【トヨタ 86 試乗】6000rpm上のフィーリングが意外に凡庸で惜しい…井元康一郎

試乗記 国産車
トヨタ86 GTリミテッド
トヨタ86 GTリミテッド 全 6 枚 拡大写真

トヨタ自動車と富士重工業が共同開発した新型スポーツクーペ、トヨタ『86』(4月6日発売)/スバル『BRZ』(3月28日発売)。

【画像全6枚】

トヨタ版の86を試乗した際に非常に興味深く感じられたのは、最高出力147kW(200ps)/7000rpm、最大トルク205Nm(20.9kgm)を発生する新開発の「FA20」型2リットル水平対向4気筒エンジンを軸としたパワートレインのパフォーマンスの良さだ。

とりわけ優れているのは、スポーツカーにとってピークパワー以上に重要な中速域(3000rpmから6000rpm)のレスポンス、回転上がり、トルクなどの過渡特性だ。アクセル操作への追従性はきわめて良好で、スロットルの踏み込み具合で自在にトルクをコントロールできる。

公道でスポーティ走行をするときは、いつもシフトアップ/ダウンをこまめに行うわけではない。とくにワインディングロードなどで6速ミッションの3速-4速を使ったり、あるいはギア固定で軽やかに流すという走り方をする場合、このパワーユニットはドライバーにとってとても爽快なものに感じられるだろう。

惜しいのは、6000rpmから上の領域のフィーリングが意外に凡庸なことだ。パワー的に不足感を覚えるほどではなく、最新の排ガス規制をクリアするエンジンとしては十分な仕上がりではあるのだが、テストドライブでも1230kg(試乗車:「GTリミテッド」)という軽量車体との組み合わせを考えるとレブリミットまでグイッと達する高回転の伸び切り感がもっとあってもいいのに、というのが正直なところだった。

また、ドイツ系部品メーカー、マーレ・フィルターシステムズが考案した「サウンドクリエーター」で吸気音が積極的にデザインされているが、正直なところ演出過剰の感が否めず、4気筒ならではのシンプルなメカ音を主体に歌わせたほうがよかったのではと感じられた。もっとも感性領域の演出は好き好きであり、人によってはこのほうが好きだという場合もあるだろう。

試乗したのはGTリミテッドの6速MTだったが、100km/h巡航時のエンジン回転数は6速で2600rpm、5速で3200rpmと、6速をクルーズギアと割り切って5速までのギアステップを適切に詰めたセッティングは、グランドツーリングカーとしてとても好感の持てるものだった。また、カッチリとしたメカニカルなフィールでありながら引っかかり感はごく少なく、とてもスポーティなものだった。

6速ATは未試乗だが、ATもスポーツセダンのレクサス『IS-F』の8速ATと同様、トルクコンバーターをロックアップしたままトランスミッション内部の湿式多板クラッチの切り替えだけで変速するモードを搭載しているとのこと。ギア段をドライバーが任意に選択可能で、変速に要するタイムラグも欧州車に採用例が多い機械式のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)と同等であるというから、MTとATのどちらの仕様を選択するかは購入者の好み任せでOKだろう。

井元康一郎
鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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