伊イベコ・グループのバス製造会社イリスバスと仏パリ交通公団(RATP)は2月2日、共同開発を進めてきたハイブリッドバス『イノビス』(Hynovis)のテスト走行をパリで開始すると発表した。
イノビスは仏国立公共交通研究改革プログラム(PREDIT)の発案、環境エネルギー庁(ADEME)などの資金援助により進められたプロジェクトで、2008年にパリで開催された欧州モビリティ・公共交通展示会でプロトタイプが展示されている。
全長12mのノンステップバスに搭載されるのは油圧ハイブリッドシステムで、モーターやインバーターの代わりに油圧ポンプとアキュムレーターを搭載し、制動時の回生エネルギーをアキュムレーターに貯め、加速アシストに用いる。さらにバッテリーとスーパーキャパシタを活用したアイドリングストップも行い、15 - 30%の燃費低減とCO2排出量削減を実現したという。
高価で重いバッテリーを使用しないために、車両価格と重量を抑えることが可能であることが、油圧ハイブリッドシステム採用の理由らしい。
前輪を小径の2軸とし、後輪は車体後端に寄せることで車内への張り出しを抑えるなど、パッケージングでも新機軸を打ち出している。回転半径を小さく抑えるために総輪操舵も採用する。
イリスバスはイベコと仏ルノーのバス部門が合併することで誕生した会社で、これまでハイブリッドバスを120台製作したほか、電動バスや燃料電池バスも手がけるなど、環境対応車両の開発を積極的に行っている。現在パリ交通公団のバスは、前身のルノーを含めた同社製が多数派となっている。
2001年に就任したベルトラン・ドラノエ現市長のもと、公共自転車「ヴェリブ」やトラムなど環境にやさしいモビリティを次々に導入してきたパリでは、バスについても専用レーンの拡充などに努めてきた。イノビス導入もその一環ということができる。