【D視点】大サンショウウオの野望…ポルシェ パナメーラ

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ポルシェ・パナメーラ
ポルシェ・パナメーラ 全 6 枚 拡大写真
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 何を作ってもポルシェはポルシェ

2009年に発表された『パナメーラ』に、ベーシック仕様の「パナメーラ」と「パナメーラ4」が追加された。ポルシェ各車と同じような顔を持ったパナメーラだが、フッドがモッコリしているので『911』のようなシャープな感じはなく、大サンショウウオのようなヌメリ感が特徴と言える。

追加モデルもデザインに大きな変化は無いが、フロントコンビランプ周り、ホイール、そしてエキゾーストパイプなどのデザインにより、「パナメーラS」などとの差別化を図っている。この控えめなやり方は911風であり、パフォーマンスモデルが一巡した後でのV6エンジン投入は『カイエン』に倣っている。

【画像全6枚】

パナメーラは3.6リットル300馬力V6エンジンを搭載し、2ペダルMTの車両重量は1830kg(パナメーラS に対して50kg軽い)となっている。再発進時のもたつきによってアイドリングストップ機構が備えられていることに気づかされる以外は、過不足なく安心してドライブが楽しめる。


2
 性能がラグジュアリー

いっぽうスポーツカーメーカーであるポルシェが、SUVのカイエンを発表して10年が経過しようとしている。カイエンの所期の目標は、強豪BMW『X5』を超えることだったが、今やその通りナンバーワンブランドとなっている。

ラグジュアリーカーの要件としては、由緒ある歴史や高性能、そして高価額ことなどが挙げられる。さらに見逃しそうな要素として、乗員総てが乗車を楽しめるスムーズな挙動を挙げたい。その意味では、カイエンやパナメーラもラグジュアリーカーの資格を有している。

しかし、ポルシェのイメージは911であり、同時にリアエンジンのカーメーカーでもある。そのポルシェが難なくカイエンやパナメーラを成功させた理由は、技術力の高さだけではなく、1997年に市場から姿を消した、フロントエンジンの『928』の存在を忘れるわけにはいかない。


3
 パナメーラの2ドアハッチバックは?

928の生産が立ち上がった頃、シュトゥットガルトのポルシェ本社を訪問したことがある。コンベアラインに乗った911は、スポットされたドリップレールの流れを職人が慎重に調整していた。対して928のドリップモールはワンタッチで簡単に取り付けられていく。手作りの時代の終焉を感じたのだ。

911に代わるモデルとして1977年に発売された928は、スポーツ性能に加えてラグジュアリー性をも追求していた。フューエルインジェクション方式の水冷V8エンジンをフロントミッドに搭載し、併せてトランスアクスル方式の採用により、車重の理想的な前後配分を実現していた。

928は1978年ヨーロッパ・カーオブザイヤーに輝き、後発の多くのクルマにも影響を与えた。ポルシェ技術者の自信作であった。ポルシェ技術者の928への思い入れが、カイエンの成功とパナメーラの誕生につながったわけだ。

大サンショウウオのようなパナメーラのデザインの随所に928の面影を感じ取る。パナメーラから2ドアハッチバックが派生したとしたら、それはポスト928であり、つまりポスト911になるわけだ。

D視点:
デザインの視点
筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)---デザインジャーナリスト。元日産自動車。「ケンメリ」、「ジャパン」など『スカイライン』のデザインや、社会現象となった『Be-1』、2代目『マーチ』のプロデュースを担当した。東京造形大学教授を経てSTUDIO MATSUI主宰。著作に【D視点】連載を1冊にまとめた『2007【D視点】2003 カーデザインの視点』。

《松井孝晏》

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