アシストされてることを意識させない、インテリジェントな自転車

モーターサイクル 新型車
ヤマハ PAS Brace XL
ヤマハ PAS Brace XL 全 42 枚 拡大写真

国内の電動アシスト自転車業界は年率8%で伸長している。今後もガソリン高などの環境次第では、一定の拡大基調が見込まれているという。自転車協会の試算では、2014年も50万台に迫る市場規模で推移することが予測されている。

ヤマハ発動機は、スポーティタイプの電動アシスト自転車「PAS VIENTA5」を7月18日、「PAS Brace XL」を8月29日に発売するが、それに先駆けて試乗会を行った。進む技術革新と市場への浸透は、国内の自転車文化をどう変えるのだろうか。

成長を続ける電動アシスト自転車市場

ヤマハが電動アシスト自転車を市場投入した発売当初は、70代が顧客の中心だったが、次第に子育てママからファミリー、通勤、レジャーにまで、ユーザーの拡大が進んでいる。

ヤマハでは、PASを「ファミリーPAS」というキーワードで展開。全方位戦略で目下スポーティカテゴリーのモデルを増やしていく方針。「Brace L Special」の展開では、ほぼ完売という売れ行きを見せている。

電動アシスト自転車は普通の自転車と何が違うのか

いまや子育てママの多くが所有している電動アシスト自転車。乗ったことがない方にとっては、普通の自転車と何が違うのか、不明な点も多いことだろう。そこで今回の試乗会となった。

電動アシスト自転車はバッテリーを搭載し、モーターは人間の踏み込み駆動力のアシストを行う。当初は鉛バッテリーだったが、現在のPASにはリチウムイオンバッテリーを搭載。軽量化と高効率化が進む。

ポイントは、アシストの制御機構。前輪に装着している「スピードセンサー」、ペダル付近に搭載している「トルクセンサー」と「クランク回転センサー」という、合計3か所のセンサーから情報を検出、安全かつ最適なアシストにつなげている。

試乗会で最もこのアシストを感じることができたのは、PAS VIENTA5試乗時、緩いこう配ののぼりで、ギアを3段に設定した状態。また、スタート時に小さなのぼりからの踏み込み時などだ。これは、2008年の法改正以降、時速10km以下の走行時に、乗車している人間が踏み込むトルク「1」に対して、「2」の水準までアシストが許されたことによる。この基準に適合するよう、センサー検知からアシスト出力を制御、踏み込みが必要となる場合に、モーターがアシストしてくれる。出力の仕方も自然なかたちだ。

10万円を超える自転車の価値

新製品のPAS VIENTA5は、先代モデルに比べ、ギアを8段から5段に少なくし、ロックを後輪周りに固定、そしてフレーム形状を変更しスポーツ性を演出した。PAS VIENTA5、スポーティカジュアルモデルは12万9060円(税込)という価格設定で、決して安くはない。

ただ、日本の自転車文化をある種、複雑にしている要因のひとつは、いわゆる「ママチャリ」のデフレであるようにみえる。安価な製品がインターネットや、市販により簡単に手に入る。金額面での垣根の低さは意識面や安全面にも影響を及ぼし、交通マナーの乱れを引き起こしている。

高齢者から高校生まで、幅広いターゲットに対していっそうの展開を図る電動アシスト自転車。子どもを持つママ世代にはすでに欠かせない移動ツールとなっている。昨今の高付加価値トレンドという追い風も受けて、利用の浸透が進むことで日本の自転車文化、環境を次の時代に押し進める可能性も秘めている。

電動アシスト自転車は、日本の自転車文化を変えるか

《土屋篤司@CycleStyle》

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