【池原照雄の単眼複眼】この秋、次期デミオでディーゼルに光

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マツダ デミオ プロトタイプ 1.5リットル ディーゼル
マツダ デミオ プロトタイプ 1.5リットル ディーゼル 全 4 枚 拡大写真

この秋、国内の乗用車市場ではディーゼルエンジン(DE)への注目が一気に高まる気配だ。マツダが全面改良して発売する『デミオ』に、新開発の1.5リットルDEターボ車が投入されるからだ。

求めやすいコンパクトカーでは国内で唯一のDEであり、ユーザーの選択肢が広がる。また、燃費性能からもエコカーの中心であるハイブリッド車(HV)の対抗勢力の一翼も担うことになろう。

SKYACTIVを全面採用し、1.5LのDEが登場

デミオの全面改良は7年ぶりで、1996年投入の初代から数えて4世代目となる。マツダが推進する独自技術群であるSKYACTIVを全面的に採用するモデルとしては、12年2月投入の『CX-5』以来、『アテンザ』、『アクセラ』に続く4モデル目であり、同社の主力車種での展開が揃う。また、これらのモデルに採用した「魂動」デザインにより、マツダ車としてのアイデンティティも、より強調される。これまでの日本車にはなかった明確な統一性で、ブランド発信力を高めていく。

2.5Lガソリンエンジンと同じ最大トルク

さまざまな面から注視される次期デミオだが、最大の話題はSKYACTIVのDEとしては現存の2.2リットルに続く第2弾の1.5リットルエンジンだ。マツダのこのDEに関する発表文では「2.5リットルガソリンエンジン並みのトルクフルな走り」が謳い文句となっている。実際、最大トルクは250Nmであり、この数値はアテンザなどに搭載されているSKYACTIVの2.5リットルガソリンエンジンとまったく同じだ。DEはガソリンエンジンより、最大トルクの発生域が低回転域にあり、次期デミオのDEは1500~2500rpm。低速から粘り強い走りにつなげるパフォーマンスを確保している。

SKYACTIVならではの環境性能については、日本の「ポスト新長期」など内外の排ガス規制に適合するとともに、高い燃費性能も確保する。モード燃費は審査段階だが、マツダは国内で「HVと軽自動車を除く内燃機関搭載車として最高を目指す」と宣言している。現状のトップは、トヨタ自動車の『パッソ』1リットルガソリン車の27.6km/リットル(JC08モード)。デミオDEはそれを超え、一部車種で30km/リットルに到達する可能性もある。

コンパクトクラスのHVではトヨタ『アクア』が37.0km/リットル、ホンダの『フィットHV』が36.4km/リットルで、これらには及ばない。ただし、DEの燃料である軽油は、燃費管理サービス「e燃費」による価格調査では、レギュラーガソリンより15%程度安い。燃費性能の30km/リットルは37km/リットルより19%ほど劣るわけだが、その大部分は燃料の価格差で補える。

“実力派”の登場で再評価の機運が一気に

さらに車両価格がどうなるかだが、これも『アクア』や『フィット ハイブリッド』のエントリー価格である170万円前後(消費税込)と、拮抗する見込み。あとは、乗り味や内外装のデザインと質感などで、ユーザーがどのように評価するかだ。新たな“実力派”の登場でこのクラスの選択肢がさらに広がり、HV優勢に一石を投じよう。

国内でのDEの勢力拡大も進みそうだ。DE乗用車の販売は、SKYACTIVの2.2LDEを搭載したCX-5が登場する前年の11年には9000台規模だったのが、13年は約7万6000台に拡大した。マツダがこの間、同エンジンをアテンザやアクセラに展開したことが大きい。同社のまとめでは今年1-5月の国内販売でのDE比率はCX-5で74%、アテンザでも67%を占める。HVも設定されているアクセラは16%にとどまるものの、3モデル合計では43%と、ガソリンエンジンと並ぶメインストリームになっている。デミオDEの登場で、日本市場での「DE再評価」機運が一気に高まることになろう。

《池原照雄》

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