている。山内氏はプロトタイプの映像情報について、グランツーリスモ4に比べると12倍、一般的なHDカムと比べても3倍の情報量を持つと指摘。またPS2では平均15秒かかっていたマップのロード時間が、PS3ではハードディスクが全搭載されたことで、2−3秒にまで短縮できたと述べた。ただしクルマの走行はプレイアブルではなく、リプレイ形式のムービーによって行われた。

またオンライン関連については、欧州で大ブレイク中のカラオケゲーム『SINGSTAR』のPS3版について紹介がなされた。新曲データをダウンロード購入したり、マイスペースを登録してほかのユーザーとコミュニケーションできるなど、コミュニティ要素が特徴となっている。決済についてはクレジットカード以外に、「THE Playstation Card」というプリペイドカードが発行される。

ほかにファーストパーティ・セカンドパーティのタイトルとしては、群衆アクションの要素が強まった『GENJI2』。PS3タイトルだが、PSPを接続してバックミラーがわりに使用できるドライブゲーム『F1 06』。EyeToyと連動し、現実のカードをテーブルにおくと、そこからモンスターが召還されるカードバトルゲーム『THE EYE OF JUGDMENT』などが特徴的だった。

サードパーティタイトルとしては、人気RPGの最新作『ファイナルファンタジーXIII』(スクウェア・エニックス)や、EAの人気スポーツゲーム群、全世界のユーザーから絶大な支持を受けている『メタルギアソリッド4』(コナミ)などの最新トレーラーが披露された。

ただし、SCEによれば開発機材の最終版が配布されるのが本体発売の半年前とのことで、開発期間の短さから、本体同時発売ソフトでどの程度PS3の機能を生かしたタイトルがそろうかは疑問だ。PS3ならではのゲームが堪能できるのは2007年末、実質的には2008年になるのではないだろうか。

技術デモが中心だった昨年とは異なり、今年のメディアブリーフィングでは、PS3の実際のゲームソフトやゲーム体験の紹介に重点が置かれていた(プレイアブルデモでは、実機での操作であることがわかるように、ゲーム画面とともにコントローラーの操作状況があわせて表示された)。しかしデモのいくつかは開発の初期段階にとどまっており、専用タイトルの紹介もプリレンダーのムービーが主体で、開発の難航ぶりを予感させた。

PS3コントローラーの「傾きセンサー」を用いたデモは、3Dシューティングの「War Hawk」を題材にゲームプレイが行われたが、ゲーム内容が通常のアナログスティック向けとなっているため、細かい操作がしづらく、木に竹を接いだ感じを受けた。ここはPS3コントローラーならではのタイトルでデモを見せてほしかったところだ。

今回の発表会でPS3はゲーム業界関係者、特にSCE自身に対して「踏み絵」を提示することになった。最大のポイントは、やはり価格だろう。筆者はこれまでハードメーカーに取材する時、しばしば余談として「自社ハードを買われましたか?」と質問してきた。回答はメーカーや担当者によってさまざまだったが、「会社で遊べるので自分では購入していない」という回答が多かったメーカーのゲーム機は、例外なくゲームビジネスの表舞台から消えていった。

ここで改めてSCEスタッフに質問を投げかけてみたい。

「あなたはPS3を発売日に買いますか?」

筆者はどうか。ゲームライターという職業柄、発売日に60GB版を購入するのは責務だ。HDMI端子などの機能が省略された20GB版は、SCEのいう「世界最高のエンターテイメント向けコンピュータ」という形容にふさわしくないように思えるからだ。もちろん自費である。ただしフルスペックHDTVを同時購入する予算は、残念ながらない。

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