【アルファロメオ 4Cスパイダー 試乗】美しき路上のダイヤモンドには、刺も蜜も隠れていた…まるも亜希子

試乗記 輸入車
アルファロメオ 4Cスパイダー
アルファロメオ 4Cスパイダー 全 47 枚 拡大写真

まるで一筋のスポットライトを浴びているかのように、行き交うクルマたちの中で輝きを放っている。小粒でも堂々たる存在感は、ダイヤモンドに等しいほどだ。初めて『4Cスパイダー』を目にした時、そんな強烈なオーラにすっかり心を奪われてしまった。

【画像全47枚】

でもこの日は朝から、新緑を散らす雨。せっかくのオープンモデルなのに、そのルーフをめくることはできず、美しいスタイルも魅力半減かとあきらめて対面した。巻貝のようにテールライトをくるみながら、隆起した塊感でダイナミックにサイドへと続くフェンダーライン。引き締まったアスリートの筋肉のようにも、やわらかな女性のボディのようにも見え、とても魅惑的だ。そこに雨粒が幾重にも滴る4Cスパイダーは、太陽の下とはまた違った妖艶さで出迎えてくれたのだった。

たまらずドアを開けたものの、すんなりとは乗り込ませてくれない。強靭なボディを暗示するかのような幅広いサイドシルを乗り越え、地面スレスレかと錯覚するほど低いスポーツシートに腰を落ち着け、足をねじ込むように引き入れる。するとそこには、すべてがドライバーのためにあるような、タイトだが昂揚感をあおるコクピットが広がる。

美女とワルツを踊るように優雅なドライブをイメージしつつ、真っ赤なスタートボタンを押せば、背後から想像以上に野太い雄叫びが響いてきて、早くも妄想は崩れ去った。雄叫びの主は、ミドシップに搭載された新世代の1.8リットル4気筒直噴ターボエンジン。240ps/350Nmのハイパワーを「アルファTCT」と呼ぶ新世代の6速ATで引き出し、0-100km/h加速はわずかに4.5秒という俊足だ。

右足に力を込めていけば、その思いがけない重たさに背筋が伸び、ステアリングの頑固さに腕の筋肉まで引き締まる。近ごろあふれている、ドライバーを甘やかすスポーツカーに慣れた身には、久々に感じるハードな刺激がのっけからビシビシくる。

そして、直線では背中にキックをくらったような猛烈な加速に、全身の血液が沸き立つような興奮。シーケンシャル式マニュアルモードで3速まで落として、一気にコーナーを駆け抜ければ目の覚めるような爽快感。だんだんとジャジャ馬をてなずけていくように、4Cスパイダーが思い通りの挙動を示してくれるまでの課程を楽しむのも、近ごろではなかなかできない贅沢な時間だ。

美しき路上のダイヤモンドには、刺も蜜も隠れていた。4Cスパイダーはドライバーを決して退屈させない、近ごろでは希有なオープンスポーツだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo )』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・TV・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。レーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、アマチュアレースの魅力を伝えるほか、女性のパワーでクルマ社会を元気にするネットワーク「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」も主宰。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。公式ブログ『運転席DEナマトーク!』やFacebookでも発信中。

《まるも亜希子》

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