熱気球ホンダグランプリ開幕!!---悪条件の中でも高水準の競技

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熱気球ホンダグランプリ2018 渡良瀬
熱気球ホンダグランプリ2018 渡良瀬 全 14 枚 拡大写真

4月6日、栃木の渡良瀬遊水地で熱気球の年間タイトル戦、熱気球ホンダグランプリ2018が開幕した。

第1戦の渡良瀬を皮切りに5月に佐久(長野)、10月に一関(岩手)、11月に世界選手権を兼ねる佐賀、鈴鹿(三重)と転戦する。午前6時過ぎ、タイトルと賞金をかけ、29機の熱気球がテイクオフした。

昨年の渡良瀬は天候に恵まれず、最終日にターゲットから一定距離以上離れた任意の場所から飛び立ち、ターゲットにマーカーを投げ落として精度を競う「フライイン」の1タスクだけが行われた。今年の初日も風は良くなかったが、操縦者が事前に申告した任意の地点にマーカーを落とす「パイロットデクレアドゴール」とフライインの2つの複合タスクを何とか構成することができた。

遠くから(今回の指定はターゲットから5km以上)飛び立った熱気球がパイロットデクレアドゴールをこなしながらターゲットを目指して集まってくる。大会本部前のローンチサイトから一斉離陸するようなわかりやすいダイナミズムはないが、競技気球が刻々と変わる風を読みながらターゲットに近づく白熱した戦いを目前で見られるのはエキサイティングだ。

離陸許可時間からしばらく経った頃、靄にかすんだ遠方の空から熱気球が続々と姿を浮かび上がらせた。この日は高度による風向の違いが少なかったため、ターゲットに寄るチャンスをつかむのは難しく、寄り損なうとやり直しがほとんどきかない。飛び立つ場所の選定と糸をたぐるような風読みが要求されるという点では、昨年の最終日と似た状況だった。

が、年間タイトル戦である熱気球ホンダグランプリが1993年に誕生してから25年。その間に日本の熱気球競技のレベルは世界有数の水準に達した。思ったよりも多くの気球が次々にローンチサイトを捉える。ローンチサイト外にマーカーを落とした場合もGPSでターゲットからの距離を計測するので問題はないのだが、ターゲットに限りなくクローズするのは熱気球パイロットにとって最も目立てる一瞬だ。

地上に置かれた×印のターゲットに直接マーカーをオンさせる熱気球が数機出るなか、ローンチサイト上空で粘りに粘ってアプローチを試みたゼッケン17番、チームHappy Heartsの山内学選手が駆るSky Piece号がターゲットの真上を捉えた。高度を目いっぱい落とし、万全の状況でターゲットのほぼど真ん中にマーカーを投下。その見事さに観客からは拍手が巻き起こった。

渡良瀬バルーンレースは8日(日曜)まで行われる。フライトは土曜が午前と午後の2回、日曜が午前の1回。熱気球は天候が悪かったり風が強すぎたりすると飛べないので、見られるかどうかは水物だが、予想天気図を見るに、7日は未明に寒冷前線が通過した後の風の収まりが良ければ早朝も飛べる可能性はある。天候が回復する7日午後と8日午前はさらにチャンスは広がるだろう。風の状況が良ければ一斉離陸、また4ないし5つのタスクを組み合わせたダイナミックな競技の観戦も期待できる。

土、日はローンチサイト付近で藤岡さくら祭りも併催され、地元の美味しい料理をはじめとした多数の屋台が並び、ステージでは催し物も。春の休日ドライブのアテにもうってつけなので、興味のある人はぜひお出かけしてみてほしい。場所はハート型の渡良瀬遊水地の北方、藤岡渡良瀬運動公園だ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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