【千葉匠の独断デザイン】日産 エクストレイルが3代目で“丸く”なった理由

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新型 エクストレイル
新型 エクストレイル 全 13 枚 拡大写真

9月のフランクフルト・ショーでワールドプレミアした日産の新型『エクストレイル』が、12月には日本でも発表される。

【画像全13枚】

初代から2代目に受け継いだボクシーなSUVスタイルから脱し、丸みを帯びたフォルムの新型エクストレイル。この大変身の真意はどこにあるのか? 日産デザイン本部でニッサン・ブランドの乗用車系デザインを統括するエグゼクティブ・デザイン・ダイレクター、青木護(あおき・まもる)氏に聞いた。

◆ローグと統合で乗用車ライクなデザインへ

まず踏まえておかなくていけないのは、新型エクストレイルが北米では新型ローグとして売られるということだ。従来のエクストレイルと『ローグ』はまったく別車種だったが、今回のモデルチェンジでそれを統合した。また、エクストレイルにもローグにも、従来はなかった3列シート仕様が用意される。

「ヨーロッパの『キャシュカイ(日本名デュアリス)』には3列シートのキャシュカイ+2という仕様があるので、今後はその市場も新型エクストレイルでカバーする」と青木氏。「エクストレイル、ローグ、キャシュカイ+2の3車種を統合し、経営資源をひとつに集中することで、お客様により高いクオリティを提供できるようになったと考えている」

車種統合のメリットはわかるが、それとスタイリングは別の話だろう。従来のエクストレイルに比べると、SUVらしいラギッド感(逞しさ・ゴツゴツ感)が薄れたように見えるが…。

◆「角張ったスタイルでスタイリッシュ」なデザインの難しさ

「テイスト的には、SUVが7、クロスオーバーが3という割合のイメージ。SUVに軸足を置いてデザインした。世の中のSUVが全体にクロスオーバー化し、乗用車テイストになっているトレンドのなかで、我々の気持ちとしては、従来のエクストレイルのSUVテイストを残したつもりです。日本向けにはもう少しラギッド感を強調した仕様も用意していますし…」

ラギッド感を強調した仕様とは、”エクストリーマーX”のこと。それはそれでファンに歓迎されるだろうが、SUVに3割のクロスオーバー・テイストを持ち込み、より乗用車指向にしようというとき、角張ったスタイルではいけない理由は何なのか? 角張っているけれどスタイリッシュなクロスーバーSUVもあると思うのだが…。

「たぶんランドローバー『イヴォーク』のことをおっしゃっているんですよね。ただ、イヴォークは幅が広く、短く、キャビンが小さい。だから四角くてもスタイリッシュに見せられるのだと思います。しかし我々は、そこまでエモーショナルなプロポーションにはできない。室内広さなどの機能性は従来のエクストレイルから下げていないので、キャビンが大きくてルーミー。そのプロポーションで考えると、角張ったスタイルでスタイリッシュというのは難しくなります」

はじめに機能ありき。エクストレイルとして譲れないスペースを確保した上で、3割のクロスオーバー・テイストをいかに表現できるか? その答えが、この丸みを帯びたスタイルへの変身なのである。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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