三菱ふそう EVトラック、IAA 2016で公式発表へ…5万km以上テスト

エコカー EV
E-CELL(eCanter)
E-CELL(eCanter) 全 14 枚 拡大写真

7月27日(現地時間)、ドイツのシュトゥットガルトで開催された「Daimler eTrucks Campus」では、100%EVの大型トラック(Urban eTruck)の発表に加え、ドイツでフリートテストが始まっている『E-CELL』に関するワークショップも行われた。

【画像全14枚】

ワークショップでは、フリートテストの概要と、9月に開催されるIAA国際商用車ショーに公式発表されるE-CELL 第3世代に関する情報にも言及があった。

Canter E-CELLは、三菱ふそうが開発したフルEV化されたキャンターのこと。現在第2世代まで開発が進み、世界各地でテストが行われている。このうちドイツでは自治体および民間企業の協力のもと、フリートテストが進められている。E-CELL第3世代は、デザイン、インテリアに加えバッテリーシステムのモディファイが行われ、IAAにおいて『Fuso eCantar』の名称で発表される予定だ。

Canter E-CELLは110kW(150馬力相当)650Nmという性能のモーターを搭載し、後続距離は100km。充電時間は1時間(急速充電)から7時間(普通充電)。充電方式はCCS Type2だが、開発は日本の三菱ふそうのため、チャデモにも対応する。積載量は荷台の架装部分を除けば約3トン。実際の積載量は2トン前後となる。EUでは最大積載量の規定ではなく、積載時の車両総重量による規制となるため、最大積載量は荷台の架装しだいとなる。

フリートテストは、自治体と民間の両方から参加があり、5万km以上の走行実験が行われた。無充電でどこまで走れるかと2日間続いた実験もあった。比較的気温が高いポルトガル、冬場はマイナス10度前後まで下がるドイツでのフリートテスト中、これまでバッテリーあがりや故障などもなかった。

物流会社である「ヘルメス社」は、ポルトガル、ドイツでのフリートテストに参加している企業のひとつだ。同社の主力業務である、各地の配送センターから各市内の拠点への荷物、商品を運ぶ配達業務に、E-CELLを利用したという。

「ヘルメス社は、クリスマスシーズンなどにはグループ企業あわせて1万3000人以上のドライバーが市内への配達業務に従事しています。しかし、NOx、CO2の増加が問題となり、市内へのディーゼル車の乗り入れはどんどん厳しくなり、トラックのEV化は急務と考えます」(ヘルメス社 ダーク・ラム氏)

このように実験に参加した背景を説明する。

ドライバーの声としては、音・振動がないこと、加速がよいこと、運転がしやすいこと、急速充電が便利だったことを、プラス評価の項目として挙げた。逆に改善が必要な部分として、航続距離が130kmから150kmくらまで伸びてくれると、利用範囲がさらに広がる、車両の値段がまだ高い、積載量をもっと増やしてほしい、といった点が指摘されたという。

EVトラック導入にあたって、ドライバーに特別なスキルやトレーニングなどは必要なかったという。慣れる必要があるのは、イグニッション動作がボタンを押すだけで音も振動もない点と、バッテリー消費を最適化するためのアクセル/ブレーキの使い方の工夫だ。ちなみに、空荷状態だと加速がよいので、かえってスピードがでてしまい、むしろバッテリーの減りが早い場合があるそうだ。

またラム氏は、「コストのうち、初期投資は高くなりますが、市内でディーゼルを走らせるための課金や燃料代などのランニングコストを考えると、EVのメリットは徐々に上がってきています」と、固定コストだけでなく、ランニングコストを全体として考えたいとした。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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